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11 挽家


 わけ分からん系の大騒動も、ようやく一件落着。


 こうして待望の穏やかな日常が戻ってきたのです。


 めでたしめでたし。



 ってなことを報告に来たここは、


 モノカさん宅の隣にある、東方風建築の小さな一軒家。



 以前シナギさんが暮らしていたことから、


 旧シナギ邸などと呼ばれているそうですが、


 シナギさんがヒメ湖ハウスにお引越ししてからは、


 なぜか、女人禁制ちっくな男衆の溜まり場に。



 いや正確には、日々の暮らしに疲れちゃった男たちの避難場所。


 誰が呼んだか、


 通称"男たちの挽家"



 本日は、例の騒動の報告会 兼 お疲れさま会。


 男衆一同が、僕のために集まってくれたのですよ。


 フォリス、ちょっと涙目……




「それにしても不思議だよね」

「その『主人公度』っていう隠しステータス、フォリス君は平均的な標準値だってけんちゃんが言っていたそうだけど、どうしてこんなにイベント事に巻き込まれやすいのだろうね」


 そうなんですよ、ロイさん。


 皆さんみたいな凄い人たちならいざ知らず、こんなにしょっちゅうアレな目に遭ってたら、僕の凡人人生設計が大ピンチですよ。




「えーと、僕が言うのもなんですけど、フォリスさんって、絶対に凡人じゃないですよね」

「あれだけの騒動に巻き込まれても、いつだってするりと解決しちゃって、まるで何事も無かったかのように暮らせてますし」

「もしかしたら、けんちゃんでも『鑑定』出来ないような凄い隠し能力の持ち主なのかも……」


 ちょっと、カミスさんっ、


 召喚者の皆さんは"フラグ"大好きかもしれないですけど、


 僕を巻き込むのは勘弁してくださいねっ。




「いえ、冗談抜きで、フォリスさんのイベント突破能力は神懸かっているのです」

「臨死体験からの奇跡の生還、拉致未遂や刺客遭遇頻度の異常さ」

「これを凡人の人生と言うのは、それこそ普通に暮らしている人たちに申し訳ないのでは、と」

「何より、荒事遭遇率の高さ以上に、無傷での生還率の異常なまでの高さ」

「用心棒稼業に身を置いている者として、あやかりたいものです……」


 えーと、シナギさん。


 確かに無傷ではありますが、かなりの危機一髪人生なのですよ。


 そもそもこんなのに巻き込まれないことこそが理想なんですよ、僕。




「でも、イベントごとを乗り越えると、ちゃんとご褒美、ありますよね」

「頼れる奥さま、素敵なメイドさん、一途な巡回司法官に、精霊乙女さんたちまで」

「こういう状況を、ネルコさんはfpsとかって数値化してましたから、今度調べてもらいましょうね」


 もしもし、サイリさん。


 それって高fpsな殿方の余裕ですか?


 確か、サイリさんとカミスさんが飛び抜けてのツートップでしたよね、その数値。


 何度でも言いますけど、僕はシュレディーケさんひと筋ですからねっ。




「ホント真面目で一途だよね、フォリスさん」

「そういうところがfps急上昇の秘訣なのかもね」

「俺も見習わなきゃいけないのかな、やっぱり数値化されると比べられちゃうし」

「今度ネルコさんに数値の算出方法、聞きに行かなきゃ」


 どうしてアランさんって、自らおしおきシチュエーションに飛び込もうとするんですか。


 本当に召喚者の方々って、"フラグ"するのが好きなんだから。


 おっと、僕も気をつけないと。


 僕の場合は半分とはいえ、血は争えないって言うし。




「みんな違ってみんないい、って言うでしょ」

「つまりは、よそんちのらぶらぶが羨ましくなっちゃうのは当たり前ってことなんだから」

「まあ、今の僕はセルマひと筋なんだけどねっ」

「ってことで、はい、お待たせ」


 うひゃっ、冷やしうどん、めっちゃ美味そうっ。


 なんだか、会うたびに進化してますね、メイジさんのうどん。



 それでは、


 いただきますっ×7



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