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【500万PV】織田勘十郎異伝〜自重しなかった結果、別家を立てて生き残ります。〜  作者: 八凪 柳一
第三章 三河の現状と東進準備

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第十四話 坊丸の沸点

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)


なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。


※2022/10/23から20時更新になりました。

「話してみよ。内容が分からねば、判断出来ぬ。自分で考えることを見せたのだ、再研修は無い。」


 左京大夫の震えが止まったように見える。私の怒りを買いそうな返答だったのかと思えば、再研修が怖かったらしい。こいつは、二年間も研修に放り込まれていたからな。何か嫌な思い出でもあるのだろう。元絵描き大名にしては、ムキムキマッチョな左京大夫を怖がらせるとは。解せぬ。


「そ、それが。木曾家は三河守さまに従属したいと申しておりまして・・・。」

「ほぉ。」

「ひぃ。」


 いかんな殺気が漏れたようだ。左京大夫も疲れていたのであろう。眠ってしまったようだ。息はあるから、永眠ではなくて良かった良かった。


「喜べ陸奥守。蹂躙して良い相手が出来たぞ。」

「ま、まずはその殺気をお収めくだされ。武官は良くても文官たちにはちときついかと。」

「それでも、間近にいた左京大夫とは違い、皆起きているようだが?」

「やっと、やっと耐えておるのです。研修の成果とお喜びくだされ。」

「ふぅ。すまんな。」


 木曾家に対する方策は、上策は三河家に臣従、中策は本家に従属、下策は中立だと前に述べた。ここで問題になるのは、臣従と従属の違いだ。臣従とは、としてう、つまり家臣化だ。従属とは、大名家としていつつ織田家にすることだ。


 大名家としての家名を残したい気持ちは分からなくはない。しかし、三河家に従属しては駄目なのだ。三河家は分家である。同じ織田家だから良いではないか、切り取り次第があるから良いではないかと言うかもしれないが、それは違う。今の三河家も厳密には、織田家に従属しているのだ。そして、三河家には切り取る(滅ぼす)権限はあっても他家を従属させる権限はない。


 つまり木曾家は、織田家に反旗を翻せと言っているようなものだ。まぁ、そこまでは言っていないにしても、織田家本家が侮られた事には違いない。当主信秀は親族大好きな種馬だが、大名としての威信は高い方だと思っている。侮る部分は無いだろう。とすれば、何か侮る理由がある。つまり、吉法師兄上が侮られたと理解出来る。


 戦略上、他国に隙を作らせる為に、吉法師兄上にはうつけを演じて貰っている。ここにきてそれが仇となった形だ。冷静に考えれば坊丸の失策だ。だが大義名分にはなる。武家は侮られてはならぬのだ。


「ふぅ。落ち着いた。木曾への大義名分は得た。陸奥守、蹂躙してくれるか?」

「はっ。一人残らず滅して見せましょう。」

「木曾は山奥じゃ、民は大峰衆を使って侵攻までには退去させる。残っている者は敵よ。当主嫡男だけとかぬるい事は言わぬ。一族郎党、老若男女問わず滅せよ。」

「ははーっ。汚名はこの『狂虎くるいどら』が受けまする。三河守さまは心安らかに。」

「君主たる者全ての責任を取るものぞと言いたいところだが。・・・、ふぅ。『主君の汚名を被るは家臣の誉れ』だったか?」

「さようにござる。」

「私はもう側室は取らぬと言ったが、撤回しよう。陸奥守、其方の未婚の娘がまだおらなんだか?」

「甲斐に四人おりまするが、出戻りと追放直前に生まれた子ですな。」

「出戻りの方は十七八だったと記憶しておるが、相違ないか?」

「さよう・・・?まさか?」

「横目半左衛門!」

「こちらに。」

「陸奥守の娘を連れてこれるか?」

「お主三ツ者の。」

「陸奥、蔑むな。」

「あ、いや、そういうつもりは・・・。儂らが使っておった・・・、あ、いや、儂らに仕えておった時の名称でござる。差別区別については研修でよーく学んでおりまする。再研修は不要!毎年の研修は十日で充分でござる。横目殿、よろしくお願いします。しからば、ごめん。」

「陸奥守待て待て待て。軍議の途中だ。まだ南信濃の件は終わっとらん。」

「ぐぬぬ。」

「半左衛門頼む。無傷でな。抵抗するなら眠らせよ。」

「ははっ。」

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