執筆者の常識は読者様の常識ではないらしい
いつもお読みいただきありがとうございます。また、いつも誤字報告ありがとうございます。
2023年になっても読者が増えているようで、ありがたいことなんですが、誤字報告が凄いことになってます。
Twitterで報告してましたから知ってる人も多いとは思いますが、タイトル通り、執筆するにあたって、知ってて当然の事柄が、読書様には通じないんだなと思った出来事がありましたので、おことわりに加えようと思いました。
一部、第90部に書いてあるんですけど、さいごに、一覧にしようと考えまして、筆を執りました。
自分としては、書き言葉の常識くらいに捉えていたのですが、違ったようです。それは、「普段使いの言葉には、書く際に漢字にしてはいけないものがある」という事です。
実は、漢字にしてはいけない言葉をガッツリ漢字変換して誤字報告してくれる人がいまして、最初は感覚で、これ違うこれは修正みたいに選んでいたんですが、途中で「あれ?なんで漢字にしなかったんだっけ?」と疑問に思い、調べ直したところ、自分の中では「漢字にすべきではない言葉の存在」が当たり前だったと気づきました。そして、それは大学で言語学・日本語教育学などを学んだから知ってただけで、もしかして知らない人もいるんじゃね?と考えたのです。
※国文科以外の知人に聞いたところ、社会人になったとき(転職したとき)、上司または教育係が、面倒見がいい/事細かく教えないと気がすまない/そういう教育マニュアルがある場合も、社会人になってから教わったと聞きました。書き言葉って、メールでめっちゃ使いますもんね。(メールになれた若者が覚えたがらなくて、見放された子たちがDQN扱いされてしまうという悲しい現実も聞きましたが、関係ないのでスルーします)
そうしたら、まぁ、タイトルに戻るんですけど、執筆者の常識と読書の常識に乖離があると思ってしまったというわけです。
「漢字にすべきではない言葉」の根拠は、色々あって、今から上げる内容やその一覧は雑多なので、本気で学びたい場合は自分で調べて欲しいです。もしかしたら、今は廃れてしまった自分の大学時代の古い知識もあるかもしれないので。
あくまで、自分が根拠としたのは、国語教育の指導要領、日本語教育の指導要領、各出版が出してる小説を書くための手引書、新聞社協会の用語集などなので、指導要領とか20年くらい前のものですし、絶対ではないはずです。知りたい方は、自分で調べてね。
さて、本題に移ります。ここは第90部に2023年1/2に追記したものです。10日ほどそのままにして、しばらくしたらなくします。(本文より長い後書きってどうよ?という思いから)
◎漢字にすべきではない言葉の理由と一例
《理由1》常用漢字ではない
<例>
×出来る 〇できる
×沢山 〇たくさん
×兎に角 〇とにかく
×素敵 〇すてき
×無駄 〇むだ
×何時 〇いつ
×好い加減 〇いいかげん
×誤魔化す 〇ごまかす
×□□等 ○□□ら (などと読まれない為、という理由で自分は使わなかった)
×□□達 ○□□たち(※常用漢字表では、「達」の読み方は「タツ」となっている)
※常用漢字については、使って良い場合もあります。あくまでも公的(法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など)には常用漢字しか使えないのであって、下記の内容の場合は「適用外」または「否定しない」となっています。
●科学・芸術などの分野→→→→→適用外
●個々人の表記→→→→→→→→の適用外
●過去の文献における漢字使用→→否定しない
《理由2》副詞・副助詞である
<例>
×何故 〇なぜ
×予め 〇あらかじめ
×何れ 〇いずれ
×未だ 〇いまだ
×概ね 〇おおむね
×直ぐに 〇すぐに
×遂に 〇ついに
×殆ど 〇ほとんど
×先ず 〇まず
×未だ 〇まだ
×等 〇など
×迄 〇まで
《理由3》接続詞である
<例>
×或いは 〇あるいは
×尚 〇なお
×拠って 〇よって
《理由2・3両方に当てはまる》接続詞・副詞である
<例>
×即ち・即ち・便ち・乃ち ○すなわち
※これは新聞社協会の独自ルールだったかもしれません。でも、自分も使いません。
《理由4》指示語である
×貴方 〇あなた
×此方 〇こちら
×其方 〇そちら
×其れ 〇それ
×何れ 〇どれ
《理由5》使う場面で使い分けが必要
《例1》ください
ものを欲するとき、ものをもらった時は漢字
補助動詞として使う場合、動作を促す場合はひらがな
《例2》ところ
場所を表す場合は漢字
形式名詞(言葉の意味が失われて形だけが残った名詞)の場合はひらがな
※形式名詞は他にも、「こと」「もの」「わけ」「はず」「うち」「つもり」「の」「ため」「ひと」「ほう」「とおり」など18種類以上あると言われています。ここに出したのは、よく使われるものだけです。
《理由6》モラルの問題で漢字表記すべきでない
障害→障がい
子供→子ども
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ここまでは、簡単な例です。ここからあとは、一覧です。上記に重複もありますし、もしかしたら抜けがあるかもしれませんが、そこは申し訳ありません。ご自身でお調べになってください。
上記までと同じで、左側を×、右側を○とします。スペースが広いのは、一番長いものに合わせた結果です。(ただし、スマホを横にしても入らない時は二段になってます。)また、○のあとに理由がある場合は、漢字でも良いことがあると考えてください。(もちろん、ほかの理由で使えることもありますが、ご自身でお調べいただけると幸いです。)
×敢えて ○あえて
×当たって ○あたって
×貴方/貴女 ○あなた
×余り/余りに ○あまり/あまりに
×予め ○あらかじめ
×有る/有り ○ある/あり
×或いは ○あるいは
×改めて ○あらためて
×併せて ○あわせて
×言う/言わば ○いう/いわば
×如何/如何に ○いかん/いかに
×幾つ ○いくつ
×何れ ○いずれ
×致す/致します ○いたす/いたします
×頂く/戴く ○いただく
×至って ○いたって
×何時 ○いつ
×一層 ○いっそう
×一旦 ○いったん
×一杯 ○いっぱい
×一遍に ○いっぺんに
×今更 ○今さら/いまさら
×未だ ○いまだ/まだ
×居る/居り ○いる/おり
×色々 ○いろいろ
×所謂 ○いわゆる
×内 ○うち
×得る ○うる(「~ありうる」の場合)
×嬉しい ○うれしい
×概ね ○おおむね
×置く ○おく(「~しておく」の場合)
×恐らく ○おそらく
×凡そ ○およそ
×及び ○および
×並びに ○ならびに
×且つ ○かつ
×可也 ○かなり
×下さい ○ください
×組合せ/組み合せ/組合わせ ○組み合わせ
×位 ○くらい/ぐらい
×此処 ○ここ
×事 ○こと
×毎 ○ごと
×殊更 ○ことさら
×頃 ○ころ/ごろ
×先程 ○先ほど/さきほど
×流石 ○さすが
×様々 ○さまざま
×更に ○さらに
×し難い ○しがたい
×直に ○じかに
×従って ○したがって
×暫く ○しばらく
×直ぐに ○すぐに
×既に ○すでに
×即ち/乃ち/則ち/便ち ○すなわち
×全て ○すべて
×折角 ○せっかく
×是非 ○ぜひ
×側/傍 ○そば
×大分 ○だいぶ
×沢山 ○たくさん
×只 ○ただ
×但し ○ただし
×例え(ば) ○たとえ(ば)
×度/度々 ○たび/たびたび
×為 ○ため
×団欒 ○団らん
×丁度 ○ちょうど
×一寸 ○ちょっと
×遂に ○ついに
×付き ○つき/づき
×繋げる/繋がり ○つなげる/つながり
×出来る ○できる
×問合せ/問い合せ/問合わせ ○問い合わせ
×通り ○とおり/どおり
×時 ○とき/どき
×何処 ○どこ
×所/処 ○ところ/どころ
×伴い ○ともない
×共に ○ともに
×者共 ○ものども
×捉える ○とらえる
×取扱/取扱い ○取り扱い
×無い/無く ○ない/なく
×尚 ○なお
×尚更 ○なおさら
×中々 ○なかなか
×何故 ○なぜ
×等 ○など
×何卒 ○何とぞ/なにとぞ
×成る ○なる(「~になる」の場合)
×何等/何ら ○なんら
×甚だ(しい) ○はなはだ(しい)
×一つ/1つ ○ひとつ
×一つ一つ/1つ1つ ○ひとつひとつ
×方 ○ほう(「~のほう」の場合)
×他 ○ほか
×程 ○ほど
×程々に ○ほどほどに
×殆ど ○ほとんど
×先ず ○まず
×益々 ○ますます
×又 (は) ○また (は)
×全く ○まったく
×迄 ○まで
×滅多に ○めったに
×滅法 ○めっぽう
×若しくは ○もしくは
×持つ ○もつ(人が持つのではなく、事物が備える場合)
×以って ○もって
×尤も ○もっとも
×専ら ○もっぱら
×下で ○もとで
×元に/基に ○もとに
×者/物 ○もの
×最早 ○もはや
×易い/易しい ○やすい/やさしい
×故に ○ゆえに
×行く行く ○ゆくゆく
×良い/善い ○よい
×様に/様な ○ように/ような
×因って/依って/拠って ○よって
×余程 ○よほど
×訳 ○わけ
×僅か ○わずか
×私達 ○私たち
×割りと ○わりと
×我/我々 ○われ/われわれ
自分で調べておいてなんですが、本作品もたくさん間違ってますね。「尤も」とか「我ら」とか「全く」とか「無い」とか「全て」とか「恐らく」とか。修正依頼が来たら普通に修正してます。勉強不足を痛感しました。
〈〈参考文献〉〉
『中学校指導要領(平成14年4月施行)』
『高等学校指導要領(平成15年12月改正)』
『高等学校指導要領(平成21年3月告示)』
『高等学校指導要領(平成15年12月改正)解説 国語編』
『高等学校指導要領(平成21年3月告示)解説 国語編』
『平成13年年度 日本語教育能力検定試験問題集(聴解問題CD付)』
『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』
『日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』
『記者ハンドブック 新聞用字用語集 第12版』
『必携 用字用語集 第6版』
『最新公用文用字用語例集 改定常用漢字対応』(2010年)
『形式名詞はこれでわかる2003』
『日本語文型辞典1998』
『基礎日本語辞典1989』
※今回、出版社や著者を書かないのは、ある2冊の本が、大学時代の教科書で、現在書籍化されたものだからです。まぁ、内容はだいぶ違うと思いますけどね。当時、新米講師だった先生も今や教授ですし、日本語教師の道は途中で挫折した身で、たった1年しか学んでない奴の事は覚えてないでしょうけど、真面目で、誠実で、本当に良い先生だったので、先生の名前を出したくなかったからです。まぁ、著者がありそうな本って少ないんで、調べられたら一発なんですけど。そして、私の低い学力と出身大学がバレるので、出来れば、そっとしておいて欲しいなぁと思ってますw