第二話 三河の製造力①
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楽しんでいただけると幸いです。
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坊丸は戦国時代に南蛮船が無い理由を港の水深にあるのではないかと考えていた。その為、佐久島・西尾・吉田・田原に港を作る際に、水深に気をつけて編集している。タンカーが入港可能な港湾を想定し、自重なく六十尺の深さで作ってみた。勿論、他の浜辺には浅瀬もあるが、船着場や浅瀬の奥は届く範囲で同じ深さだ。おそらくそのせいだろう。編集が進化し、階級のうしろに[ Ⅱ ]が付いている。
---中級神になったらしい
寝言は忘れよう。さらに奥まで水深を深く出来たし、三河湾全体を同じ深さに出来たので、良かった事にする。数日間、海水が減ったとか海神様の祟りじゃとか戯けた報告が上がっていたが無視した。
編集進化は他にも原因が考えられる。南蛮船造船の他にも、蒸気船を作りたいと考えていた。イギリスの蒸気機関を考えれば、実用性に耐えるものは一七一二年に作られた。しかし効率性は悪く、産業革命の起爆剤として知られる効率化されたものは一七六九年に作られている。だが原型はどこにあるかというと、古代アレキサンドリアの「アイオロスの球」または「ヘロンの蒸気機関」という紀元六十年代の発明まで遡る。しかもイギリスと違いレシプロ式ではなく、蒸気タービンの概念が含まれていた。つまり、エンジンが作れるのだ。
固有技能「前世の記憶」の追加知識さまさまだ。坊丸の前世での専門分野では無い。しかし、南蛮船や蒸気船、勿論、関船・安宅船などの船の歴史も大学一年次にレポートを書いていた。その時の記憶のおかげで、ガレオン船の設計図も蒸気船(黒船)の設計図も書き起こすことが出来る。勿論、ヘロンの蒸気機関もだ。
しかし、作れても動かなければ意味がない。そこで思いついた(思い出した)のは、大学二年次に聴講した「人造石油の生産と問題点〜日本近代史以前に作れたとしたらいつか?〜」というなんとも巫山戯た題名の講義だった。
人造石油とは石油以外の化石資源で作る人工的な石油の事だ。石油以外の化石資源とは、すなわち石炭や油母頁岩や油質頁岩または油頁岩と呼ばれる腐泥岩の一種を指す。石炭は残念ながら、本州だと長門国宇部か陸奥国石城にしか無い。油母頁岩などは泥岩層から取れるが、三河・尾張には無い。一番近くだと遠江にある。
だから、坊丸はこの世界はファンタジーな異世界だと信じ、三河の二つの山(詳細な位置は秘匿する)を編集して産出出来るようにした。また、これまた城編集の応用と自身を言い聞かせつつ、環境汚染の起こらない施設を造った。
その結果、蒸気船も作れるようになった。運搬技術から佐久島では蒸気船を作れないが、西尾・吉田・田原では、年間蒸気船を約一隻程度、南蛮船を年間二隻作っている。なお、南蛮船と蒸気船で交易はしていない。一番積載量は多いが、寄港出来ないからだ。




