第三話 えぐい謀略
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
永禄四年暮れ、六角四郎が浅井新九郎を伴い、六角承禎と会い、何かを話し合った。小角衆の目には、六角承禎が安堵したような目をしたという。四郎らが退出すると小物らに、各所連絡をさせた。それぞれに小角衆から影がついており、その連絡は逐一来ている。
ここは、曳馬城天守閣。長勝の執務室だ。天正五年正月までは、あと幾日も無い。観音寺城に関する報告を、小角衆筆頭の鉢屋半四郎改め鉢屋弥四郎(二代目)から聞いているところだ。この二代目弥四郎は勘四郎の弟で、勘四郎が家老家を弥四郎が忍び衆を率いている。なお、先代弥四郎は前四郎と改め、相談役兼小角衆の教育係として存命だ。
「それで?」
「はっ。四郎・新九郎らは、退室後、自室で謀臣・近臣らと話し合い、決行すると。」
「相分かった。各所に連絡、決行は正月。国境に兵を配備。数は各国三万。蟻一匹逃すなと伝えよ。六角家をすり潰す。」
「はっ。」
「ここからは独り言よ。四郎・新九郎どちらでも良いが、後藤のみならず、蒲生・目加田それから承禎と中務少輔も殺してくれると良いのぉ。ただし、小角衆が動かずにの。」
「種村三河守と建部日向守というちょうど良い駒が六角におりまする。」
「ならば、それを使え。攻め手には知らせるな。そ奴らはすり潰す。」
「ははっ。」
三好の動きも気になる。それについても聞いてみるか。勘蔵の兄もおることだし、何か知っているか?勘蔵の家も鉢屋家と同じで、勘蔵は家老家、兄市平は忍び衆として生きることになっている。鉢屋家と違うのは兄と弟で役割が逆なことだろう。
「三好に何かないか、市平?」
「はっ、嫡子孫次郎が寒さにやられたか寝込んでおりまする。」
「ふむ。飲水平癒薬を送ってやれ。飲水の部分は万能とか変更させておけ。それから、徐々に服用を増やすように処方箋を書き直しての。」
「はっ?適量ではなく?」
「織田からと分からぬように送った方が良いの。松永・内藤は使うな。安宅摂津守から届いたように仕向けよ。」
「は、はぁ?何か起こるので?」
「あれは飲水病の者にとって適量であれば平癒薬として間違いない。だが、飲水病であろうとそうでなかろうと大量に摂取すると死ぬ。」
「え?ええっ?!」
「薬は毒にもなるというであろう?そういうことよ。安宅は筑前守に殺されよう。息子も死ぬ。筑前守も早くに狂い死しそうよな。」
「ははっ。」
家臣たちにドン引きされたが、本来体内で生成されるあれは毒として顕れにくい。あれが出来たと聞いた時は、こんな使い方を考えもしなかったのだがなぁ。
息子は夏か秋かに逝くだろう。そうしたら、安宅もその頃に。つい殺ってしまって、はたと気づけば狂うしかなかろう。後継は年齢的にいけば豊前の息子だろうが、どうなるか。十河にも庶子がおったようだし。その庶子、三好氏は八幡太郎の血流ではなく新羅三郎の血流にも関わらず、孫太郎と名付けられた子が後継になるとしたら、ますます十河の筑前守庶長子説が濃厚よな。
それから、松永家と内藤家に、三好と将軍家の間で争いが起き、将軍を殺すようなことがあれば、独立もしくはこちらに鞍替えするように促す。あとは、近江の大津辺りに治部方の富城らを配備し、六角家の正月の祝いが始まったら、事が起きようが起きまいが、室町第にかけこませ、内乱の鎮静化に関する許可を捥ぎ取るように指示する。六角家ということで、将軍が渋るようなら一千貫ずつ積んでいけと、二万貫を用意した。勿論、出来るだけ金子が少なくなるように、次男三男がこちらで官吏をしている家にはきちんと根回しを忘れない。
以前は、織田憎しで纏まっていた一門の者たちもこの数年で軟化し、次男三男を官吏に出してくる家もちらほらいる。憎しみは風化しないというが、金子で劣化するような者たちだ。室町第での生活が、大名時代に比べると極貧であるからだろう。主に献上金で贅沢な暮らしをするのは将軍だけだからかもしれない。
相変わらず、将軍は猿のような生活だ。まだ、義輝が将軍だった方がマシだったのではないかというような意見も聞く。本人は剣に生きると言って、家臣たちを振り回しているが、家臣たちも史実の将軍時代とは違い、心から笑顔ようでほっとしている。なお、正室には妹の犬が嫁いだ。だいぶ、年が離れているが仲睦まじく、春には子が産まれそうだ。
記念すべき200話目。お読みいただき、誠にありがとうございます。
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