官位の「かみ・すけ・じょう・さかん」について
いつもたくさんの方々にお読みいただき、誠にありがとうございます。Twitterで毎日PVとランキング報告をしているせいか、一定の読み手さんも獲得出来ているようで、嬉しく思います。
さて、本書は歴史小説というよりも和風ファンタジーの転生ものの趣きに近い作品の為、歴史に詳しくない方も読んでいただけているようで、ありがたい事です。いただいたレビューもそうありました。
そのためなのか、官位に関して統一してほしいみたいな誤字報告をいただくことがあります。(感想を求めていない為、そこに書いてくださる方が複数いらっしゃいます)
感想を求めていないのは、過去作品で、出版社の勤めているわけではない普通の人にガッツリ「ここを書き直せ」的な感想を貰って萎えた為なのです。その感想は削除済です。それはさておき、よく誤字報告で寄せられる、官位の「かみ・すけ・じょう・さかん」について説明させていただきます。
まずは、事典に載っていたものを。出典は、藤野保編『日本史大事典』(朝倉書店 2001年)、記載されているのは107ページにあるものです。
四等官制
令制において諸官司の官員を長官・次官・判官・主典の四等級に定めた制度。
神祗官では伯・副・佑・史
省では鄕・輔・丞・録
職では大夫・亮・進・属
寮では頭・助・允・属
国では守・介・掾・目
と異なった文字を使用するが、すべて『かみ』『すけ』『じょう』『さかん』と読み、その職掌も大体において同様であった
とあります。
正式な官位はこのようになっています。おそらく、統一してほしいと仰る方はこの事典に類するものを見て仰っているのだと思います。
実は、官位相当表は高校生くらいで使う便覧の方が詳しかったりします。京都書房『新定国語図説』や浜島書店『最新国語便覧』や文英堂『原色シグマ新国語便覧』とかですね。もしかしたら、これを見てるのかな?とも思いますが、たぶん、便覧見てるなら、数が多すぎて気にならない気もします。
上記の大事典に出ていないものだと、以下の通りです。すけ・じょう・さかんのいずれかがないものがあるので、ルビを振りますね。
司では正・佑・令史
内膳司では奉膳・典膳・令史
弾正台では尹・弼・忠・疏
兵衛府・衛門府では督・佐・尉・志
太宰府では帥・弍・監・典
郡司では大領・少領・主政・主帳
※大郡・上郡・中郡は全てありますが、下郡には「じょう」が無く、小郡には「すけ」「じょう」がありません。
後宮十二司の内侍司・蔵司・膳司・縫司では尚・典・掌
後宮十二司の残り八司では尚・典
東宮の春宮坊では大夫・亮・進・属
春宮坊の監では正佑・令史
春宮坊の署では首・令史
家令では家令・扶・従・書吏
※家令二位には「すけ」が無く、家令三位には「すけ」「じょう」がありません。
検非違使では別当・佐・尉・志
勘解由使では長官・次官・判官・主典
となっています。多いです。ここまで見ていて、統一して欲しいと言っている人は本当に拘りがあるのでしょうね。
さて話を戻しまして、何故、本書で統一されてないのか。というと、武家自称官位が統一されてないからに他なりません。多いのが「すけ」と読む、介・亮・助・佐・允・丞・佑という漢字を使っている歴史上の人物が多いせいでしょうか?特に允・丞・佑は官位なら「じょう」と読むので、自分もだいぶ勘違いしています。どっちなのか分からなくてなる事もあります。仕方ないので、本書では、「允・丞・佑」の三文字については「じょう」と読んでいます。あ、人名は「すけ」ですよ。あくまで官位の話です。
私もオリジナルで官位をつけたり名前をつけたりしてますが、そこまでこだわっていないので、統一していません。兵庫介とか兵庫助とか色々言いたいことはあると思いますが、一番最後に登場人物の参考文献を載せておきます。これを見たら、「あ、本当だ」と思うと思います。
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新人物往来社
『戦国大名家臣団辞典(東国編)』『戦国大名系譜人名辞典(東国編)』『戦国人名辞典』『戦国時代人物総覧(別冊歴史読本)』『歴史読本(戦国大名家370出自総覧)』
東京堂出版
『徳川、松平一族の辞典』『徳川家康家臣団の辞典』
新紀元社
『戦国武将ガイド』『戦国大名マニュアル』『戦国国取りガイド』
秋田書店
『戦国大名家臣団総覧(歴史と旅臨時増刊)』『戦国大名家総覧(歴史と旅臨時増刊)』
星海社新書
『全国国衆ガイド(戦国の”地元の殿様”たち)』
角川書店
『天下統一Ⅲ(完全攻略ガイド)』
講談社
『クロニック戦国全史』
コーエーテクモゲームス出版部
『戦国武将総覧1000 中央編』『戦国武将総覧1000 東国編』『戦国武将総覧1000 西国編』




