第十話 比叡山は攻略中らしい
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なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
高野山は「山」という名ではあるものの、地理学上の山ではない。高野山全域が寺の境内地とされ、境内の中に発展した町である。高野山とはつまり、金剛峯寺のことである。弘仁七年に嵯峨天皇から弘法大師(空海)が下賜され、修禅道場として開いた日本仏教における聖地である。
令和の記憶を辿れば、高野参詣道として黒河道、女人道、京大坂道不動坂、三谷坂、丹生酒殿神社と金剛峯寺境内六地区、建造物十二件とが熊野、吉野・大峯と共に世界遺産に登録されていた。ちなみに、大峰衆の大峰は、世界遺産の大峯と同義である。
まさか、その金剛峯寺にもあの宗教が浸透しているとは思ってもみなかった。大峰衆を筆頭に、山窩衆の大部分はあの宗教の信者ではあるけれども、どうやったら、仏教の聖地たる高野山真言宗を傘下に置けると思う?それだけ大峰衆が大物だったと言うだけだろう。大峰衆の窓口は鬼平太しかいない為、それ以外は知らないが、もっと上の地位を用意した方が良いのではないか?と聞いてしまった。
要らないらしい。『鬼遣いの後継者』という称号は、取得してもう随分と経つが、ものすごい称号のようだ。役小角の使役鬼たる前鬼も後鬼ももう血はだいぶ薄れたとは言え、「山」を冠する寺社仏閣に対しては絶大な力があると言うことだろう。ちなみに、大峰衆は前鬼の裔で、銭屋と叢雲衆は後鬼の裔だ。大峰衆も叢雲衆も小角衆とは独立した組織だが、長勝の下では、一つとして扱っている。とは言え、大峰衆は山門寺社仏閣からの情報収集をしているし、叢雲衆は商業系からの情報収集をしており、小角衆はそれ以外からの情報収集をしている。
なんだろう?海を制したから、山を制して欲しいと言われている気がする。日ノ本の静謐には全ての土地を制する必要がある。やれと思われているならやらねばなるまい。
閑話休題
紀伊の飛地も長勝の出陣も決まってしまった。海から那智に上陸して、白浜を通って、ほぼ空っぽな手取城などの畠山の城をことごとく落とした。和泉・河内・大和と隣接するところまで、兵を進めて、ハタと気づく。この時期って、まだ大和は三好の支配国じゃなくね?と。
大和の信貴山城は、某ゲームではずーっと松永弾正が城主として居座っているが、松永弾正が城主となるのは永禄二年のことである。歴史に初めて登場するのは、『経覚私要抄』には応仁の乱の過程で戦闘に敗れた畠山義就が「信貴山」に陣を退いたという記述である。また、『足利季世記』には畠山尚慶が「信貴城」を使用したという記述などが残っている。おそらくこの頃の信貴山城は砦なのであろう。史実では、天文五年に木沢左京亮が本格的に城郭を築いたとなっている。それから木沢左京亮が亡くなる太平寺の戦いまでは木沢左京亮が城主である。その後、松永弾正が城主となるまで、歴史の表舞台から姿を消す城だ。
さて、となると、今誰が大和の支配者?となると思う。守護的には畠山氏で、現在の守護代は安見美作守だ。しかし、実際のところ、畠山の支配力がきちんと及んでいるのは河内くらいで、紀伊は高野山や根来・雑賀の国人支配であり、大和は筒井・越智・箸尾・古市の四氏による群雄割拠の真っ最中であった。
つまり、大和も取っちゃおっか。となるのは自然の流れだ。とりあえず、長勝らは高野山入りする。当代座主で第百九十九世の行祐上人と、一番弟子の栄仁殿の挨拶を受けた。その後、高野山から、大和に影響力のある寺社仏閣に降伏勧告を行い、筒井氏が降伏。残りは撫斬りとした。
となると、隣接する伊賀国も気になるところだが、伊賀国は六角家の影響下にある、阿拝郡・名張郡・山田郡には手が出せない。ならば、残る伊賀郡を・・・とはならなかった。伊賀郡は名張郡ほど大和国には隣接していない。一部接してはいるが、六角家に対して角が立つため、そこを取ろうとは思えなかったのだ。
紀伊・大和合戦後、国境に移動する。とりあえず、紀伊・大和と和泉・河内・伊賀の国境沿いにずばばーんと長城を編集。材料は残っているので、割と簡単だ。
安定の拝まれるを背景にしながら、加賀長城に置いてあった、大砲などを設置して、関所という名の通り道を作っておく。商人・僧侶・公家・流民・旅人は通すが、足利・畠山関係者および軍は通さない程度の軽い関所だ。
また、紀伊の幾つかの湊も編集しておく、南蛮船も黒船も寄港できる深さを造っておく。いつものように、水位が上下する様を拝まれるが、いつものことなので、スルーする。慣れてはいけないところを慣れてしまい、失ってはいけない何かを失った気がするが、気にしたら負けだ。