第五話 西征軍出陣
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
水窪孫九郎と島津勘六郎が神妙な顔つきでこちらを見ている。その後ろには、それぞれの一族と歴戦の猛者たちが並んでいる。すでに策は授けているし、幾人かの調略も済んでいるが、それ以外は鏖殺でかまわないとも言ってある。
特に、水窪は馬場肥前守一族、島津は島津八郎左衛門尉一族に因縁がある。なお、龍造寺を滅ぼした馬場肥前守も、現在薩摩を支配している島津八郎左衛門尉も代替わり済みで、先代は鬼籍にある。敵討ちをしようにも死体に鞭打つ状態ではあるが、そこまではしないようにと釘はさしてある。
二人ともというか、両家ともというか、こちらを畏れているのか、赤べこの玩具のように、首を縦にぶんぶん振って承諾していた。そこまで畏れられるようなことをしただろうか?まぁ、孫九郎も又四郎も「稽古お願いします!」と言われれば、いつも通りにしているが。
「孫九郎、勘六郎、その方らは、これより九州に、織田家の旗を立てる。切取り次第というわけにはいかんが、その方らの願いは出来るだけ叶えよう。」
「はっ、某は苗字も土地も水窪に頂いておりまする。此度は、父祖父の敵討ちも出来る。それ以上は望みませぬ。」
---あれ?龍造寺隆信って
---だいぶ野望高かった気が・・・
元々の志は、独創だった。そう、信長と同じ。教育(叩きのめしたあとの、領民の心得唱和)によって、志が変わったのであろうか?まさか、叩きのめし過ぎて、頭を・・・、うむ。考えるのはよそう。
そう言えば史実と違い、織田家の中で佐治家の地位が低い。まぁ、長勝がやらかしすぎて、織田家の海軍は、佐治でも九鬼でもないからであるが、何が言いたいかというと、佐治與九郎は諱の「信」を賜っていないので、名前は「為興」のままだ。また、信長や長勝の妹犬を娶ってもいない。
「孫九郎は、犬と仲が良かったよな?」
「へ?あ、いや、お犬様はよくしていただいておりまするが、主家の姫にそのような思いは・・・、そのぉ。」
「犬に聞いてからにはなるが、犬が無理でもそちを慕う庶妹はおる。事が成った暁には、そちは義兄弟よ。気張れ!」
「ははっ」
犬もそうだが、市も浅井に嫁ぐか分からない。現段階で美濃に隣接する北近江の浅井家とは、戦こそしていないが、微妙な関係だ。織田家と六角家の関係が冷え込んでいないことが大きな原因だ。
そもそも織田家と六角家との関係は、織田信秀の正妻(土田御前)が、六角定頼の従兄弟和田左馬頭定秀の娘(定頼の養女)であり、長勝の正妻(長尾虎千代)が六角定頼の弟和田備前守高盛の養女なので、縁戚にあたる。なお、定秀と高盛の関係は不明だが、定秀に子がいなかったので、養子に入ったのかもしれない。
史実で、織田家と六角家の関係が冷え込んだ理由は、織田信長の怨敵、斎藤義龍が六角家と同盟したからである。今世では、義龍がいないし、同盟を結ぶ前に斎藤家は滅んでいる。
浅井家は以前、久政に代替わりしたばかりの頃に、六角家に従属したのだが、定頼が亡くなり、義賢が当主になると、独立して争うようになった。ただ、久政も史実の評価通り、戦下手だったようで滅ぼされてはいないものの、また従属状態に戻りそうな勢いだ。
六角家としては、三好を抑えて、京における地位の向上が目標のため、浅井家に対して本気ではなく、そのおかげで浅井家が生きながらえている感じがする。
浅井家は、しきりに朝倉からの支援を期待しているようだが、朝倉も照葉宗滴が死に、加賀を追われて越前に毎年攻め込んでくる本願寺派の一揆勢にギリギリ対応している状態のため、まともな内政も出来ず、徐々に疲弊しているため、浅井に助力は無理そうである。
加賀の一揆勢とは言っているが、手取川長城があるため、加賀一国とは言えない。まぁ、加賀の中では肥沃な土地なので、まだ一揆勢を保ててはいる状態だ。本当なら、尾山御坊を取り返したいのだろうが、近年では諦めて、歴史ある吉崎御坊を中心に活動している。ただ、国一つは欲しいのであろう。加賀が無理だから、照葉宗滴のいなくなった越前をと考えているようだ。
閑話休題
海軍を使って、水窪孫九郎と島津勘六郎は出陣した。それぞれ十万の兵力だ。なお、海軍によるピストンが終わったら、海軍は琉球と高砂を墜としてもらう。琉球は明貿易の拠点ならびに、愛新覚羅氏援助の拠点となる。高砂は、おそらくいるであろう、ポルトガルやスペイン勢を追い出して、南蛮の壁とする。まぁ、この時代の高砂は色んなヤバい病原菌の宝庫な島だから、原住民を根こそぎ、こちらに移動させて教育しよう。人がいない島は、焦土とするのがいいだろう。
本来ならは征西(西に征く)が正しいですが、章タイトル通り「西へ征くということで、「西征」となっております。