第四話 九州・南海に遠征する理由(暇になったからではない)
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なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
御幸の相談を受けた後に東日ノ本を統一したから、あれから四年になる。関東は勿論のこと、東海・北陸は今回織田家の支配下に入った美濃・飛騨を除いて、明治中期くらいの石高までにはなった。
北海道や東北の一部はまだ、開墾の余地が多く、鉱山も掘り尽くしたりはしていないが、戦国時代にはなかった採掘方法も採用しており、取れ高が非常に高かった。また、いわゆる灰吹法も使っている為、単一金属の純度の高い鋳塊も多く製造している。
この時代、金の流出が有名であるが、東海探題家では、明・朝鮮・南蛮に向けて、銀に見える金属を輸出し、逆に金を手に入れている。元素周期表が出来るまでに、約三百年ほどある。この金属を銀ではないと判断するのは重さしかないのだが、そこは編集(重さを変更)させてもらう。だから、長勝しかつくれないが、一番の外貨収入だったりする。この金属、ちゃんとした別名もカタカナの正式名称もあるが、輸出品名は「ギン」となっている。完全な遊びな輸出品だが。令和の頃だと、金とこの金属との価格差は、一万対三くらいだった。
ともかく、史実では故意なのか過失なのかは知らないが、外国の貿易商によって、江戸時代の後期は、幕府が維持できないほどの金の流出があったことは、歴史を学んだ者なら誰もが知っていることだ。今の時代では無いにしろ、これは経済戦争に他ならない。ならば、時代を先取りして、こちらから中華や南蛮に仕掛けておこうということだ。それに、明は終わりが見えている。
とは言え、愛新覚羅努爾哈赤が生まれるまでもう少しある。しかしなんと、海軍と小角衆は女真族の愛新覚羅氏に接触し、援助交易を行っているという。あまり覚えていないが、幼い頃に「明が滅び、清が興る」的なことを言ったのであろう。そう言えば、一時期、中国だか朝鮮だかのことばを話す流民が多かった時期があった。あれは攫ってきたのではなかったのかもしれない。
閑話休題
内政が充実すると、天下統一を目指す織田家としては、どこかに戦を仕掛けないと、家臣の心をまとめるのも難しい。東海探題家としては、東日ノ本を統一したから良いとか、思ってはいけないらしい。これもまた、ボソっと言ったことではあるが、足利将軍は三好に倒してもらわないといけない。ただ、三好筑後守にその意思は無さそうなので、三好・足利を刺激しない何処かに攻め込まないと、という話が軍略方と評定方でまとまったようだ。
それが今回の九州・南海攻めに繋がった。長勝は本拠地曳馬から動かない。旗頭は二人もいるのだ。それで十分だろう。九州を統一するのに一番の邪魔者は大友・大内だ。そこは、状況を見て朝敵にする予定だ。材料はあるのだ。難しいことでは無かろう。その後は、南から伊予・土佐、中国地方を北上させよう。安芸しかない毛利は怖くないが、尼子民部少輔はまだ怖い。まぁ、挟み撃ちに出来れば、なんとかなるか。いや、なんとかしよう。