第七話 中村村でのやらかし
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中村村は七十の家があり、四百二十から四百三十人ほど住んでいる、この時代のごくありふれた農村だ。住んでいる人数がだいたい石高と同じなのも戦国時代の特徴なのだが、戦になるとこれらの家の家長は足軽または雑兵として駆り出される。ある程度の広さがありながらも開墾はまだまだ出来そうな余地があった。
この中村村の拝領については、私自身で望んだ事だ。父信秀の直轄領で言えば、もう少し大きな村もあった。その為、父はもう少し大きな村をとまで言ってきた。その村は吉法師様にと断り、渋々納得して貰った。中村村にしたのには理由がある。
理由は、対面式のあとの話し合いまで遡る。あの日手に入れたモノに由来する。加護はこれまたチートだったので追々触れていこう、領地経営には必要なものだし。手紙は前のようにボカロ風だった。内容のうち、本文は大したものではないので触れないでおこう。重要なのは追伸だった。
追伸には、坊丸誕生後一年毎に転生者があと六人生まれる事と南蛮渡来が近いせいか予期していない異能が付与されてしまっている事と転生者は美濃一人、尾張五人、三河一人。転生者は、二人を除き織田家の歴史に大きく関わる者らしい。なお、歴史改変を望んでいるようだから、生まれなくしても良いともあったが、子供のうちでは無理だろうよ。
南蛮渡来の異能、心当たりが大いにある。隠しステータスの中にあった大罪系スキルがそれだろう。なるほど、詰め込み過ぎだと思ったら、そんな理由か。そして、回収するのは私なのだろう。そんな能力だし。
中村村の拝領の理由に戻ろう。坊丸は数え年三歳。転生者は一人は生まれているはずだ。今年また一人生まれる。坊丸の一歳年下で、織田家の歴史に大きく関わる者はおそらく木下藤吉郎だろう。鑑定し間違いなければ、他国の二人もおおよそ見当がつく。三河の一人はだいぶ年下なので、歴史改変云々も説明出来る。美濃の一人は生まれに諸説ある人だが、だいぶ年上ではなく、二歳年下の説が採用されたに違いない。他の四人が分からんが、そのうち二人は織田家の歴史にあんまり関わりないようだし、分からなくて当然か。
中村村では、代官の稲熊がその配下と思しき二人の男を連れて出迎えてくれた。一人は小出甚右衛門、一人は木下弥右衛門。小出甚右衛門は知らないな。あ、いや、小出姓には心当たりがある。長浜城主時代の羽柴秀吉の連枝衆に年下の叔父で小出甚左衛門がいたはず。同じ中村出身だったが、小出甚左衛門はまだ生まれてもいない。という事は、その父親かな?しかしここで木下弥右衛門に出会えるのは嬉しい。簡単にのちの木下藤吉郎に会えそうだ。この頃は、日吉だったかな?
いきなり上司の稲熊を無視して、木下弥右衛門に子どもに会わせろとは言えないので、村を回りながら、説明を聞いてゆく。この時代、当たり前だが、畑の形は統一されていない。道に沿って作られたのか、開墾した土地の形のまま作ったのか歪な形をしている。そこで、実験と称して開墾予定地に新しく田畑を作る事にした。まだ雑木林なので伐採から始める。
中村村に来る前に、父信秀から開墾費用はせしめている。主に米や味噌それから銭だ。父信秀は雑役として働かせれば良いと言っていたが、税を払うつもりで働くことと、米や銭を貰って働くことでの違いも実験だと言ってだいぶせしめた。雑木林の伐採から田畑造りまでの期間、「一日あたり銭十文、味噌焼き握り飯二つで五十名雇う」事にしたのだ。この費用は、二十五年ほど後に書き始められる『永禄六年北国下り遣足帳』を参考にした。あの資料だと二人旅で一泊二食付の宿泊費用が四十八文なのだ。場所代がよく分からないが、宿泊費の半分として二十四文。一日二食を二人でとして計算すると一人あたり一食六文となる。また握り飯のくだりは、百年以上あとの資料である『雑兵物語』を根拠とした。江戸時代の兵役で日雇い労働者の賃金は現物支給を原則としてる。その資料によれば、「一日に米六合、水一升、味噌 二勺、塩 一勺」とある。江戸時代のだいぶ物価が安定した頃の事だから、戦国時代にここまでのものを支給するのはおかしいので、銭に色を付け握り飯に味噌をつけて二つとしたのだ。
しかし、やはりと言うか多かったようだ。五十名雇うと言っているのに四百人を超えて集まってしまった。どうやら病人や乳飲み子以外の村人全員が来ているようだ。仕方ないので、斧が持てない子どもや斧に振り回されてしまった老人たちは帰ってもらう。まだ、男の子が来るのは分かる。女の子まで来るのはどうなのだ。あとは老婆もだ。それでも百五十人ほどが残った。女の子や老婆たちも出来る事をしたいと残りたがる始末。予算には限りがある。ここで甘い事は言えないのだが、甘いのだろう。味噌焼き握り飯一つで切り倒した木材の散った枝などを薪として一箇所に集める作業をしてもらう事にした。これなら女子どもでも出来る。
雑木林の伐採は美作守の予測では三四日だった。ところがどうだ。日が暮れる頃には、切り株だけを残し、予定地全ての伐採を終えてしまった。あり得ないとは思うものの、士気も高くやる気のある村人たちに、気を良くした私はしなくても良いのに、編集で整地をして見せた。
「中村の者たちに、我が加護の力を見せ、褒美としようぞ」
そう言うと、両手を地面に付け、伐採された土地を目視し、「切り株を土の上に、大地を整地に、編集!」と念じた。リアルに見るとやや気持ち悪かったが、ボコボコボコッという音とともに切り株が大地から切り離され、大地は街道ほど硬くはないが真平に整地された。うんうんと満足していたが、周囲が静かすぎる。振り返ると、傅役から家来衆に至るまで平伏している。中村村の者たちはぶつぶつと拝んでいるではないか。「仏さまじゃぁ」とか「お天道さまじゃぁ」などとも聴こえてくる。
「驚かせたようで、すまぬ。この中村村をはじめとした尾張全てを武稲種命さまより豊かにするための加護をもらったのじゃ。皆の忠義に応えて見せはしたが、内密にの」
《配下の忠誠が百を超えました。》
---え?どう言う事?!
---最大値百じゃないの?
《中村村の民忠最大値が百になりました》
《中村村の民忠は現在、九十です》
《人心掌握を発揮しますか?是/否》
---え?じゃあ、是
《中村村の民忠は現在、百です》
《坊丸からの命令には絶対従います》
《技能「威光」を手に入れました。》
その場にいた全ての者たち(隠れている者を含む)が平伏した。
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