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別視点 今川の二人

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)


なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。

〜島津瀬名side〜


 私の生まれ育った、駿府城はすでに無くなってしまった。なんて、しんみりした言い方になったけれど、焼け落ちたとか、更地になったとかではない。


 落城したのは随分と前だし、裳着をする頃にはもう織田の城の一つだった。それが、帝が来るとかで、城としての機能がなくなると決まったのは、私が勘六郎様と婚姻を結んだ頃。今川治部大輔様の姪っ子として過ごした期間は確かに短いけれど、もしそのまま、今川の姫だったならば、自由に恋なんて出来ただろうか?


 まぁ、旦那様は、初恋の人でも、二番目の恋の人でもない三番目の勘六郎様だけど。勘六郎様もそれはご存知だから、「仕方ないね。」とお笑いくださるわ。頭も切れるのに、そんなお優しいところに絆されてしまったのだけれど。


 あら?あちらでは、井伊の祐様と従弟殿がこの都を見て回っているわ。勘六郎様に話して、合流しようかしら?


「祐様、お久しぶりです。」

「あゝ、瀬名様ごきげんよう。」


 隣では、従弟殿と勘六郎様とが、話をしているわね。「薩摩での御大将、寿ぎ申す。」って、相変わらず、堅い子ね。叔父様はだいぶ柔軟な方なのに。まぁ、それでも生粋の公家と並んでも遜色ない礼法や和歌のできる従弟殿は、司芭様や富城様に次ぐ地位にいるから、猪ではないのよね。それを言ったら勘六郎様も叔父様に並んでも遜色ない謀略家なのだけれど。


 そうなのよね。勘六郎様は、この式典が終わり次第、海軍の船団に同乗して、薩摩に向かわれるの。十万軍の御大将よ。叔父様が今川の当主だった頃でさえ、そんなに率いたことはないわ。自慢の旦那様、うふふ。東海探題軍ではよくあることだけど、飛地を好んで侵略する行軍の仕方は、同盟国を挟んでとかならあるかもしれないけれど、「海は繋がっているから」という理由でとは、思いもつかないわね。さすがは私の初恋の方。その奥方様が二番目の恋の方だけど。だって、かっこいいんですのよ。虎様。


〜今川彦五郎side〜


 また、いらんことを考えてそうな顔をしていますね、従姉殿は。従姉殿も、某と同じで今川の血縁、もっとしっかりして欲しいものです。しかしながら、あの方のお陰で、殿の覚えめでたき島津殿と縁続きになれたのです。したくないけれど、感謝します。薩摩のこと寿ぎ申し上げたのち、そっと、島津殿には伝えてあります。


 島津殿としても、殿の義兄で、殿の一番弟子で、次期治部方家老と縁続きは嬉しいと仰せ頂きました。出来ることをやっているだけなのです。持ち上げすぎですよと、苦笑してしまいます。


 義兄なのは御婆様と一緒について来た妹のおかげです。私は何もしておりませぬ。御婆様が段取りしただけです。一番弟子なのは、最初の弟子だからです。一番強いわけではないのです。治部方で活躍できているのは、司笆様や富城様が牽引してくださるからです。和歌や礼法は好きでやっているだけなのです。それもこれも殿から拝領した書物を覚えただけのことです。


 ふと考えることがありまする。殿が攻めて来ず、父の元で家督を継いでいたら・・・、やはり滅びていたでしょうね。役割のある武士としては大成できても、君主には向かなかったのではないかと。そもそも、数年をかけて一国を落とすのが常識の今の世で、一戦で一国、数ヶ月で数国落とせる殿の敵ではないでしょう。


 しかも、地続きではない九州を先に落とすとか、思いつきはしません。確かに言われてみればそうなのですが、「海は繋がっている」など、言えない私が当主など無理な話です。

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