幕間 坊丸教の名称変更
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
〜???side〜
天文十七年某月某日某所にて
「兄上、兄上が最後にござります。ささ、お早く」
弟に誘われて席に着く、ここはの坊丸教集会場でも神域に近いと言われる最初の地。まさか、我らが神も、ここが神域扱いになっているとは思いもしまい。だからこそ、集まりやすいのだが。
坊丸教集会場では、氏も姓も通称も真名も名乗らぬ。教内独自の階級によって呼名が変わる。例えば、一の人とは最初の信者であり、○階の人とは血縁者とか配偶者とか兄弟とかであり、槍とか刀とか武器名が付くのは、領内で我らが神の御前で行われる武闘会のその年の一位の者だ。だから、一階の人とか二階の人とか、一位の方とか二位の方とか、槍○の者とか刀○の者とかと呼ばれている。某は槍一の者と呼んでもらおう。
今回は緊急集会だ。なぜ緊急に招集されたかは、我らが神の側近たる某や弟は存じておるが、他国におった者は知らぬ者も多い。
この円卓におられる最初の信者、一の人に我らが神が接触を図られたからだ。そもそも、我らは神の家臣という仮の姿を持つ。呼びつければ、いつでもおそばに行く。それをわざわざ、「あの宗教の代表者はどこにおる?」と聞かれたのだ。まぁ、お会いになった瞬間「お前かよ」と仰り頽れられたが。さて、そろそろ始まるか。
「同士諸君、本日は急な呼び出しに応じていただき感謝する。数日前、某は我らが神に坊丸教の代表者として会談を持った。」
知らない者らからの熱い声が響く。我らが神は、立場上黙認はしても、それ以外の場で坊丸教を嫌がる素振りをお見せになり、我らはだいぶ気を遣うからの。
「我らが神は、我らに要望があると仰せになられた。」
オオオオォォオーー!!
「残念ながら、坊丸教という名を変えて欲しいとのことだ。」
ザワ ザワ ザワ ザワ
まぁ、気持ちは分かる。我らが神が坊丸と名乗られていた時に、この地で神の御業をお見せ下さり、その名をそのまま(非公認で)使わせていただく事になったと聞いている。
「我らが神は、嫡子にその名を使いたいが、使えないと悲しんでおられた。神を悲しませるのは違うと思い承諾したが、同士諸君!某は間違っていたか?」
間違っていないぞー!!
ワー ワー ワー!!
「名を変える代わりに、我らに御印を賜った!」
我らが神から胸にかけてもらった、その御印を、一の人が掲げる。
「我らが神は、争うなら奇数が良いが、求めるは平穏!ならば割り切れる偶数が良いと、五芒星を二つ重ねて、十芒星の御印を手ずからお作りになられた!」
オオオオォォオーー!!
「それを丸で囲み、鎖をつけて、某の胸にかけて下さった!」
オオオオォォオーー!!
「我らは神のため!この日ノ本を平穏に導く!!我らが神は!この手が血に濡れようとも、我が子らに平穏で幸せに満ちた世界を生きて欲しいのだとも仰せであった!!!」
オオオオォォオーー!!
「我ら坊丸教は、本日より、我らが神!長勝様の真名を使って、長勝教と改める!!神の名だ!誰かに支配される事もあるまい!!!良いかぁ!!!本日から長勝教だぁ!!!!」
オオオオォォオーー!!
オオオオォォオーー!!
オオオオォォオーー!!
おそらく、また、神は「そうじゃない」と頽れるだろうが、よく分かっておるな、一の人よ。さすが、最初の信者であり、最初に直臣となった方よ。坊丸教の名前を初めて知られたときのあのお姿には萌えたものよ。我らが神は、そのお姿も神々しく、衆道を好まれないのが、残念でならないが、どういう姿も素晴らしい。
また、あのお姿を目にできるとは、ありがたいことよ。
長勝教の読みは誤字報告が来たので、仏教よみとなってますが
もともとは神道よみだったので「なかかつのおしえ」と読みます。ただ、どちらで読みたいかは、読者に委ねようと思います。ルビがふってありますけどね