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第十話 罪と罰

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)


なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。

 三河時代に警邏けいら隊を発足させてから、三河国内での犯罪はかなり減った。また、学校を作り領民の心得唱和や罪過の種類を教えるようになって、さらに犯罪は減った。年貢兵役で警邏けいら隊を経験する者が増えると、また減った。だが、減っただけで無くなったわけではない。


 そのため、「○○をしたものは、これを罰する」という条文の、罪過の種類を記した通達と周知をせねばならず、これも学校の教育に組み込まれることになった。それらをまとめたのが、「東海探題家 刑罰法」である。とは言え戦国時代は、合戦や自己防衛のための殺人が日常的に起こっている時代でもある。そこについては、事実確認の上、免除されたり再研修になったりする。再研修を嫌がる武家の犯罪率は極めて低い。


 そう、刑罰法に身分のいう区別は関係ない。支配階級だろうと刑罰法に触れたら、罰を受ける。しかも、武家は本国に移送され、長勝の威圧(手加減あり)に晒されることになる。これが相当嫌なようで、刑罰法を読み込んで、暗唱できるほどに覚えている武家は多い。長勝存命中はこれで問題ないが、長勝死後は罪過を贖う方法が、重くなるかも()しれない。


閑話休題(話を戻そう)


 罪過の種類は、窃盗罪、横領罪(遺失物や占有離脱物も含む)、詐欺罪、強盗罪、妨害罪、恐喝・脅迫・強要罪、侵入罪・不退去罪、不敬罪(毀損罪)、偽造罪、賄賂罪、隠避隠匿罪、放火罪、偽証罪(虚偽罪)、暴行傷害罪、逮捕監禁罪、姦通罪、殺人罪の十八種類。戦国時代に適応できそうなものはこれくらいだろうか?令和の刑法はもっと多かった気がするし、姦通罪はなかった。江戸時代のような不平等な姦通罪にはしていない。窃盗罪と詐欺罪の中間くらいに設定してある。


 そもそも長勝自身が令和の刑法をうろ覚えである。一般教養として学んだとしても、専門家でもなんでもなかったので、完璧ではない。【固有技能】の『前世の記憶』でも刑法に関わるものはない。長勝自身は歴史にまつわる社会科だし、秀吉のは金銀銅を含む地学科だし、光秀のは有職故実に重点をおいた国文科だし、利家のは近代戦術とミリタリー知識の軍学科だし、秀政のは鉄鋼業と化学知識の工学科だし、秀頼のは家庭の医学薬学程度の医学科だ。


 つまり、この刑罰法は、「こんな罪過で罰する法令を作れないか?」という長勝の思いつきで、評定衆に丸投げしてできた法令と言って良い。


 罰の種類も定めてあるが、斬首刑(死刑)とか市中引き回しの刑とかにならない限り、「○○の罪で、□□村の△△を罰した」という立札が立つだけで、詳しい罰の贖い方は、学校の教本にも書いていない。もちろん、罰の種類まで書かれた刑罰法令集や判例集は、評定衆の文書庫にはあるし、記録には残してある。これが、後世で批判に晒される黒歴史であることは重々承知しているが、公表できないものだからだ。天下統一後、法改正して、黒歴史は焚書しようかなと密かに思っていたりする。


 教本に無い理由は、人民法にも書いてあるのだが、罪人に人権がないからだ。令和の頃ならあり得ないだろうが、今は戦国時代。罪人が近くにいると、領民が嫌がるという理由などで、そうしている。「など」としているのは、重犯罪者は基本的に死亡率高めで過酷な労働罰が下されるし、軽犯罪者でも別に村落を作って隔離しないと治安が下がるのだ。


 そういう理由で、学校の教本には、悪いことをしたら家族や友人と一緒に居られなくなりますよ〜とか悪いことをしたら怖〜い罰を受けますよ〜とかいう程度にしてあるのだ。

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