第八話 領民の心得と人民法
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残念ながら、第三回一二三書房大賞は一次止まりで二次は落選しました。まぁ、今後も書いていくので、よろしくお願いします。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
これは三河時代から、学校ならびに研修で唱和しているものだが、東海探題家領内で暮らすための簡単な道徳がある。それを「領民の心得」とよんでいる。これに基づいて、人民法も制定されている。それを箇条書きにすると、下記の通りだ。
一、他者に対しても、自身に対しても、嘘をつかない。騙そうとしない。
一、約束ある時、仕事を始める時など、決められた時間は必ず守る。
一、約束をしたら、契約をしたら、必ず守る。
一、あいさつは誰に対しても、身分を問わず丁寧に行う。
一、他者の批判や、仕事場の批判をしない。
一、考え方が違って当たり前、怒らず寛容に根気よく対応する。
一、他者の話は落ち着いて、軽々しく聞かない。
一、自信がでてきても、まだ足りないところがあるかもしれないと思い、常に勤勉であること。
一、物事の対応は、中途半端なことをせず、丁寧に、真剣に取り組むこと。
一、事実や数値の裏打があったとしても、筋道の立たない理屈を述べない。こじつけをしない。
一、損得勘定だけが全てではない。感情を慮ることも大切である。
一、他者の努力を笑わない。
一、自分が偉いわけではない。他者が馬鹿なわけではない。人を見下さない。
一、年齢・身分・性別・出自を問わず、誰に対してでも丁寧に対応する。
一、言い訳はしない。
一、感謝の気持ちは言葉にしないと伝わらない、最低限では意味がない、そう理解して、感謝の言葉は常に多めに言う。
逆に言えば、これが出来なくなると、謙虚さがなくなると思っているから、刷り込むように、浸透させている。謙虚さがなくなるとどうなるかと言えば、これの真逆になると言える。まぁ、そうなったら、周りが気づくので、注意されることになるが、あまりにひどいと再研修が待っているので、そこまでひどい者は犯罪者にならない限りいない。年貢としての兵役以外で、再研修というのは、どうも残念な人扱いになるようで、それが一番堪えるようだ。
さすがに、仕事をするようになると、これを唱和する時間は惜しいので、年に一二回ある研修でしか出来ないが、年間最低三十回はこれを毎日言う機会があるので、学校に通っている間の何日かおきにある道徳の時間より濃密に刷り込むことができている。
まぁ、たぶんこういった唱和などは、令和の頃にはできなかったことだろうし、今の時代だからこそ、できることだとは思っている。
閑話休題
今回述べるのは、人民法についてだ。正式名称「東海探題領 領民法」織田家による天下統一後、本当に人民法という名称になるか、武家政権として、人民に大きな権限を与えたくないと廃れるかは、今のところ分からない。しかし、万が一鎖国とかして、数百年後に西欧列強諸国に開国させられるような事態になれば、どうせ民法はできてしまうのだから、ある程度の枠組みを作っておいてもいいだろうという思想のもとに、長勝が考えたもので、明治維新後にできた民法ほどガチガチな法律ではないし、あんなに条文が多くはない。せいぜい二十条程度だ。
序文は国連の人権宣言(うろ覚え)をそのままパク・・・オマージュしたものだ。簡単にいうと織田家は天下統一を決意したから、その領民には「生活の平穏」を与えるよというかなりざっくりとした内容だ。
もちろん、織田家の承認はとっている。というか、バカ将軍を幕敵から外させるような外交力と八万の兵力を殲滅できるような軍事力と資金力と公家ならびに朝廷からの支持を持っているような勢力に誰が逆らえる?ん?織田家の当主に今からでもなるか?ああん?と頭を押さえながら睨まれた。そこ!「それがいいな」とか次期当主が言わない!
まぁ、序文については、足利将軍家がどうにかならない限り、公布しないこととして、東海探題家の領内でのみ、有効とさせた。尾張ではまだ色々な都合で整備ができないからである。「はぁ、また領民が流れるか?」とかも言われたが。