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第三話 対面式のあとに

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


9/6 14時頃のランキング

【歴史(文芸)】

日間1位、週間3位、月間12位、四半期48位

【総合】

日間90位、週間215位


日間1位が二日連続だと?!

新作お祝いかな?ありがとうございます。それでもかなり嬉しいです。


また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。


なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。

 父信秀は「ぐぬぬ」と呻いている。母花はついていけなくなったのか、ぽやーとしている。吉法師はニコニコしたままだ。平手は後継問題が発生するのではとやや焦り、林は同じ事でニヤニヤし、2人ともチラチラこちらを見てくる。


「はぁ父上、続きを。」

「ぐ、吉法師についてとは、つまり吉法師の性別についてと考えて良いか?」

「はい」

「坊丸が継ぎたいという事か?」

「なぜです?吉法師さまは嫡長子でしょう?私は嫡出ではありますが、嫡長子ではありませんので、継げないでしょう?」

「ん?」「「「え?」」」


 父信秀の疑問と母花の困惑・平手の歓喜・林の落胆、それぞれの声が重なった。まぁ、理由は分かる。鎌倉時代ならいざ知らず、戦国・乱世の時代には、余程のことがない限り、女性は当主にならない。余程の事とは、後継が幼少で中継ぎとしての女城主や夫と子が死没し後継を迎えるまで当主だった女性の事だ。前者は井伊直虎・飯尾 田鶴たづ、後者は八戸はちのへ子子子ねねこであろうか。


 父信秀は四人の中でいち早く立ち直ったのか、質問を重ねてきた。


「なるほど、だからこその茶番だったという事か?」

「はい」

「「あっ」」「ん?」


 平手・林の理解が追いついたところで、解説しよう。母花は放っておく。わざわざ皆の前で、吉法師の「一番の家来」と言ったのは、吉法師が何者だろうと裏切りませんよというパフォーマンスだ。苦虫を噛み潰した家来衆にはうつけの吉法師よりも聡明に見える坊丸を次期当主にと思う輩もいたろうが、今は思いとどまってもらおう。そういう意味もあった。どうしても燻るだろうし、尾張完全支配には邪魔な国人衆もいる。巻き込んで潰せば、弾上忠家の支配領域は増す。



〜信秀side〜


 ようやく、吉法師と坊丸の対面を果たせたと思ったのも束の間、どうやら二人はお互いを見知っていたようだ。まぁ、吉法師は城内と言わず、城下町まであちこち遊び回っているし、花も四六時中坊丸を構い倒しているわけではない。それに坊丸も花の前では、おとなしくしているようだが、花のいないところでは、女中から逃げ回って城内をあちこち移動している。そんな吉法師と坊丸がどこかで出会っていてもおかしくはない。


 二人の出会いについてはおかしくはないが、坊丸の動きにはおかしなところはあると言う。護衛につけた饗談きょうだんの話では、花の動きを知っていて、まるで見ているかのように、花が部屋に来るのを見計らうかのように戻っているらしい。女中から逃げ回る際に、物陰に隠れたと分かっていても、護衛の者達でさえ見失うことがあるというのだから、おかしい。あれらは専門の修行をし、一人前となってから弾上忠家に雇われている。護衛ともなると武術の心得は勿論ながら、相応の隠形おんぎょうを身につけており、身を隠すのも追跡するのも玄人くろうとのはず。見失うなどあり得ない。


 他にも割と頻繁ひんぱんに目が合うらしい。儂でも居ると分からんことが多い、いやほとんど分からん。姿を現せと命じて、正面に居たことなど無い。儂と目が合ったと思ったことも無いと言う。饗談きょうだんの者達は、今ではそういうものだと諦めているが、見失ったり目があった当初は、修行のやり直しを希望して里に戻ったものも多い。だいたい4〜5人の護衛を付けているが、総入れ替えも一度や二度ではない。


 吉法師も我に無いモノを持つ末恐ろしい子と思うことはあるが、得体が知れないと思ったことは無い。しかし、坊丸は言葉こそ普通だし、花の見ている範囲では大人しい子なのに、花以外から聞く坊丸の様子は、得体の知れない正体不明いみふめいな生き物なのだ。


 だからこそ、坊丸の正体を見極めねばならぬ。対面式の終わりに、弟たちを下がらせた。また忠誠定かではない家臣も下がらせた。残ったのは吉法師につける予定の四家老、儂の表向きの護衛二人。それなのに、吉法師の秘密を知っているだと?!どういうことだ?!いつ知った?どうやって知った?全てを見通す?どういうことだ?


 性別関係なく、長幼の序を乱すつもりは無いという事か?分からん。吉法師のように説明を省くわけでは無さそうだ。全てを話させよう。


「坊丸の存念を申せ」


 これで全てを話せば良い。しかし、もしもの時は・・・。花には嫌われるだろうなぁ。あの腰が抱けんのはツラいのぉ。

漢字でもひらがなでも良い場合は、ひらがなになってます。


大人しく

自分が高校で教鞭を執っていた頃に「たいじんしく」と読まれたことがあるので、ひらがなになってます。

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ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


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