第五話 特産品(薬品)の開発
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
2023/3/13 01時頃
本章第六話の誤字報告でタイトルミスの報告を頂いていたのですが、この話数が抜けているということに気づきました。大変申し訳ない。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
以前述べた産み分け薬は男の子用と女の子用があり、領内では前世の令和の産み分け施術費用(前世の知識になぜか入っている)を参照に男の子用が十貫、女の子用が八貫で売られている。だいぶお高い買い物になるのだがバカ売れで、特に武家の者から喜ばれている商品だ。輸出品として領外(尾張と北条領は、輸送費が加味されるがほぼ定価)に出す時は十倍にして売っているが、それでも品薄になりやすい。商人たちはあと三〜四倍にしても売れると言って、堺や博多の商人たちは買い取っていく。外国向けには五十倍だがそれでも売れている。
この薬品には、数年前に安藤帯刀に渡した『坐月子』の産後の女性がしてはならない項目だけを書いたメモ紙と妊娠しやすい時期を書いたメモ紙と近親婚の弊害を簡略に書いたメモ紙が折りたたまれて入っている。もちろん手書きではない。これも以前述べた活版印刷で作られている。それもバカ売れの理由らしい。
さて、この産み分け薬品(商品名:「後継ぎのすすめ」と「婿取りのすすめ」)は、元々、長勝が嫁たちのために作った薬品である。織田家の人間だから、子だくさんになるのは分かっていたが、戦国時代は男尊女卑の激しい時代だ。幾ら東海探題家(開発当時は三河守家)が男女平等を謳っていても、最初は男の子を望むもので、あんなに大変な出産を経ても、女の子が生まれただけで、嫁は嫁の父母・親族衆からため息を吐かれ、「次こそは」とか言われるのだ。そんなのかわいそうではないか。長勝がどんなに心を砕いて説得したところで、長年そうであった親たち世代は、ついため息を吐いたりするのだ。
※女系家族については、父親の遺伝子や父親の上手い下手が関係しているという学説があるので、詳しくは語りません。(最初は書いてましたが、削除しました)
閑話休題
開発はゼラチンを作ることから始まった。殖産興業として牧場を増やしたので、材料はふんだんに用意できる。一部をボーンチャイナに流用して、一部をゼラチン作りに流用すれば良いのだ。ボーンチャイナもあまり作りすぎても付加価値が下がるから、ちょうど良かった。
ゼラチンを作り出したら、ゼリーを作る。そこに薬品を混ぜ込み製品化する。あとは注入器を作った。なお、薬品の黄金比を出すために、女犯罪者や協力者を使って治験も済ませてある。女犯罪者は、割と失敗作だった頃の治験だったので、二度と子どもは産めないだろう。ただ、この失敗作も避妊薬として改良・治験中だ。世継ぎ問題で揉めない為の秘薬としてこれもそこそこ売れているのだ。
協力者たちに治験した頃には、人体への影響はほぼなくなっていた。ちなみに、協力者は令外民のみんなである。東海探題家では、人は人と、令外民でも戸籍を作り、普通に学校に通い、普通に働いて、普通に暮らしている。そんな長勝に感謝してか、大量の協力者が生まれ、その者たちは、今では大家族である。
なお、名前を言いたくないとある宗教の信者が人数的に一番多いのも、この者たちである。というか、あの名前変えてくんねーかな。と切実に思う。今でこそ、元服して名前が変わったが、自分の嫡男に自分の幼名が使えない。つか、織田家全体で使えない。後世に肖ってつける者もいるかもしれないが、今は難しいだろう。これが天下統一後に、神道を凌ぐ宗派となって、国教とかになったら、絶対、詔勅を戴いて名前を変えてやろう思う長勝である。
まぁ、こうしてできた「後継ぎのすすめ」と「婿取りのすすめ」だが、原料は安いものの、注入器とかが高いので、あのお値段となっている。なお、領外への輸出品がお高いのは、そのために開発した携帯用氷室のせいでもある。ゼリー状の薬品なので、消費期限が短い。現在、長持ちするように絶賛改良中だが、最新のものでも七日から十日である。外国向けに輸出もしているが、効果は保証していない。だから、もし、南蛮が攻めて来たら、「このやろー、ぼったくりやがって」とか「あんなまがいものを売りやがって」となるのかもしれない。