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第十四話 関東戦の意味

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)


なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。

 笠間を降伏させ、一度古河城に向かう。内応武将や虜囚などが集まっている。論功行賞や軍団の解散を行なって、必要な者は研修に行ってもらう。ある程度施設があるとは言え、収容人数も限られているから、数年は期間を観ないといけないだろうが、全員行う。行状の悪い者は、直接見ることになっているが、そんなことにならないように、古河でこちらの威を示せば良かろう。


 ふと、前世で好きだった漫画が浮かんだ。まぁ、好きな種類も歴史モノだったのだが。その漫画のある場面のある光景を鮮明に覚えている。漫画の題名と同じ名前の主人公が高台の上から、とある能力を使うと、皆がひれ伏すというもの。あれをやれば、逆らわなくなるだろうが、それをやると引き返せなくなる気がする。


---うん

---それはやめておこう

---きっと世界線が変わる


 そういえば、戦場の後片付けは、どうなっているか?という疑問を持つ人もいるだろう。合戦場では、近隣の農民達が田畑を荒らされた代償として、鎧・刀など武具を遺体からはぎ取って金に換えたり、遺体を放置しておくと、悪臭や病気が蔓延することが体験で判っていたので、近くに埋めて弔っていた。また、戦勝した側が、弔い料を払って委託する場合もあったのだ。


 さらに、戦死者の数という点で補足をすると、信長勢力との合戦以外では、死体だらけになるほどの戦は、ごく稀だった。基本的に戦国時代の兵は農業生産の担い手なので、勝利して相手の土地を得ても働き手が居なくなると困るので、敵兵が敗走したら徹底的に殺しはしなかったのだ。


 分かりやすい事例を出せば、関ヶ原の戦いだ。西軍東軍合わせて二十万もの大軍のぶつかり合いだったにも関わらず、戦死者は五千人足らずである。まぁ、五千人でも多いのではあるが、信長との戦のように、負けた側が半数を割るとかそういう状況ではないので、少ないと言えよう。


 ならば、なぜ?という疑問が別に出てくるだろう。信長は「兵は農業生産の担い手」であることを分かった上で、経済制裁の意味合いも込めて、信長との戦で敗走することになると、追撃戦で徹底的に殺されていた。これは、一向宗への根切りを行なった際に、信長の書いた手紙に、「辺り一面死体だらけである」という描写があることから、史実であることは間違いない。


 なお、坊丸の今回の戦も根切りに近い。死体の処理もさることながら、国の立て直しも大変なのだが、東海探題家または東海探題家が援軍にくる勢力と戦うことを選択した場合、今回の事例が必ず出てくることだろう。


 現状、三河一国の兵力ですら、外征に十二万もの大軍勢を出せる東海探題家が、「三河国」「遠江国」「駿河国」「甲斐国」「信濃国」「安房国」「上総国」「下総国」「常陸国」「上野国」「下野国」を支配したら、三国志の赤壁の戦いではないが、百万の軍勢が動くのではないかと思うだろう。そんな軍勢と戦いたくはないし、戦ったらほぼ根切りだ。ほかの勢力は、否が応でも下手に出るしかない。それが今回の関東戦の意味である。


 さて、話を戻すが、戦場のあと片付けだが、東海探題家の場合は、二種類ある。近隣住民にお金を払って委託するというものと、東海探題家の支配下にある組織に賃金を払って仕事をしてもらうというものだ。今回は死体の片付けとは別に、田畑を荒らしたお詫びとして、坊丸率いる約八万の作事集団が、村を作って巡回するということを行う予定だ。


 まぁ、そんな大軍が各国を練り歩いたら、支配者が誰なのか一目瞭然だ。この時代の民にとって、支配者はころころ変わる存在だったし、誰が支配しているかなんて知らなくても生きていける。どんな支配者が良い支配者かと言えば、良い生活をさせてくれる支配者に決まっている。合戦は人は死ぬが、臨時収入も多いため、あってもなくてもどちらでも良いというのが、常識だったようだ。だから、大軍を用いて、練り歩く必要性はないのだが、人数が多い方が終了までの期間が短くて済むので、そうしているだけである。


 とは言え、上総と鹿島では、事前の通告を無視してその土地に残った住民を根切りにしているので、近隣の住民を使う方法はとれない。だから、麾下組織に賃金を払って片付けをする。麾下組織は、歌舞伎衆と神楽衆。山が近いところは大峰衆も参加する。この歌舞伎と神楽衆は、坊丸によって命名された東海探題家独自の名称である。特にこだわりがあってつけたわけではないが、元寺社勢力の者たちを神楽衆と名付けたところで、河原衆の棟梁たちから声をかけられた。名前をつけて欲しいと。河原衆の長は皆、○阿弥さんだ。だから芸能衆でも良かったが、猿楽師から何か言われても面倒くさいので歌舞伎衆とした。今度は傾奇者から文句が来そうだが、そっちは武家なので、他家の傾奇者なら大義名分になるし、自家の傾奇者なら、理由によっては再研修が待っているので、じんんん(咳払い)、質問を自らがやるつもりだ。だから、問題ない。


 さて、バラバラになってしまった死体をかき集めて、近隣の地に埋葬してくれている、そんな神楽衆・歌舞伎衆には頭が上がらない。どれだけ大変なことか。それを率先して行動してくれているのだ。ついつい感謝の気持ちを、皆にかけてしまった。

前半に出てくる漫画は

藤原カムイ先生の『雷火』です。

たぶん、終わりの方だったと思うのですが、

言葉にはしていなかったと思うのですが

まるで「ひれ伏せ」とばかりに皆に威圧がかかるシーンがあります。そこのことです。記憶違いなら、すいません。

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