第十一話 そんなのゲームにねーんだが?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
上総の一部を焼き払ったら、里見家から中里備中守、岡本備前守、正木備後守、秋元将監のいわゆる里見四家老が船にやって来た。
---いや、常陸を落としたら
---行くつもりだったよ?
何やら子どもを数人連れてきている。あれ?最近もこの流れ見たな。でもおかしいな、女の子が三人いるよ?どういうつもり?とりあえず、鑑てみるか。
中里らが連れているのは、里見左馬助義舜くん十五歳と里見豊ちゃん十四歳。
---なるほど
---いつものやつですか
---いつも思うがなぜ嫡男?
---後継どうすんの?
---そんで、そっちは?
足利国王丸くん十三歳。足利青岳ちゃん十歳。足利満寿丸くん九歳。足利旭山ちゃん七歳。この四人は芦屋遠江守と小曽根右馬允と佐野大炊助に護られるように、ついてきているだけのようだ。
---あー
---そうだったわ
---小弓公方の忘形見が里見にいたな
元服前とは言え、自分の立場がいかに危ういか分かっている感じの国王丸くんと青岳ちゃんが非常に印象的だ。下の弟くんと妹ちゃんは黒船が珍しいらしく、気もそぞろだ。このギャップがいかにも面白い。
---こんな顔をしている子どもを殺せない
---だからと言って
---関東にいてもらっても困る
---さて、どうしたものか
「あ、あの!」
「あお!」
「国王丸殿、大丈夫。無体にはしない。青岳殿、お話を」
「あ、感謝します。わたくしがあなたに嫁げば、兄や弟、妹は救われますか?」
---あ、やばい
---この話知ったら、虎が気にいる
坊丸の正室高嶋局こと和田虎千代(旧姓長尾虎千代)は、歴史物語通りの義侠心豊かな女性だ。史実通りとは言わない。史実通りだと、関東は奴隷狩りし放題だぜヒャッハーな人だし、「敵に塩を送る」の故事は、塩を高く売れたぜウハウハな人だ。
閑話休題
虎(高嶋局)は自身を犠牲にしてでも、家族を救いたいと言う者を護る側に立とうとする。さらには武芸も武略も達者なものだから、坊丸の良き伴侶と言えるし、良き相談相手でもある。この時代、女性が政治に口を出すのはかなり嫌われるのだが、坊丸は気にしないし、口を出しても軍事関連だ。虎が薙刀を振るえば、勝てるのは武田陸奥守の騎馬か塚原土佐守の剣かどちらかとなる。実力主義の東海探題家で文句が言える者はいない。坊丸は好きな子には本気が出せないので、模擬戦はできても死合はできないので、問題外である。
---少しでも抵抗してみるか?
---でもなぁ、聞かれたら、もう、なぁ
「青岳殿、織田家と足利家では家格が合いませぬ。それに正室も無理でござる。」
---東海探題なら関東公方と同格だが言わない
「側室でかまいませぬ。家格については、坊丸様は、東海探題に任じられたと聞いています。それなら同格と言えましょう。それでも、ダメなら、兄上、よろしいか?」
---何か手立てがある?
「構わぬ。坊丸様。足利の名は捨てまする。小弓の豪族ということで、小弓を姓としようと思いまする。」
---は?はぁー?
---え?それって、え?マジ?!
「はぁ。分かり申した。ただし、国王丸殿、その名は関東公方家の伝統の幼名でござろう?国丸になされよ。それでも良いなら・・・」
国王丸と青岳、それから芦屋と曽根と佐野の三名が同時に土下座した。ぽやーとしていた、弟くんと妹ちゃんが慌ててそれに倣う。
「坊丸様、幼名を賜り、感謝致しまする。これよりは小弓国丸とお呼びくだされ。」
「相分かった。元服は、某の元服後に行い、一年ないし二年で織田家に国丸ありとなれば、片諱を与えると致そう。」
「はっ、偏諱を賜ることができるよう精進いたしまする!」
かーっ、予定外に嫁増えすぎなんですけど!!こんなんゲームには無かったのに。ぐぬぬ。現実はこんなもんだよね。とほほ。
なお、この場で空気でしかなかった里見家だが、豊姫が側室になり、義舜(史実の義弘)は側近となった。つまり、臣従したのだ。一大決心したはずの里見刑部少輔が哀れに思えてならない。
坊丸はこのように宣ってますが、
小弓青岳と里見豊の側室化はプロット通りです。
プロット外なのは三話前の「北信濃臣従」に起きた三人の側室化ですね。こちらは、次章の予定でした。
登場人物を脳内で好き勝手に動いている様子を描写するというスタイルの創作をしている為、プロットが早まったり遅くなったり、消滅したりします。(木曽家のことは消滅ですね。プロット段階では、のちに臣従でしたが、坊丸が怒りすぎたあとに、冷静に大義名分にしやがった感じになりました)