表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞  応募作品

とあるガールズバンドとサーファーの事情 ~新メンバーがサーフボード抱えて来たんですが~

作者: マガミアキ

「えー、かねて伝えていた通り、今ツアーから加入することになった新メンバーを紹介する」

 わたしは緊張しつつプロデューサーの言葉を聞いていた。


 わたし達スパークルショアは、スリーピースバンドとしてアイドル活動してきた。

 そこに加わる新メンバー……どんなコだろう、うまくやっていけるだろうか?


 サーフボードを抱えた少女が部屋に入って来た。

「ナギサです! よろしくお願いします!」

「よ……よろしく」

 何を持って来てんの、このコ。


「彼女には、サーファーを担当してもらう」

「さぁふぁ」

 わたしは呆けたように繰り返した。


「そうだ。彼女はパフォーマーとしての加入になる」

「あー、ダンサーとかスケーターとかがいるユニットあるもんね。あんな感じか」

 ドラムのミサキが言った。

「え、納得してる?」

「ステージ表現も幅が広がりそう……」

 ベースのアオも頷いている。

「広がんないよ! ステージは陸上だよ? ボード持って立ってるだけになっちゃうじゃんッ!」


 プロデューサーはちちち、と人差し指を振った。

「心配するな、ナミ。ナギサはな――実は音の波に乗ることができるサーファーなんだよ」

「嘘つけッ!」



 嘘ではなかった。


 ナギサは曲のイントロにボードを乗せ、パドリングで会場の空中に位置取りをする。

 そしてバンド演奏と観客の大歓声によって一気に押し寄せて来る音の大波にボードを当て込むと、華麗なライディングを決めていくのだった。


 会場は割れんばかりに沸き、ツアー初日は大成功に終わった。



「いや凄かったねー、ナギサのサーフィン。超盛り上がった」

「うんうん」

「ありがとう、あたしも楽しかったー」

 移動車内でもメンバーはライブの余韻に浸っていた。

「おいおい、ツアーはこれからだ。次はもっと盛り上げるぞ!」

 プロデューサーも上機嫌。


「……いや凄すぎなんだけどッ?」

 思わず叫んだわたしの声に、みんなきょとんとしている。


「うん……だから、凄かったねーって」

「軽いのよ! そんな演奏上手かったねーみたいなノリで話すレベルじゃなくてさ! 音の波に乗るとか、普通ありえないじゃん! それもう特殊能力者じゃん!」


 ナギサは頭をかいた。

「えへへ、それほどでも」

「いや褒めてるよ、褒めてるんだけどね? 違うんだよなあ、何かそうじゃないんだよなあ!」


 わたし達は今、世界がひっくり返るぐらいの出来事に直面しているはずなのに。

 いいのかな! 新生スパークルショアは大成功って感じで済ませちゃっていいのかな!

なろうラジオ大賞3 応募作品です。

・1,000文字以下

・テーマ:サーファー


少しでも「面白い」と思われましたら

☆評価、ブックマーク登録をしていただけると本当に嬉しいです。

執筆へのモチベーションが高まりますので

なにとぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 展開がななめ上過ぎて!! めちゃくちゃ面白いです!! 《わたし》と他の人の落差も良いです!! どこからこんな発想が生まれるのでしょう!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ