やっぱり
ひだまり童話館『ぱりぱりな話』参加作品です。
アタシはニンゲンの足元を飾るの。ニンゲンは靴って呼んでるわ。アタシの持ち主は綺麗好き。いつもアタシを綺麗に磨き上げてくれるの。まあ、普通よね。アタシにとって美容は大事だものね。
そんなアタシの生活だけど、生まれてから随分経ったわ。でも持ち主は相変わらずアタシのことが好き。だってアタシは可愛いもの!
でも新参者はアタシのことを年寄り扱いするの。少し若いからって調子にのってるのね。アタシに嫉妬してるんだわ。
……最近アタシの持ち主はアタシを使うことが減ったわ。綺麗にはしてくれるけど。若い子になんて負けないくらいアタシは美しいのに! ま、まあ、アタシの美貌を守るべく綺麗にしてくれることは評価してもいいわ。
久しぶりの外。あぁ、気持ちいい。箱に入ってるのも落ち着くけど、外の空気はまた楽しいわ。
ぱり ぱりぱり ぱり
な、何事!? え!? アタシのお肌が!! 剥がれていくわ! 何で!?
「しまった! 外側が剥がれてきた。この靴そろそろダメかしら。」
な、何を言ってるのよ! アタシはまだ綺麗よ! でもお肌が! どうにかしなさいよ!
「あー、どうしようかしら。この靴気に入ってたけど、もう寿命かな」
な、なんですって!? アタシが寿命!? この美しいアタシが!?
「仕方ない。今日は違う靴を履いていこうっと」
ちょっと! アタシはどうなるの!?
さて、それからどうなったかって?
やっぱりアタシは美しいわ! 持ち主もわかってるわね。
アタシのお肌がぱりぱりと剥がれてから一週間。アタシはとあるお店にいたの。そこでアタシのお肌がどんどん綺麗になっていくのよ。『修理』ってものらしいわ。また、ううん! 以前よりも艶が増したアタシ。やっぱりアタシは美しいわ!
「気に入ってる靴だもんね。修理に出して良かったわ」
持ち主もわかってるわね。これで若い子たちよりも艶々よ♪
さてさてこの靴は持ち主のお気に入り。これからもずっと艶々で頑張ることでしょう。
何かしら。この第三者目線。アタシが美しいのは当然よ! 美しく生まれついたんだから。言われなくてもずっと愛されるんだからね!
だそうです。