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目覚めれば見知らぬ天井

ステータス中心です。やったこのないゲームでも、設定集とか見るのが好きで楽しいですが、自分で考えると矛盾が色々出てきそうです。

 ーお姉様にご迷惑をおかけしてしまいましたー

 -私が未熟なばかりにー

 -私からも祝福をー

 ー貴方に失われた全てをー



 パチリ、と目を開くと見たことのない天井が見えた。

 

 (知らない天井だ)


 とりあえず定型文をつぶやいてみるが、つっこみ役は誰もいない。

 ついでに、音としては、ただあぶあぶという声だけが響いている。


 (うん。いつも通りの転生だね。今回の家はちょっと豪華な感じ?)


 まだプニプニの赤ん坊の自分の手をにぎにぎしてみるが、違和感などはなく、身体に不調などもない。

 しいて言うなら、少々お腹が減ってきている気はするが、今までの転生に比べたら何のその。

 いつも赤ん坊からのスタートなので、時には野外で生まれたこともあるし、気づいたら両親が亡くなっていたことだってある。

 それに比べたら、室内に寝かされてるいるだけで快適生活だ。

 お腹が減ったのだっていざとなればそこら辺の生気、というか存在力というか、をちょこっと分けてもらえれば何の問題もない。


 だって、身体は人間でも魂は神様だ。


 宿った身体だって、それに合わせて変化する。


 現に自分が自分であると自覚した瞬間からものすごい速さで身体の細胞1つ1つが神様が降臨した人間仕様に変化していっている。

 あと、数刻もすれば完全に上書き保存され、森に放り出されてもたくましく生き延びることができる身体が出来上がるだろう。別に森に放り出されたいわけではないのだが。

 目を閉じて、じっと自分の中を確認してみるが、休暇途中で強制回収されたとはいえ、魂もリフレッシュされていて絶好調だし、ちょっと違和感があるのは、一緒に来た謎の鉱石より生み出された神刀だろう。

 さすがにそれはまだ使用はできないので、当分は封印しておこうと思う。


(よし、問題なし。さて、どうしようかなぁ)


 こういう上流階級っぽい感じで生まれたのは初めてなので、とりあえずきょろきょろと室内を見渡してみる。

 ヨーロッパ感あふれる調度品は豪華だし、着せられている寝間着も肌触りが大変よろしい。


(貴族、的な感じでいいのかな。でも、それにしては人の気配は無いし)


 目覚めた時から絶賛1人で放置プレイ中の身としては、何か情報が欲しいのだが、いかがしたものかと思案してみる。


(あ、マンガとアニメとゲームの世界観なら、アレがあるか)


(ステータス)


 心の中で絶対あるであろう呪文を唱えてみると、ソレは目の前に現れた。


名前:ナリス・ソウシュ・ラグナ

種族:人間?(異世界の神族)

年齢:0歳

ジョブ:ラグナ辺境伯の三男、放浪する剣聖

LV:1?(測定不能)

魔法:全属性 LV:MAX(魔導ノ書の正当なる所有者)

   創造魔法 LV:MAX

スキル:酒豪、森羅万象の瞳、環境適応、無限収納ーインベントリー、箱庭、異世界の知識、隠者

称号:異世界の最高神の息子、軍神の友、剣聖、女神スーリーの愛し子、神刀※の主


 ……拝啓、母上様。まだ序盤なんですけど。


 絶対、これから何かがにょきにょき生えてきそうな予感がするが、がん積みチートの赤ん坊からの転生でまず酒豪ってどうよ、とツッコミを入れてみる。

 あと、いつの間に女神スーリーの愛し子になったんだろう。


(そういえば、声が聞こえたか。あれかなー)


 女神スーリーの思惑はわからない。だが、いただけるものはもらっておこうと思うが、厄介な未来しか思い浮かばないのはなぜだろう。

 とりあえず、ステータス内容の確認をして、自分のことをきちんと把握していなければならない。

 なぜなら、隠さなくてはひっそりこっそり好き勝手出来なくなってしまう。

 

 (えーと、上から順番でいっか)


 ナリス・ソウシュ・ラグナ→ラグナ辺境伯の三男。その魂は異界の最高神の息子にして、この世界の創造神たる女神スーリーの愛し子。絶賛放置プレイ中。どうやら家族は彼に関心がないようだ。それどころか、父も母も持たない黒い髪と黒い瞳ということで疎んじている様子。

 設定としては先祖返りで行けると思いますが、基本、同色の髪と瞳を持って生まれる人間はいないカラフルな世界なので、ご不便をおかけするかもしれません。魂が宿るための相性の問題とは言え、このような家族の下に転生させてしまい、申し訳ございませんでした。

 

(………謝られたよ。気にしないでいーよ。ってか、説明書きの担当、誰?)


 人間?(異界の神族)→神の魂が宿った為、純粋な人間とはさすがに言い難い存在。人が持つことができない膨大な力を有している。

 教皇にならひょっとすると身バレするかもしれません。


 ラグナ辺境伯三男→家族構成は今のところ、父、母、兄×2、姉×1。フォラス王国に属するラグナ辺境伯領はその約半分を黒の森と呼ばれる広大な森に接し、残りを小国や大陸最大の国家たるレグルス皇国に接している。その為、黒の森に生息する魔獣と皇国からの侵入を防ぐための重要な役割を持っている。

 レグルス皇国は大神殿もありますし、ギルドの本部などもありますので、今のご家族から離れたい場合は移住先としてオススメです。


 放浪する剣聖→唯一無二の存在。最高戦力。剣聖の称号を持つものは歴代でも数少ない。神の名において認められし存在。当然勝手に名乗れるものではないし、勝手に名乗った場合は神の怒りを買う。

 ナリス様の場合は”放浪する”なので、何にも捕らわれる必要はありません。


 LV:1(測定不能)→本来なら順番に経験値を積んでランクアップをしていくものだが、前世までの経験値の上積みが多すぎて、もはや測定不能レベル。

 そもそも異界の神様を当てはめようというのが間違いなので、どうぞお好きな数字を入れてください。LV30~40くらいでC級の中堅冒険者、LV70くらいまでいけば、A級冒険者や騎士団長クラスです。剣聖を全面に出す場合はLV100オーバーくらいで設定しておくと、何をしてもLV100超えてるし…で済むと思います。

 

 全属性LV:MAX→火・水・風・土・光・闇の基本6属性+氷、雷、聖、無、草など全ての属性魔法を使用可能。

 もはやどんな魔法が出てくるのかわからないので、こんな表記になりました。新たな魔法を開発していただいてもかまいません。


 魔道ノ書の正当なる所有者→遥か昔に滅びし魔道王国にあったとされる幻の書。魔道王国時代に各地で生み出されたありとあらゆる魔法を記したとされるその書は、王国が滅びた時、最後の所有者であった王女サーラとともに所在不明になったとされている。王女はかく語りき「我ら魔道ノ書の正当なる所有者以外にはこの書は(しるべ)にもならぬ」と。その形は書物とも、オーブになっているとも言われている。

 魔道神よりの貢ぎ物です。中には面白い魔法もあると思います。あ、もちろん、失われた魔法も記してあります。


 創造魔法LV:MAX→思いつく全てを魔法にしたり、物体として想像できる。

 錬金術などと分けてしまうと色々書かなくてはいけないので、創造魔法に一括で押し込みました。魔法は想像力です。どんなものでも思いのままに。


(……これ、どこまでどう隠せばいーんだろ……)


 酒豪→言わずもがな。

 

(短!ってか、デスヨネー)

 

神羅万象の瞳→最上位の鑑定眼。真贋の瞳、神の瞳とも呼ばれている全てを見通す瞳。神であろうと悪魔であろうとこの瞳より逃れる術は無い。

 時に見えすぎることもあるので、気を付けましょう。

        

 環境適応→文字通り、どんな環境にも適応できる能力。どれほど暑かろうと、どれほど寒かろうと適応し生きていける。

 水中でも呼吸が出来ますし、火山も行けます。


 無限収納ーインベントリー→命ある生き物以外は自動で整理整頓して収納することができる空間収納。時間停止機能付き。

 お弁当も温かいまま収納できます。とりあえず、ある程度のお金はいれておきましたので、ご自由にお使いください。命あるもの、または時間を動かしたままで収納したい場合は箱庭をご活用ください。


(まじで説明書きの担当は誰?)


 箱庭→ナリス・ソウシュ・ラグナ専用の家と庭を備えた場所。誰も入ったことのないとある森の奥深くに存在している。歩いて2刻くらいの範囲で結界が張ってある。主であるナリス様の許可があれば、どのような存在でも入ってくることができる。ペット可。

 基本ナリス様に害のない動物や魔獣などはお庭を散歩していたりもします。必要に応じて拡張可。母君のご要望で森の中の大木の家をご用意させていただきました。庭では植物の栽培も可能です。さらにご要望があれば天空に浮かせます。


(……母上、そういえば〇ブリ好きだったね)

 

 異世界の知識→文字通り、異世界の知識。この世界の非常識ともいえる知識が多いので、取扱注意。

 追加でこちらの世界の知識を入れてありますので、時間がある時にでもご確認ください。ただ、失われた知識なども入っていますので、こちらもご注意ください。


 隠者→彼の者は隠れし者にして見つけること能わず。気配を消したり、溢れ出る魔力を隠したり、存在そのものを隠せたりするので暗殺者垂涎のスキル。ステータスも自在に隠すことができ、見破るにはLV差がかなりないと無理。

 ひっそりこっそりがご希望とのことでしたので付けさせていただきましたが、親友様からのご伝言で、いい加減あきらめろ、とのことです。


(ひどいなぁ。ボクはいつも静かに隠れてたのに)


 どこぞの親友殿が聞いたら、間違いなく首をかしげるような言葉を思わずつぶやいた。

 やっぱり対外的には、あぶあぶ言っているだけではあるのだが。


 異世界の最高神の息子→女神スーリーが敬愛する異世界の最高神の息子。どんな使命を与えても飄々とこなしてくると評判。何度も転生を繰り返しては、あまり影響がでないようにと若いうちに神界に戻っていた。母神は息子のことを愛してやまない。

 今回は人と神が近い世界なので、お好きなだけご滞在ください。


 軍神の友→彼の者の命ひとつで部下たちは大いに鼓舞され、勇猛果敢に敵陣に突撃していった。彼がもたらすものは、勝利ただひとつ。多くの家臣に慕われ、敬愛されていた軍神。生前より友誼を結びし友のために軍神は何が出来るのかを思案中。彼が昇華したのち、神界にて談笑したり、酒を酌み交わす姿は一部の神々より大変好評であったという。

 軍神様と少しお話しをさせていただきました。本当にナリス様のことを大切に思われていらっしゃるのですね。


(……一部の神々って……、うん、気にしたらいけない、気がする)


 一部の神々に彼の母親も入っている気がしなくもない。でも、気にしたらいけないのだ。


 剣聖→剣の道とは一朝一夕で出来るものでは無い。長い長い道の果て、多くの才能溢れる者たちがその技を研鑽し磨いてきた。身に着けた技をもって実戦に赴き、時にその命さえも死の寸前まで追い込みながらも技を磨いていく者に神々は素直に賛辞を送りこう呼んだ、剣聖、と。その称号は神々に認められし者にのみしか与えられることは無い。

 こちらの世界とは随分違う技をお持ちだと聞いています。楽しみにしていますので、良ければ剣舞なども見せていただけると嬉しいです。


 女神スーリーの愛し子→スーリーヤの創造神にして最高神、女神スーリーが愛してやまない存在。彼の存在は尊い者にして、その意思を最大限に尊重しなければならない。その意思を尊重しない者は例えどのような種族のものであろうとも、神の怒りを買う。神に属するものゆえに、人の世が定めたる身分など彼の者の前には塵芥同然。

 神気などが発生した場合もこの称号で切り抜けられると思います。スーリー様よりの贈り物の1つです。何かあれば神殿の方にどうぞ。神の言葉とか必要なら下ろしますので。当代の教皇はなかなか話しのわかる者ですので、よろしければ一度お話しなどしてみると良いかもしれません。あ、申し訳ありませんが、教皇にのみ愛し子の存在を告知しなければならないので、神託という形で伝えてあります。ただ、本人、もしくはこちらから何か言うまでは手出し無用、と伝えてありますので、本当に困った時などは容赦なくこき使ってやってください。


(パシリ?神々からみたら教皇ってそんな存在なのかぁ。ってか、ボクもそう変わんないや)


 神刀※の主→異世界の神々の宴のおり、ふとした戯れにより生み出されし神石とも言える鉱石。その鉱石を最高の刀鍛冶師が鍛え上げた一刀。どのような素材が基になっているのかは神々さえも分からず、二度と同じ鉱石が生み出されることは無い。”神殺し”カグツチの炎をもって鍛え上げられしその刀は、どの世界の神だろうが魔物だろうがありとあらゆるものを切ることができる。気難しく主にしか使うことが出来ず、普段は主の魂の中で眠っている。何を切っても刃こぼれ1つすることは無いが、適度に使用し、手入れをすることで主との絆を深める。

 本人(?)的には銘が欲しいそうです。ナリス様を主に選んでいますので、絶対他のものの下に行くことはありませんが、銘を付けてもらうことにより、より深く繋がりたい、とのことです。


(銘、ねぇ。ボク、名づけとか壊滅的って言われてるけどいーのかな?よければつけるケドさ。ってか、ボクが主なんだ。うーん、漢字にしようかな。元はアッチ産だし)


 目を閉じ魂の中に刀を思い浮かべてみる。

 日本刀独特の美しい凛とした雰囲気を持つ少し黒みがかった刀身の刀。妖刀、ではなくまさしく神刀。

 

(長い名前はちょっと呼びづらいか。うん、決めた、(よる)。キミの名前は”神刀・夜”だよ)


 名前を決めた瞬間、身体、というより魂の中が熱くなり、神刀・夜がその銘を自らに刻んだことが解った。名づけたことによって神刀・夜はこれから先もどこに行こうとも共にある。その銘を呼べばすぐに顕現する。


(これからよろしくね、ボクの相棒)


 魂の中でその刀が震えて喜んでいるのがなんとなく解る。


(さて、色々とツッコミどころはあったけど、これで一通りは視たかな。ってアレ?)


追記:あの、お酒の方も相当お強いと聞いておりますので、よろしければいつか酒宴に招待させていただいても良いですか?あと、何かあった場合はスーリー様か、私に言っていただければ対処いたします。心の中でおっしゃってくだされば構いませんのでよろしくお願いいたします。

        担当:生と死の神・アルマ


(えーーと、こちらこそよろしくお願いします)


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