大事な思い出
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「おっ!あったー!」
「店長それ何ですか?」
「これは【家庭用魔銃Ex十徳】って言って、むか~しいた道具屋の人が発明した道具なんですけど。魔銃の中にセットする錬成石を変えるだけでシャワーだったり、バーナーだったり、ライトだったりと様々な用途に使い分けが出来る。旅の便利品ですよ」
「へぇ~凄いですね。でも昔からある道具なんですよね?もっと便利な道具があるんじゃないんですか?」
「それがこれ発明した人は、何だか別の世界から来たとかで異世界転移者って記録に残ってるんですが、この魔銃の魔術式やら錬成石の魔術式があまりに独創的で難解らしくて、これ以上の道具は作れないみたいですよ。昔の人に負けるのってちょっと悔しいですよね」
「ふふっ。店長ってやっぱり道具屋の店長なんですね」
「そうですよ。小さな道具屋の店長ですよ」
「素敵な道具屋だと思いますよ。ご近所の方達も楽しそうに通ってますし」
「そうですかね。サービスばっかりして全然お金稼げて無いですけどね。おれにはいまいち商才は無いみたいです」
「ふふふ。そこが店長の良いところだと思いますよ」
「は は は………ありがとうございます」
アキラとリオは海沿いのショッピングモール……は流石に異世界では無いので…海沿いの様々な商店が並び、多くの人が行き交い、様々な音や声がする活気溢れる通りをブラブラと歩いていた。
「じゃあ次はあのお店に入ってみましょうか?」
「はい!わかりました」
二人は多くのアロマやお香が並ぶお店へと入っていく、、、
「店長ってこういうの好きなんですね?」
「はい。ハーブティーも好きですし、こういう香りというか匂いがする物は好きですよ。………ほら?これなんて良い匂いじゃないですか?」
アキラが手に持ったアロマをリオの鼻の前へと持っていく。
「あっ!良い匂い……とっても心が落ち着きますね」
「今度うちのお店にも並べてみようかな…」
「店長!これ凄い良いですよ!」
リオが手に持ったアロマをアキラの鼻の前へと持っていく。
「おっ!柑橘系の爽やかで良い匂いですね」
「わたしこれが一番好きです。本当に色々あるんですね」
「そうですね。お香なんかもまた違った感じで良いですよ。焚いたときのあの煙が線を描く感じが何とも好きなんですよね。……ちょっとおじさんっぽいですかね?」
「そんな事無いですよ。………多分」
「多分って。まぁ実際おじさんだからいいんですけど。…………うっ!このお香はちょっと匂いがきついな…」
「どんな匂いですか?」
「あんまり良い匂いじゃないからやめたほうが良いですよ」
「でも逆に気になります!」
「じゃあ………はい」
「うっ!……………て…店長みたいな匂いですね」
「えっ!ほんとに?おれこんな匂いなの?」
「ふふふ。冗談ですよ。あっ…いま敬語じゃ無かったですね」
「あっ!すみません。失礼でしたね」
「違います。謝らないで下さい。敬語じゃなくて嬉しかったんです」
「そうなんですか?」
「はい。本当の店長が見れてちょっと嬉しかったです」
「ははっ!別に言葉使いだけで、いつも本当のおれですよ」
「敬語なんて使わなくてもいいですよ」
「それはなんとも…………それよりおれって本当にあんな匂いなんですか?」
「だから冗談ですよ!」
「本当に冗談ですか?」
「冗談です!店長良い匂いですよ!」
「い…いつ…おれの匂いを………そういえば距離が近い時が何度かありましたね…」
「店長からは優しい良い匂いしかしませんよ!」
「いや…もうこれ以上おじさんの匂いをフォローしないで下さい。逆に傷つきます…」
「わたし店長の匂い好きですよ!」
「わかりました。じゃあこの匂いがきついお香をプレゼントしてあげましょう!」
「うっ!……………いらないですけど。……でも欲しいです」
「ははっ!冗談ですよ。じゃあ柑橘系のアロマのやつをプレゼントしますよ。あのくらいの値段なら大丈夫です。ははっ…」
「本当ですか?!大事にします!」
アキラはリオが一番好きだと言ったアロマをプレゼントする。店内の甘い匂いが二人を包み込み、お店を後にする。
二人の間の空気も少しだけ甘い匂いを残したまま、二人は同じ歩幅とリズムで通りを歩いていく、、、
『ねぇねぇあれって剣姫リオじゃない?』『えっ!嘘!ホンモノ?』『多分そうだよ!一度見た事あるけど絶対そうだよ』『でも男も一緒にいるよ?もしかしてマイロ?』『マイロはもっと若いって、多分護衛か召し使いとかじゃない?』『あ~それか執事とかかな?父親かもね』『父親っぽいね。横歩いてるし』『どうする?声かけてみる?』『なかなかこんなチャンス無いよね』
「…リオさん……バレたっぽいですね」
「……そうみたいですね…」
「じゃあちょっと逃げますか?」
「はい!逃げましょう」
アキラがリオの手を繋ぎ、騒ぎになって囲まれる前に二人は走って逃げ出す。
アキラに手を握られたリオはいつも以上に鼓動が高鳴り、息が上がる…
握られた手からアキラの温もりと一緒に優しさを感じられる……
顔に熱を持っているのが自分でもわかる………
自分より強くは無いが自分より大きな体の男性の背中を見つめながら、握られた手と一緒に心をより一層引き寄せられる…………
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「はぁ…はぁ…はぁ…ここまでくれば大丈夫ですかね…はぁ…はぁ…」
「はい。もう大丈夫そうですね」
浜辺の近くまで走って逃げ出して来た二人。海はまだ冷たく、遠くにカップルや夫婦が歩いている程度で波の音が静かに聞こえてくる…
「はぁ…はぁ…あっ!すみません」
リオの手をずっと握っていた事に気づいたアキラが慌てて手を離す。
「いえ。別に謝るような事じゃないです。…店長って以外に足が速いんですね」
「ははっ!以外ですか?……昔ポーターをしてた時がありましたので、色々な場所に冒険に行ったりもしたんですよ。……久しぶり走ってビックリするくらい体力落ちてましたけど……はは…」
「そうだったんですね。……店長と一緒に冒険するの楽しそうです。一緒に冒険できた人達が羨ましいです」
「はははっ!そうですか?まぁもう取り戻せないおじさんの小さな青春ですかねー。勇者パーティーに比べると本当に小さな青春ですよ。おれからしたらリオさんのほうがキラキラ輝いてて羨ましい限りですよ」
「…人々の為に世界を救わないといけないですから…使命感もあって…でもそれ以上にプレッシャーもあって……いつも遊んでる訳じゃなくて……その…わたし頑張ってるんですよ」
「ん?わかってますよ。……その…さっき手を握った時に」
「あっ!………剣ばっかり握ってるからゴツゴツしてて、いっぱい傷もあって…可愛くないですよね」
「う~ん。まぁ可愛いというかカッコいいですかね。でもいっぱい努力してるんだなと思いましたよ。決して生まれた頃から強くて完全無欠の剣姫だった訳じゃなくて……いっぱい努力して剣姫になったんだなと。今日はちょっとだけ本当のリオさんが見れた気がします」
「そう言われると何だかちょっと恥ずかしいです。……でも努力してるのはみんなも一緒ですよ。みんな努力してるから今があると思ってます」
「そうですよ。リオさんも…“みんな”と一緒の17歳の普通の女の子ですよ。今日デート?ですかね…デートをして余計に思いました。……それなのに…魔王討伐か…随分と重たい物を背負ってもらってます。本当にすみません」
「いやそんな謝ってもらうような事じゃないです。みんなの平和を守るのは好きですし……後悔したく無いので…精一杯頑張ります」
「あっ!そうだ。今日渡そうと思った物がありまして、似たような物をリオさんが買ったら、渡すの止めておこうと思ってたんですけど……」
そう言うとアキラはバッグからプレゼントを取り出す。小瓶が中に入った小さな袋には可愛らしくラッピングがしてあり、それをリオの手のひらの上にのせる。
「店長…これは?」
「ハンドクリームです。おれが調合した物なので、高級品ほど効くかはわからないですけど。これくらいしかお返ししてやれる物がなくて…ははっ…」
「ありがとうございます!これ絶対効きます!いや絶対効かせます!ふふふ。本当に嬉しいです。ずっと大事にします!」
「大事にしてもらえるのは嬉しいですけど……使って下さいね。効果があったらまた作りますから…」
「わかりました。大事に使います!」
リオにとって生まれて初めてのデートはゆっくりと流れる時感の中であっという間に時間が過ぎ、真上にあった太陽がいつの間にかすっかり肩を落とし、波打ち際を歩く二人を夕陽がオレンジ色に染める。
夕陽にあてられてオレンジ色の世界に黒く伸びる二人の影が重なり、二人の手を結ばせる、、、
「じゃあ…暗くなる前に帰りましょうか」
「…はい。わかりました………あの……店長!」
「はい。どうしました?」
「あの……また…買い物というか………またデートして下さい」
「おじさんと遊んでも余り楽しく無いですよ…」
「でも今日楽しかったです!………ん?…あら?店長また涙出てますよ?」
「砂が目に入ったみたいですね。少し目が痛いです」
「大丈夫ですか?あ~ハンカチじゃ駄目だ…水で流さないと……えっと…どうしよう?……店長!水魔法のウォーターうちますね!」
「ははははっ!大丈夫ですよ!リオさん!しかもリオさんにウォーターなんかうたれたら、おれの頭が吹き飛びます!」
「すみません!すぐに水買ってきますね!」
「大丈夫ですよ。リオさん。…………またデートしましょうか。たまには雨宿りもしないといけませんもんね」
「ん?雨降ってないですよ」
「…そうですね……たしかに…降ってないですね」
「はい。雨は降ってませんよ」
「そうですね………じゃあ…帰りましょうか」
「はい」
毎年アロマキャンドルをプレゼントしてた子いたな~~、、、喜んでくれてたけど……別に報われなかったな~~
デートしてくれて思い出をくれた事には感謝感謝