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大切な思い出

お読み頂き有り難うございます。


読んで頂く前にこれだけは言いたいので前書きに書いおこうと思います。


ここは異世界です!モンスターも魔王もいます!剣と魔法の世界であります!




リオとの買い物の約束があるので、アキラは今日は道具屋を休みにして、お店の前でリオが来るのを待っていた。しばらく待っているとアキラは後ろから声をかけられる。


「店長」


「ん?…あっ!……はい」


アキラが振り返るとキャスケットを深めに被って、伊達メガネで顔を隠し。上は少し大きめのニットで、下にはタイトパンツを履いて、足元は編み上げのショートブーツ。スタイルの良さからかシンプルな服装ながらお洒落に感じさせ、年齢より少し大人びたリオが立っていた。


「すみません。お待たせしました…」


「いえいえ。お店の2階が家ですから気にしないで下さい。…………なんだか今日はいつもと雰囲気が違うんですね」


「あっ!……お…おかしいですか?」


「そんな事は無いです。似合ってますよ」


「あ…ありがとうございます。人の多い場所に行く時は顔を隠さないと騒ぎになるってパーティーメンバーに言われて……すみません。ちょっと変装してるみたいで」


「…なるほど。それは大変ですね。…………じゃあおれも伊達メガネくらいはしたほうが良いですね」


アキラはそう言うと胸元から伊達メガネを出してかける。因みに今日のアキラの服装は上は白シャツを少しラフに着て、下には青のタイトパンツを履いて、足元はシンプルな革靴。スラッとした体型でシンプルながらスタイリッシュに着こなし、今日は渋いおじさまだ。


「ふふっ。伊達メガネお揃いですね」


リオが少し嬉しそうに笑う。


「ははっ。そうですね。逆に目立っちゃいますかね?」


「どうでしょうね?でもその時はその時です」


「まぁあんまり考えても動けなくなりますしね。じゃあ!買い物に行きましょうか」


「はい!行きましょ!」


「因みに今日は何を買いに行かれるんですか?」


「う~ん。……色々です」


お互いに片手には小さなバッグを持ち、空いた片手を二人が結ぶ事は無い。

傍から見れば親子程に年の離れた二人であるが、醸し出す空気は親子とは違い、フルーツを並べた様な少し甘い空気を醸し出す。

剣姫と呼ばれ世界中の人々の為に日々凶悪なモンスターと戦う少女の、ひと時の安らぎを見守る空は本日は雲一つ無い快晴で、まさに最高のデート日和。


リオよりも身長の高いアキラの歩幅が今日はいつもより少しだけ狭くなり、二人は同じリズムで大きな町へと歩いてゆく、、、


───────


────


──


「店長…こういうのはどうですか?」


「…似合ってると思いますよ…」


「店長…これとさっきのだとどっちが良いですか?」


「…う~ん。……どっちも似合ってると思いますよ」


「じゃあ。両方買います!」


「えっ!……りょ…両方買うんですか?」


「はい!店長が気にいってくれたなら両方買います!店員さーん!すみません!これとさっき試着したの両方下さい!送り先はここの宿屋にお願いします」


「はい。畏まりました。では後日送りますので。…お買い上げありがとうございます」


(リオさん…そんな高級宿屋に住んでるのか………さ…流石…勇者パーティー…)


「ふふふ。買い物なんてあまりした事が無いので楽しいです」


「そ…そうなんですね。因みに今日の買い物って?こういう物だったんですか?」


「はい!パーティーメンバーのテディアって女の子にいっぱい良いお店聞いてきました」


(今日は旅の道具を買いに来たんじゃないんだな……私服って……なにが【まぁ…ゆーて道具屋の店長だし、旅に必要な物はわかるし、お店や値段には詳しいと自負してるから、助けにはなってやれるか…】だ!全然わからない!女性の私服なんて全然わからない!お店どころかブランド名すらよくわからない!全然助けになれない!あんな事を思ってた自分が何だか恥ずかしい!……そ…そして値段だ………なんなんだこの値段は?さっきの服二着でおれの月収が簡単に飛んでいったぞ……その前にも色々と買ってたし……)


「て…店長?」


「ん?はい?どうしました?」


「いえ。珍しくちょっとぼーとしてたので…」


「あっ…すみません。……そ…それにしてもお洒落なお店ですね。高価な物も多いですよね?」


「そうですね。でもわたし冒険者として頑張ってますから!お金はちゃんと稼いでるので大丈夫です!さっきの服ぐらいなら大型モンスターを何体か倒して魔石を売れば1日で稼げます!」


(い…言えない。……リオさんの月収がおれの年収より遥かに多いなんて…言えない。流石は剣姫と呼ばれるだけあるな……ちょっと住む世界が違うな……)


「て…店長?」


「あっ!すみません。ちょっと考え事を……」


「……わ…わたしと一緒にいるとつまんないですか?」


「いえいえ。そんな事無いですよ!楽しいですよ!ははっ!」


「本当ですか?」


「はい。本当ですよ。女性の買い物に付き合う事なんて長い間なかったので、何だか新鮮で楽しいですよ」


「良かった!じゃあ店長!次のお店に行きましょ!」


「ち…因みに次は何のお店ですか?」


「え~と次は、女性の下着のお店です!」


「うっ!リオさん……そ…それは楽しく無いです…というか…多分犯罪です」


「えっ!そうなんですか?……すみません。テディアが絶対に盛り上がるって言ってたので…」


「ははっ……そ…そうなんですね。盛り上がるとは思いますが…今日は止めておきましょうか」


「…はい。………わかりました…」


「あ~……そ…それじゃあ…ご飯に行きましょうか」


「はい!行きます!いいんですか?」


「いいですよ。因みに行きたい場所とかって決まってますか?」


「え~と…ご飯はこのお店が景色も良くて美味しいって……聞いてきました」



「あ…………じゃあ…そのお店に行きましょうか」



───────


────



空は天色に晴れ渡り、海はターコイズブルーに輝き、その境界がはっきりと解る。さざ波の音が聞こえてくる海岸線沿いのお店のテラスで二人はハーブティーをすすりながらシフォンケーキを食べていた。


「なんだか時間がゆっくりですね」


リオがアキラを見つめながら話しかける…


「そうですね。……良い場所ですよね」


眩い太陽の光がリオの純真で若い姿を照らし、その綺麗な影を伸ばす。

一度過ぎさってしまえばもう取り戻せないそんなリオの若く輝く姿をアキラが少し悲しそうに微笑みながら見つめる……


「あれ?店長?涙が出てますよ?」


「ん?あれ?本当ですね。………風が目に入ったんですかね…」


「大丈夫ですか?…え~とハンカチ…ハンカチ…」


「ははっ!リオさん。大丈夫ですよ。ここはおじさんにはちょっと風が強かったみたいです」


「そうなんですね…すみません……気づかなくて…」


「ははっ!冗談ですよ。謝らなくて大丈夫です。気づかれてたら逆に悲しいですよ。ははは!」


「なんだかちょっと難しいですね…わたしちょっと人付き合いが苦手で…その…空気読んだりするのが下手で」


「そんな事無いと思いますよ。少なくともおれはリオさんが人付き合いが苦手とは思って無いですよ。一緒にいると楽しいですし、普通の女の子と変わらないと思ってますよ」


「………店長……この後って…まだお暇ですか?」


「え~~と……今日は…」


「あっ!忙しかったなら……その…大丈夫です……」


「いえいえ。忙しくは無いですよ。ただリオさんがおれなんかと…こう買い物というか…これはデートですかね…ははっ……まぁその楽しいのかな?と思いまして」


「はい!とっても楽しいです!」


「そうですか。それなら良かったです」


「あの……店長」


「はい。なんでしょうか」


「この後は……その…店長が行きたい場所に行きたいです」


「おじさんの行く場所なんて…つまらないですよ」


「そんな事無いです……きっと楽しいです」


「ははっ。じゃあちょっとブラブラしますか?」


「はい!ブラブラします!」



魔王と戦っているとは思えない普通の女の子が送るであろう平和な日常を満喫するリオ。ひと時の安らぎの中で剣姫と道具屋の二人のデートはまだ続く、、、




いやぁ~切実にデートがしたいと思う、今日この頃……


男二人でカフェ巡りは悲しくなってきました、、、

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