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ハーブティーと約束

お読み頂き有り難うございます。


皆さんは恋愛してますか?




リオが店内へ入ると、アキラから「ハーブティーをご馳走しますよ」と言われ、一組だけあるテーブルセットの椅子に座る。

ガラス窓から入った日の光がリオの艶やかな髪を煌めかせ、開けた窓からは風が道具屋の中を覗きにやって来てカーテンを揺らす。

アキラがハーブティーを作り始めるとハーブティーの甘く優しい香りが店内を包み込む。


時がゆっくりと流れてゆく、、、


普段は王や貴族に囲まれ、仲間達と訓練やモンスター討伐に出向き、常に喧騒に囲まれているリオにとって、この道具屋のテーブルでハーブティーを待っている時というのは、一番心落ち着く時であった。


しかし今日は告白してしまった緊張感からか胸は高鳴り、鼓動が周囲に聞こえてしまうと思える程に激しく脈を打ち、リオは何とも落ちつかない。頭の中には薄く靄がかかり、手足の感覚が少し遅れる。


「…どうぞ」


リオが少しポーとしていると、アキラがハーブティーを持って傍に来て…テーブルの上に置く。ティーカップが心地好い陶器の音を奏でる。


「あ…ありがとうございます」


リオが明るい水色のハーブティーの甘く優しい香りを一呼吸かいでから、ひとくち口に含むと香味が強く柔らかいハーブティーが口の中から広がり全身に染み渡る。

その優しい香りと味わいが、横に立つアキラとどこか似ていて、心に溶け込んでゆき、自然とリオの顔を綻ばせる、、、


「あっ!……笑った…」


「えっ!」


「あっ………すみません。笑ってる顔を見るの初めてだったので………今日のハーブティーは美味しかったみたいで良かったです」


「いえ……いつも美味しいですよ…」


「本当ですか?…でもそう言ってもらえると助かります。いやぁ~リオさんが〈また来ます〉って言ってたので、色々とハーブティーの試作してたんですよ。気にいってくれたみたいで良かったです」


「わざわざありがとうございます。…………因みにそれってわたしの為ですか?」


「もちろん!……あっ…記事読みましたよ。四大魔将の一角を倒されたんですよね。人々が安心して暮らしていけるのも勇者パーティー様のおかげですし、何かお礼をしたいなと思ってたんですが、おれには豪華な晩餐会なんて開けないので…せめて美味しいハーブティーくらいはと思ってましたので……ははは」


「……そういう理由なんですね…」


(……あれ?…なんか怒った?…)


「でも…ありがとうございます!とっても美味しいです!ふふっ!」


「あっ!また笑った…」


「わ…わたしが笑うとそんなに不思議ですか?」


「いや…そんな事は無いですけど…まぁ普通の女の子ですもんね。普通に笑いますよね。……あっ…すみません!剣姫様にそれは失礼ですよね!本当にすみません!」


「えっ……いや…そんな事は……」


道具屋の扉が優しい呼び鈴を鳴らしながら開かれる。


「いらっしゃいませー。……お客様が来たんで、おれはこれで……あっ…リオさんは気になさらずにゆっくりしていって下さい」


「は…はい……ありがとうございます」


「ははっ!お礼を言うのはこちらのほうですよ。こんなに綺麗な方がお店に居てくれると店内が明るくなりますから。いつも来て頂いてありがとうございます」


アキラの言葉にリオは顔を伏せる。ハーブティーの温かさからなのかリオの顔がやんわり赤らむ、、、


そんなリオの様子に気付かぬまま、アキラは来店したご近所の常連と会話を楽しみながら接客をする。

リオはアキラの接客をする姿をチラチラと見ながらハーブティーをすする。


「ありがとうございましたー!また来て下さいね」


道具屋の扉が優しい呼び鈴を鳴らしながら開かれ、常連客が道具屋を出て行く。その後ろ姿をアキラが見送る。


「…あのー…店長」


「うわぁ!?!?」


アキラの背後からリオが声をかけ、アキラが振り返ると顔が触れそうな距離にリオが立っていた。


一歩…二歩とアキラが後ろに下がる、、、


「すみません。びっくりさせたみたいで……」


「い…いえ。こちらこそ大きな声を出してしまって、すみません…」


「…………………………」


「…………………………」


「あの……ハーブティーとっても美味しかったです。ごちそうさまでした…」


「ありがとうございます」


「とっても優しい香りでした」


「ありがとうございます」


「とっても柔らかい味わいでした」


「ありがとうございます」


「とっても素敵でした」


「あ…ありがとうございます」


「あの…とっても心地好くなれました」


「は…はい。ありがとうございます」


「あと……あの…心に溶けて…とっても好きになりました」


「ははっ!本当ですか?ありがとうございます」


「本当です!とっても好きになりました」


「またいつでも飲みに来て下さい」


「絶対また来ます!…………因みに店長って明日はお暇ですか?」


「ははっ!うちの店はいつも暇ですよ」




「じゃあ……その…明日…買い物に付き合ってもらってもいいですか?」



(ん?旅に必要な物でも買いに行くのかな?)

「買い物…ですか?おれでいんですか?」


「はい!店長がいいです!」


(まぁ…ゆーて道具屋の店長だし、旅に必要な物はわかるし、お店や値段には詳しいと自負してるから、助けにはなってやれるか…)

「構いませんよ」


(やった!デートだ!)

「じゃあ明日のお昼前にまた来ますね!」


「はい。わかりました。じゃあ明日お待ちしてます」


「ふふふ。じゃあ明日また来ます!」



そう言ってリオは微笑みながら直ぐに道具屋を後にした、、、



(ははっ!今日は何だか機嫌が良いみたいだな…)




雨が続くとちょっと憂鬱になりますね。


…恋愛映画でも見て、気持ちを晴らそうかな……


因みに作者の最近のお薦めは【恋は雨あがりのように】です、、、

…この作品と関係無いとは………流石に言えない…


皆様の好きな映画なんかを感想に書いて頂けると有難いです、、、

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