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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第07話「初修羅場」

「こほん」



 僕が天使の笑顔な仄香ちゃんに見とれていると、わざとらしい咳払いをする咲姫。いけない、彼女をほったらかしだった……。



「勉強……するんでしょお?」



 咲姫がニッコリと首をかしげ問い掛ける。怖い……笑顔なのに怖いです姫様……。



「そ、そうだね。どうしよっか」



「あっ、でもぉ~。ほのちゃんは補習で勉強するから大丈夫じゃないのぉ?」



「オーノーッ! 懊悩悩めるオーノーッ! 補習だけじゃあ付いていけんぜよ!」



 Oh, NOーッ!? 仄香ちゃんには優しくして!? なんで突然拒絶的になっちゃったの咲姫ちゃんっ!



「補習だけじゃあ不安だってなら、基礎がちゃんと出来てないのかもね……点数は?」



「れい点っ!」



 「えっ?」と僕と咲姫の声がハモる。



「どれが0点なの?」



「ぜんぶっ!」



「へ、へぇ~……」



 僕と同様に呆れて物も言えない咲姫ちゃん。う~ん、激レアショットゲット! ……心のメモリーに保存してる場合ではなかった。



「満点取るなら努力が必要だけど、れーてぇん取るのはもはや勇気! スゴイ! あたしヒーローになれんじゃねっ!?」



「いや、ダメダメヒーローでしょ。子どもの喧嘩すら解決せずに、すぐ投げ出すタイプでしょ……。仄香、本気で解けなかったの?」



「違うんだってー。五分くらい眺めて無理っぽいから寝ただけー」



「それを途中で投げ出すって言うんだよ……」



 かなりの強者を引いてしまったようだ……。しかし、このアホの子美少女を手放すワケにはいかない。なぜなら美少女だからさっ!



「とりあえず教えるからさ、一からやり直そうか」



「おういえっ!」



「あのねぇ~?」



 しかし、その提案を待ったをかける咲姫。



「どうしたの?」



「ほのちゃんに教えるなら、百合ちゃん一人でも大丈夫じゃないかなぁ~って。わたし帰るねぇ~」



「あぁ、ちょっと待ってよ!」



 咲姫がカバンを手に伸ばそうとするため、慌てて制止する。なんてことだ。僕のハーレムはみんな仲良しじゃないと駄目なんだ。こんなところでハーレムを諦めてなるものかっ!



「何よ、百合ちゃん」



 ツンとした態度の彼女。チラチラ横目を投げるからには止めて欲しいに違いない。どうやったら彼女の機嫌を……何を言えば……。



「僕には君が必要なんだ」



 なんでだよぉ~ッ! 馬鹿かよぉ~ッ! そこは口説いてる場合じゃ無いでしょ!?



「そ、そお……?」



 なんか効いてるしーッ!? この娘カップルごっこがしたいんだな間違いないよ! というか落ち着こうか僕っ! はいっ! ヒッヒッフーヒッヒッフーってそれは出産の呼吸だよっ!



「あー、あのさー」



 そこで助け船仄香ちゃん。さあどうやって咲姫を引き止める……?



「あたしもゆーちゃん"だけ"に教えて貰いたいなーって」



 火に油でしか無かった!



 そんな上目遣いの仄香のセリフを聞いて、眉をひくつかせる咲姫。



「なぁに~ぃ? ほのちゃん。わたしから百合ちゃんを取ろうって言うのぉ~?」



 そして、ヘンッと真正面から対抗する仄香。





「自分で帰るって言ったじゃん。あたしらは仲良くお勉強してるから、大人しく消えたら?」



「二人とも落ち着いてよーっ!」



 お互いに視線をぶつけ合う。おおう、こんなに早くから修羅場かな……? どこで間違ってしまったのだろう……。

 教室の喧騒が遠くに聞こえる。バチバチと火花が散る。ああ、僕の百合ハーレムの夢はこんなにも早く終わってしまうのか……。



 何が駄目だったんだろうと僕が思い返しているそんな中、フッと息をく音。



「あっはっはっはっはっ!」



「うふふっ」



 仄香が突然笑い出し、それにつられてか咲姫も柔らかく微笑む。



「えっ?」



 んんんっ? 何が起こったんだ? 展開に着いていけないぞ?



「いやぁー、会って早々こんな茶番繰り広げられるなんて、やっぱ二人とも気が合うわぁー」



「修羅場ごっこぉ~」



 「ねぇーっ」とハモる二人。あれっ? あれれっ?



「どうしたの? ゆーちゃん。お口あんぐりだよ?」



「二人とも……お互い気に入らないんじゃなかったの?」



「だってゆーちゃんがクッサ~いセリフ言ったから始めたんでしょ」



「あ、あぁ。言ったわ確かに……」



 仄香の言葉に、なんだぁ……と脱力。そりゃあ日常のド真ん中であんなセリフは冗談だと思うよね。演技に思われたのならそれで良かった……。



「わたしも途中から楽しくなっちゃったぁ~」



「ホントねっ、またちょいちょいやろーよ。修羅場ごっこ」



「良いわねぇ~っ」



 両手を握り脇"わき"でパタパタと楽しさを表現する咲姫に仄香が賛成する。でも突然始められたら心臓が止まりそうだから勘弁だなぁ……。





「そういえば、流石にあたし一人が二人に見てもらうのは申し訳無いから、助っ人連れてくるよー」



 仄香から新しい提案。教えてもらう側は助っ人ではないと思うけど……。とにかく誰だろう、美少女ならいいなっ!



 タッタッタッと小走りに教室前方へ駆けてゆき、教卓前の席に座っていた女子にちょっと話し掛けたかと思えば、強引に立ち上がらせ連れてくる仄香。えっ、その子は……。



「この子も赤点みたいだからよろしくぅー」



 前髪で目元を隠しもじもじする立ち姿。おおとりさんである。

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