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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第67話「食べさせあいっこ」

「はい、それじゃあみんな手を合わせて?」



 僕の合図に四人も合掌。



「いただきまーす」



 皆そろって食事のあいさつ。



 スプーンを手に取りそれぞれ一口目を味わう。



「うおうっ! うまぁ~っい! 丁度よきかな!」



「辛く……ナイッ」



「でしょ? 甘口だと仄香が嫌がるし、中辛だとユズが苦手って言ってたからね。中辛を甘くしたんだよ」



 満足そうにテンション上げて言う二人に解説。味付けは基本的に僕がしたのだけれど、口に合うようで良かった。



「うむうむ。隠し味ってやつですなー?」



「まあ、リンゴとハチミツをちょっと。リンゴは丸々買っちゃうと余るから、自分で切って持ってきたんだー」



「やるぅー。主婦力たかーい」



「気も利いてて、女子力も高いんじゃなぁ~いぃ?」



「そうでもないよー」



 褒めてくれる咲姫だけど、手を横に振りやんわり否定。むしろ君の方が女子力高いでしょと言いたいもの。



 そこに口をポカーンと開けてゆずりんが静かにガッツポーズ。



「お嫁に……欲しいっ」



「僕が嫁なの? ユズの方が女子感強いと思うけど」



「じゃあさー! フリフリのメイドゥ!」



「うっ……。仄香のためにご飯作りに行くだけなら別に構わないよ」



「もういっそペットにしてしまおうか」



「蘭子ちゃん!? 駄目それっ! だんだんランク下がってるッ! 人間辞めてるよ!」



 譲羽に続き悪ノリしていく二人。仄香はまだ趣味の範疇だから良いとして、蘭子ちゃんは見た目通りのドS説浮上中……怖い。



 そうしてこうしてり具材がぁ~、トロトロ具合がぁ~などとそれぞれが感想を述べながら食べること数口。



 咲姫が途中で食を休め、一瞬僕を見やってから即座に蘭子に視点を移動。スプーンに軽く一口分すくったかと思えば、



「はいっ、あぁ~ん」



「……? 自分で食べられるぞ」



 当然首をかしげられる。



「ほらほら、別に良いじゃないの。スキンシップよぉ~」



「むぅ……」



 しかし、困惑する蘭子にやや強引気味に食べさせイチャつき出すのである。



「美味しいっ?」



「同じ物を食べているのだから変わらないぞ?」



「やぁ~んっ。そこは美味しいよって言ってくれないとぉ~」



 ……またかぁ。



 先週も昼食時にイチャイチャしてたんだよなぁ。いずれも戸惑う蘭子に咲姫が強引にって感じだけれども。



 咲姫の心はもう僕から離れてしまったの? 僕がアプローチを掛けて嬉しそうに頬を染めた君は嘘だったの? 誕生日サプライズくらいじゃあ気を引けなかったの?



 まあ、そりゃあそうか。イベント如きで気が引けるなら、世の中の恋愛は全て上手くいく。



 不安が絡みつく心が表情に出てしまうのをグッとこらえ苦笑い。



 しかし、咲姫と目が合うとそんな様子もバレてしまうようで、



「どうしたのぉ? 百合ちゃん」



 何食わぬ顔で訊ねられ、僕の中で嫉妬の業火が勢いを増したのが堪らなく嫌になる。



 そこに机をバシバシッと叩く仄香。



「ヘイヘイ! あそこ二人がイチャついてっしさー。うちらも食べさせ合いっこしようぜー」



 僕と譲羽の顔を見て言う。



「三人で?」



「おういえっ!」



「三角カンケイ……修羅場リズム……」



「それは困るなぁ」



「仲良しラブラブ三人組とかなら憧れるじゃん? 良いじゃん?」



「うーん……」



 考える僕。向かいで訝しげに様子見する咲姫と蘭子。まあちょっとした仕返しだと思って、彼女らには疎外感を我慢してもらおう。



 僕がそんな事を思ってる内にスプーンを差し出してくるゆずりん。ちょっと一口大きいなぁと思いつつ、口の横が汚れること覚悟でそれをくわえ食べる。



「オイ……シイ……?」



「もちろんだよ。ユズが食べさせてくれたもんねー」



「ネー」



 顔を向け合い共感する。



「ほいほいこっちもプリーズ!」



 その流れで仄香が口を開けて待っているので、僕はそこへ掬ったカレーを差し込む。



「うーん。最高だぁ!」



「ふふっ。なんせ僕の愛情たっぷりだもんね」



「うっへっへー。とびっきりの愛を感じちゃうぜー」



 こちらとも悪ノリして同調。



「はいっ! リターンッ」



 そして先ほどとは流れを逆転して食べさせあう。



 まあ味は変わらないよなぁーと、僕がもぐもぐと味わっていると、両手で頬を包みもじもじとしだす仄香。



「あたしの愛ぃ……受け取ってもらえたぁー?」



「うーん、なんだか辛いかもなー」



「なんだよそれぇーっ!」



 甘々も時には飽きるだろうと、おふざけで来たのを冗談で返す。そしてひと息置いて、スプーンを差し出しそれをくわえる譲羽。



「んぐんぐ」



「どう? 美味しい?」



 間もなく飲み下した彼女に問いかけるとコクリと頷き口を開く。



「カレーのスパイスの陰で、百合葉ちゃんの唾液とアタシの唾液が口の中で甘美に甘く混ざり合うのが分カル……」



「ちょ、生々しい言い方やめてよー」



 ちょっとその言い方はアカンな……と、苦笑いしつつペシッと叩く。甘美に甘くってすごい甘そう。バターを揚げたみたいな。



 そうして仄香はというと……。



「あっ! 横に並んでるからうちはゆずりんにあげられないっ! ぐぬぬ……」



 悔しそうに言う。しかしそれを聞いた譲羽が、



「続きは寮で二人きりで……ネッ」



「おおお!? それがあったかぁー! こいつぁーラブラブするしかねぇーなぁー!」



 僕を挟んで「うへへー」と見合う、イチャラブゆずほの。実に目の保養であった。悪ノリゆずりんもなんだかやり手っぽいぞ?



「仲良くて良いわねぇ~」



 そんな僕らをスッと目を細め眺めている姫様……口元は笑ってるのに目が何一つ笑ってなくて怖いです……。もしかして怒ってらっしゃる? でもあなたが発端ですからね?



 また、その横でも蘭子が眉をひそめている……うーん。嫉妬心を疼かせられたと思うけど、二人とも後でフォロー必須だなぁ。



 それなら、彼女らがこれ以上不満を持って何かを言い出す前に、この場は閉めないと。



「ささっ。早くしないと片付けが間に合わなくなっちゃうからさ。急いで食べよっ」

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