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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第62話「即席お茶会」

「お茶はホットが良かったかなぁー。あたしのミスだ~ポールスミスだ~」



「冷たい……紅茶……。悪く無いケド」



「まあまあ。ケーキが冷えてるから、冷たいもの同士でいいんじゃない?」



「どっちもさっき購買で買ったばかりだかんなー」



 仄香の後悔に譲羽と僕がフォローする。ひと息つくように、仄香は両腰に手を当てて眺める。



 そんな、瞬く間に仕上がった自分の目の前のケーキセットを見渡し「ふむ」と蘭子。



「紙皿にフォークにスプーンと……お茶用の砂糖も買ったのか。用意がいいな」



「即席お茶会ねぇ~。ありがとぉ~ほのちゃん~!」



 咲姫も感心するように頷き感謝を伝える。



「はっはー。もっと褒め称えたまえー」



「全く。仄香はすぐ調子づくんだから」



 などと、お茶会セットを急いで買ってきてくれたグッジョブ仄香ちゃんだったけど、打って変わって威張るようにぺったんこな胸を張る……もはやそういうキャラなんだろう。



 ちなみに、購買とは名ばかりで、下手したら小さいスーパー並みにはあるんじゃないかというレベルのコンビニであったり。その品揃えから寮生にも喜ばれているみたい。さすがお嬢様学校なだけは……ある?



 そうして皆の机を見渡した仄香だが、少し落ち着いた表情に。



「でも安っぽいセットしか売ってなかったんよー。こんなんだったらお茶会セットもさっにーにプレゼントするべきだったかなー。それでみんなで使うの!」



「それ、咲姫をこき使う気満々でしょ……」



 こういうところ、ホントお調子者なんだからなぁと呆れる僕。でもそういう、くだけた性格もまた彼女の魅力かもしれない。



「わたしはいいわよぉ? 毎日でもお茶会したいし~、淹れるのもお菓子用意するのも好きだしぃ」



「まじまじのまじ!? やったぜ!」



「咲姫、ホントにいいの?」



「お皿もうちに余ってるのがあるから、明日持ってくるわねぇ~」



「よっしゃ! これは毎日優雅にティータイムかなかなかなぶんぶんカナブンブンッ!」



「言い方が全然優雅じゃないんだけど……」



 お茶の時に虫の話はなぁ……。ここ、一応お嬢様学校だよね? まあ上流階級というよりは、いいとこ育ちの中流以上って感じの子が多いのかも。



「でも、毎日優雅に過ごしてられないよ? 一応写真部だから、たまには外に出ないとね」



「んー、まー。それも面白そうだし良いかなー」



「写真……撮りタイ……」



「そうだね、とりあえず出して、ちょっとずつ慣れていこっか」



 僕は棚にしまってあったカメラを取り出し起動させ、



「みんなも一応見てね。ここをこう押してさ……」



 操作画面をみんなに見せると、また彼女らに向き直りカメラを構える。



「おっ? 写真撮影かな?」



 うっきうきに言う仄香。僕の向ける先に集まるように身をかがめて、



「さっき~もっかい! ローソクの火を消すフリ!」



「え、えぇ~」



 なんて咲姫にせがむ。とまどいつつ、「早く早く」と急かされるので、咲姫は急いでケーキに向き合う。



 ふぅ~っと、長~く吹いている間にパシャリ。あせあせとした写真が撮れたのであった。桃の果実みたいな唇を尖らせて大変可愛らしい姫様。後で僕の携帯にデータを移しておかないと……。



「あ、アタシも撮りたい……」



「撮り方わかったでしょ?」



「うん」



 コクリと頷く彼女。肩下げのひもをかけてやり、カメラを渡す。



「おっ? 第二回だなぁっ? いぇーいっ!」



「いぇ~い!」



 相変わらずのハイテンションで、咲姫もそれに乗っかる。



「ほらっ! らんたんもっ!」



「い、いぇーい……?」



 そして仄香の無茶ぶりになんとかノってくれる蘭子。食べる前は不機嫌なのかなぁと思っていたけれど、もともと口数の多い子でも無かったし。こんなものなのかな。



 譲羽の手元でパシャリと鳴る。その後どうすればいいのか戸惑う彼女の手元を僕が横からいじり、既存画像の見方もみんなに見せながら操作する。



「いい感じに写せたみたいだね」



「次あたしもあたしもー!」



「はいはい」



 なんて、仄香の手に渡る。一眼レフといえどただのカメラなのに、撮り始めたら物珍しく集まる子どもたちみたいで、僕も見ていて楽しくなる。



「咲姫ちゃそ誕生日記念だぜー!」



「それならケータイでも良さそうだけどね」



「こういう特別なやつで撮るのが特別なのー!」



「これはすごいカメラ……!」



「ゆずりんの言うとおり! すんごいカメラなんだぞう!?」



「すんごいカメラ……ねぇ……」



 目を輝かせて、やっぱり愉快な子だなぁって思った。妹属性というか、お子様属性? 楽しい娘たちだ。



 などと、やれやれと見守っていると、後ろ向きになっていた仄香が即座に振り返り……?



「っとここで激写ッ!」



「きゃっ!」



 フラッシュをたかれ眩しそうに咲姫がひるむ。



「なにするのよぉ~っ」



 言うと机の周りを逃げながら画像を確認する仄香。咲姫はぷんぷんと両手を握り追い掛ける。



「あ、さっきーの肌荒れ、ドアップで写しちゃったーっ」



「えぇっ! まさかぁ!?」

 仄香に言われると咲姫は追いかけるのを忘れ、たちまち真っ青な表情になり顔をペタペタと触る。写真削除が先なんじゃないかと思うけど?



「……うっそー」



「もうっ! ほのちゃんったらぁ~っ!」



 強くなる西日の中、騒がしくも、楽しいの部活動になりそうだなって思った。百合ハーレムを作る上で、みんなの仲が悪かったらいけないからね。



 そして、前回発見した先生の写真はこっそりとパソコンに移してあったりする。先生はそのうち打ち明けてくれそうだけど、もしや、廃部に関係があったりするのだろうか? あの件はみんなの目に触れないようにしよう。

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