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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第32話「無人島に持ってく物」

「無人島に持ってく物?」



 珍しく僕と蘭子の二人だけの部室で。僕はネットの記事を見て、たまたま気になった事を蘭子に訊いた。



「なんだ。心理テストで私の本心を知りたいのか? なら問題ない。持ってくのは百合葉一択だからな」



「心理テストじゃないし僕は物じゃない!」



「えっ? お前は私の物。違うか?」



「ジャイアニズムでもない!?」



 そしてジ○イアンがそれ言ったらBLになっちゃうね! 映画特有の熱い展開どころか、二人の熱い夜のお話になるね……ってやかましーわっ!



 そんな、表では出せないような寒いセルフツッコミを脳内で終えつつ。



 でも、BLっていうよりも少女マンガみたいなセリフだったなーって思い返す。いや、BLもノリは実質少女マンガだけど。というか、世の中のBLって小綺麗な男二人だから、実質百合なのである。ふはははは。筋肉ムキムキや毛むくじゃらなBL以外は百合の素質があるのだ! 世の中いかに百合で回っているかをまた一つ証明してしまった……。



「なんだ、スッキリした顔をして。私の物だと言われてイキそうになったか?」



「いや、そんな事はないけど」



 相変わらずのセクハラに冷静に返す。ツッコミを入れてしまったせいで情熱的なセリフもギャグになってしまったが、よく考えれば、このセリフだってキュンとくるといえば来るのだ。ただ、僕があまりにもツッコミ属性を極めてしまったせいで、百合から遠のいていく……。くっ、これがツッコミ属性の罠かっ!



 まあね。百合アニメのツッコミ属性って、セクハラされつつもツッコミで誤魔化してる節あるよね。つまりツッコミ属性=百合確定演出? あれ? でも僕、愛情には素直になるキャラでは? いっけねー。キャラがブレるとこだったよー。



「じゃあ、蘭子も僕の物……って事でいいかな?」



 よしっ。イケメン女子が吐きそうなキザゼリフを返してやった!



「何を言ってるんだ。私は私の物だが」



「ジャイアニズムかっ!」



 やはりツッコミで終えるのでした。



「上下関係が分かっていないようだな。百合葉は受け。そして私が攻め。この事実はひっくり返しようもない」



「それでも僕が物ってのはひどいなー」



「大丈夫だぞ? 百合葉が全く動かなくても、私が世話したり慰めてあげるという事さ。何せ、私の物だからな?」



「なんだか監禁の匂いがするなぁ!?」



 それ動かないんじゃなくて、動けなくされてる気がする!



「あっ、トイレの世話もちゃんとするから安心だぞ?」



「安心できない! 安心できないよ!」



 介護だったらこんな安心できるセリフはないんだけどねっ! でもお婆ちゃんになっての百合介護となるとやっぱり安心なのか……? いやいや。



「トイレくらい一人で行かせて欲しいよ」



「一人で……イかせて? いや駄目だな。私がイかせるんだから、百合葉がトイレで勝手になんて許さないぞ。もったいないじゃないか」



「もったいないってなんだーっ!」



 でも今回のは地雷感があった。うん。蘭子とは、トイレの話は、しちゃ駄目だ。百合葉、心の俳句。季語は百合の定番トイレ。トイレ、百合、何も起こらないはずはなく。という季語なのである。



「へぇーい! ゆーちゃんまたツッコミで叫んだねーっ!?」



 そうこうしてるうちに仄香と咲姫と譲羽が部室に帰ってきた。



「そ、そうだよ。無人島に持ってく物、一つだけって言われたらなんだろうなーって蘭子と話しててさ」



「えっ? ゆーちゃん?」



「同じ発想になるなーっ!」



 即答の仄香であった。



「だってゆーちゃんいるだけで心強いしょー。料理は得意。運動もそこそこ出来る。リケーだから色々物を作れそー」



「そうよねぇ~。百合ちゃんに頼っちゃいそぉ~」



「アタシも、百合葉ちゃん無しでは生きられナイ……」



「ま、まあ? それはあるかもしれないけど」



 普通に褒められてしまった。というかゆずりん? 一人だけ普通に重い愛になってるけど?



「でもなー。無人島問題、定番だけど悩むんだよなー。心理テストじゃなくてフツーの話でって事でしょー?」



「ま、まあそうだね。そういう雑談で蘭子に話を振ったんだけど」



「私は百合葉を腋に抱えて持ってくが」



「こんな有り様だよ」



 なんだか僕を海に持ってくビニールイルカみたいに見てない?



「まー。定番はスマホでしょー」



「そして、充電どうするかーってなるんだよねー」



「あ、あーっ! そっかーっ! バッテリーも持ってかないと!」



「二つになってるよ?」



「あーっ!」



 そうそう。こういうお馬鹿な話題を振りたかったんだよ。いきなり蘭子相手はミスだった。



「そもそも、その無人島には電波は届くのか? だいたい届かない設定だよな?」



「電波届くなら助けて~って言えるものねぇ」



「あー。じゃあスマホ要らないや」



「速攻で捨てたなぁ……」



 現代人仄香ちゃん。ネットが無かったらスマホはただの鉄の板になるみたいだった。



「捨てるなんて、モッタイナイ。お気に入り動画とか入れといたら……無限に時間潰せソウ……」



「確かにそれなら暇はしなさそうよねぇ~」



「でも無人島だったらやる事いっぱいあるから、スマホ見てる余裕無くなっちゃうっていう問題がねー」



「わー。問題尽くしじゃー」



 と、定番の問題を上げていく。普通はこう否定否定の流れは嫌だけど、こういう話だとまた一興という感じ。ノってくれる相手が居てこそだ。



「それなら問題ないワ……。普段の世話は百合葉ちゃんが全部やってくれるカラ……」



「待って? やっぱり僕がユズを養ってない?」



「……? アタシが百合葉ちゃんナシに生きれるとでも……?」



「あーっ」



 なんだよこの依存が当たり前のロリ~。かわいいなぁ! 無限に面倒見ちゃうなぁ~!



「うぐっ」



 と、いつものように譲羽を撫でていたら、蘭子ゆ脛を蹴られてしまった。なんだ! ロリを可愛がるのが罪だとでも言うのか! 痛い!



「定番はサバイバルナイフとかだよな。切れるだけでかなり生活に役に立つ」



「やっと実用的なの来たね。その辺は蘭子得意そうだよね」



 そこで仄香がバンバンと机を叩く。



「えー? それなら伝説の剣とか持って行きたーい。熊とか居ても勝てそうじゃん!」



「刃物だけど! 伝説の剣はルール違反だから!」



「ルール違反かー。それは仕方ないなー」



「まあ実在しないからね」



 と、無人島に熊が居るのも、それを伝説の剣で倒すのも、リアルなのかフィクションなのかめちゃくちゃだなって思った。



「剣じゃあ小回り効かないからな。案外、大変だと思うぞ? 私はやっぱりナイフを推すな」



「そうそう。剣も面白い意見だけどね」



「あと、百合葉が浮気しそうな時に脅すのに役立つ」



「僕は連れて行かない設定じゃなかった!?」



 確かに剣で脅す場面じゃないけどさ!



「大丈夫。脅すだけだ。そしてナイフで切り取ったツタで百合葉を縛り上げるにも役立つぞ?」



「まーた監禁しようとしてるー」



「違うぞ? 亀甲縛りだぞ?」



「結局エロになるんかいっ! いてっ!」



 と、蘭子にツッコミを入れてたら、今度は咲姫に蹴られてしまった。なんだかんだ嫉妬心はあるんですねぇ。



「わ、わたしは、その……百合ちゃんの写真とか……持って行きたいかもぉ」



 蹴っといてこの姫、乙女である。いや蹴り姫だけど。



「お、おお。嬉しいね。そういう特殊なのも聞きたかったよ」



「やっぱり、写真とかって生きる力になるじゃない? だから、絶望的な中でも頑張れるかなぁ~って」



「そうだよね。好きな人の写真って良いよね。僕も咲姫の写真があると心強いなぁ」



「そうして、写真を抱いて、空を見上げながら……」



「それ僕死んでない? 思い出の人になってない?」



「え~と……。刺し殺されて?」



「あり得るからやめて?」



「でも百合ちゃんの亡骸はずっと側に置いとくから安心してね?」



「やっぱり無人島で修羅場になってるじゃん!」



 そして、さり気ないヤンデレ展開! いや、いいよねっ! いや僕死んでるが! 大好きなヤンデレ百合展開のすえ死んでるんだが!



 と、ちょっとしたネタ振りのつもりだったのに、色々な意見や百合展開が聴けて、割と楽しい雑談だったのでした。

後半の、みんなが色々と案を出す展開だけ書こうと思っていたら、前半に蘭子ちゃんパートをガリガリと書いてしまいました。

蘭子ちゃんだからね。仕方がないね。


お題、無人島に持ってく物 っていうネタだけ思い付いて、とりあえず書くかと思ったら一時間で三千文字とサクサクでした。

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