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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第27話「好きな季節」

 いつもの放課後。いつもの部室。



 いつものように勉強したり、スマホをいじったり。そんな中で仄香がうっへーと呻き声をあげる。



「東京もう夏日だってさー。あっつー」



「へぇー。こっちなんか、やっと雪が溶け終わりそうなくらいなのにね……」



「東京の春は無いのかしらねぇ……。この前、桜が満開だったばかりなのに可愛そう……」



「デモ、こっちも寒い春だと思っていたらいきなり暑くなったりするシ……。バランス調整が良い場所なんてなかなか無いものネ……」



「そうとは言っても、やはり四月から夏が始まるのは考えモノだな。暑いと集中力が落ちる」



 仄香の言葉に僕、咲姫、譲羽、蘭子と続く。気温の雑談は誰であっても参加しやすい話の定番だ。



「だけど最近こっちの夏も暑いよねー。夏に35度とか普通に続くようになっちゃったー」



「それで冬は豪雪とかね……。夏冬どっちもキツいとかなんの為の雪国なのか分からなくなってくるよ。もしやここは人間の住む場所じゃない……?」



「猛暑はともかく、雪のお陰で米が美味しいという説はあるがな。人間が住まなくなったらこの国の食糧自給率は一気に下がるぞ。馬鹿には出来ない」



「それにしたって暑くて雪多いのは困るよぉー」



「それは同感ー」



 と、いつもの蘭子ちゃん雑学を交えつつ。仄香と僕は机にうぇーっとなる。



「そういえば、みんなの好きな季節は何? 仄香とか夏っぽいじゃん」



「夏っぽいってナニ!? 髪色かっ!?」



「いや、テンションがうるさいから」



「じゃあ冬にはもってこいじゃん!」



「コタツでぬくぬくさせてー」



 と適当なやり取り。そこで仄香は一度ふーんと鼻を鳴らす。かわいい。



「ま、この流れでなんだけど、やっぱ夏よなぁ! 遊び放題!」



「それは夏休みがあるからじゃ」



「そうだけどさー! 山! 海! プール! 花火! 肉肉肉ーッ! 大自然を満喫できる!」



「最後違わなかったか?」



「まあ、バーベキューは夏の定番だし……焼くのは自然物だし……」



 海辺キャンプでバーベキューする姿がよく似合いそうだ。



「それよりアレだろう。薄着の百合葉、汗に塗れて、透ける肌」



「季語みたいにすんな」



「確かに。それ一番大事だったわ」



「大自然どこ行った?」



 なんて、僕へのセクハラが最優先になってしまう美少女たち。せっかく顔は良いのに下ネタって悲しい……。



「まあでもある意味肉って事で、揉んどく?」



「揉ませねーわっ」



 僕の前に差し出された仄香のワキワキした手を払う。全く、セクハラに余念の無い美少女だ……。



「さ、咲姫はどう?」



「春かしらねぇ。桜も綺麗だしぃ、クローバーとか可愛い草花もいっぱいあるでしょ~? 可愛い季節よねぇ~」



「そうだよね。咲姫も一番かわいい時期かもしれない」



「やだぁ~もう! 百合ちゃんったらぁ~」



「ごめんごめん、一年中かわいかったね」



「もうそうやってぇ~」



 と、甘々のやりとりをするだけでもう大満足であった。もう一年中春でいいんじゃないかな? いや春なのは僕と咲姫の頭の中か。あはははは。



「いてっ!」



「譲羽はどうだ?」



 蘭子に脛を蹴られて甘々タイムは終了。話を遮りたかったのか、蘭子は譲羽に話を振る。かわいい嫉妬心だなぁと思ってニマニマしているともう一回蹴られた……。理不尽だ……。僕は今、君を可愛いと思っていたのに。



「冬……カナ。デスボイス出しても雪で消音出来る……ウヘヘ……」



「外でやってないよね? 部屋だよね?」



 いや、自分の部屋でやっても何事かと思うけど。



「あーそれあるよなー。冬なら生ドラムガンガン叩けそー! 新しいはっけんだー!」



「やめようね?」



 一軒家でもかなりの近所迷惑になりそうだ。



「あとはコタツ。アニメゲームが捗ル……」



「ああ、それはいつも通りだね……」



「そして、夏はクーラー全開でアニメゲームが捗ル……!」



「常にじゃんか!」



 本当にいつも通り過ぎて呆れてしまった。



「デモ、百合葉ちゃんにくっついてあったかいのは冬……だから、冬が一番好キ……」



「ああ、それはあるよねぇ。お互いの体温を感じられるもんねぇ」



「デモ、体温感じるのは一年中でも……イイ」



「そ、そうだね。夏はちょっとアレだけどね」



「デモ、汗ばんだ百合葉ちゃんにくっつくのもまたいとをかし……」



「だから季語にすんなっ!」



 なんで汗ばんだ僕が夏の風物詩みたいになってんだ……。変態レズが集まって、みんなの性癖がお互いに触発されてる気がする……。



「もちろん夏の百合葉は世界の季語と言えるが」



「季語にすんな……。世界に季語は無いわ……」



「私が一番好きなのは秋だな。読書の秋。気温も良いから、集中して本が読める。落ち葉を栞代わりにするのも、風情があっていい」



「へぇ。蘭子がそんなロマンチックな事をするなんてねぇ。いがーい」



「う、うるさい……。私はもともとロマンチストだ」



 カッコ付けて話をまとめたかったのかな? そうだと思うと、余計にかわいい。



「それで、最後だぞ百合葉。君は誰が好みなんだ?」



「いま誰がって言わなかった?」



「いや? どれが。だ。どの季節が好みなんだと訊いた」



「言ったと思うんだけどなぁ……」



 なにこれ。この質問じつは、どの季節を選ぶかによってルートが分かれたりするの? やだよ? 僕はみんなを選ぶよ?



 でも、誰を選ぶかに関係なく、僕の答えは決まりきっているのだった。



「春かな」



「春……咲姫か……。潰すか」



「蘭ちゃん潰さないでよぉ~」



「潰すのはアレだぞ? 春をだぞ?」



「地球じゃんそれっ!」



 それともなんだ。日本を赤道辺りに移動させるのだろうか。やっぱり地球規模だ……。



 ともかく、僕は収まりが悪いので、言おうと思っていた言葉を続ける。



「そりゃあ春は咲姫と一緒で、花が綺麗とかあるけどさ。なにより、みんなと出会えた季節だから」



 そして、みんな黙ってしまった。今までのボケとツッコミな流れから一変したからだろうか。



 その真面目さを誤魔化すかのように、蘭子が咳払いする。



「四股クソレズのくせに、良い話でしめようとするのはやめろ」



「そうだよー。全部の季節が好きとか言って誤魔化しときなよー」



「でも夏って言ったら?」



「はっ? 同じ季節好きとかあたしらデキてんじゃん!」



「手のひら返すなっ!」

まさかの勢いで2500文字書いてしまいました。


思い付きで百合を描くと今を生きてる感があってとても充実しますね……。

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