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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第18話「スパイラル髪の毛」

「うーん」



 部室の鏡と睨めっこ。この位置は良い感じに光が当たって、下手な手鏡より見やすいのだ。というかいつの間に姿見が? 咲姫ちゃんの仕業かな?



 僕のウェーブがかった灰茶色の猫っ毛。ファサッと持ち上げては落とす。そしてちょいちょい触る。その繰り返し。



「なぁにしてるのぉ~? 枝毛~?」



「いやぁ、授業中傷んだ毛を見つけてさ。ずっと気になってたんだよねー」



 その中でようやく……。



「あった!」



 持っていた眉切りバサミで切る。普通のハサミは持ち歩いてなかったから、刃先が狭いのが苦労したけど、なんとか切り落とせた。このやっかいな髪の毛。



「うわぁ、めっちゃスパイラル髪の毛だー。咲姫、見てみてー」



「わぁ、渦巻いてる傷んだ毛ねぇ~。切って正解よ~。授業中って見つけても切りにくいから、見失いやすいのよねぇ~」



「そうなんだよねー。さすがに授業中に切るのは遠慮するよねー」



「なにさー。ブチって引っこ抜けばいーじゃーん」



「仄香……それは雑すぎるよ……」



 話に割って入る仄香。女子力の低さがちょっと怖い。



「ハゲちゃうわよぉ? 最近じゃあ女性のハゲも深刻って聞くしぃ~」



「やっべ! ハゲるのはマジ勘弁!」



「抜くのはダメ仄香ちゃん……。アタシなら……見つけたらすぐハサミ出して切ル……。すごく気になって、何も出来なくなるカラ……」



「ユズは一番目の前の席なのにやるなぁ……」



「ユズちゃんは授業中けっこう自由だものねぇ~」



「エッヘン」



「褒めてないよ?」



 眠そうな目で胸を張るこのロリ可愛い。そんなゆずりんは咲姫にも言われるくらいな自由っぷりで、教卓の目の前が案外死角だからって、小説やら落書きやら描いてるような子だ。何か創作が降ってきたのか、いきなりコソコソとイヤホンを取り出してた時はビックリした。不器用な子なのに、こういうところはなんだか自由奔放なモノ。バレて怒られたらすごく泣きそうなのに。



 さてさて。髪の毛を捨てるゴミ箱は……奥の冷蔵庫前だ。僕が捨てに行こうと思ったけど、仄香も譲羽も傷んだ髪の毛トークに参加し盛り上がってしまい、捨てに行くタイミングを逃しつつあった。仄香が髪の毛をイジりながら口を開く。



「たまーに意味分かんない毛ってあるよねー。なんでそんなに傷んどるんじゃいって! 他はトゥルットゥルなのにさー。火傷でもしたみたいなー」



「ワカル……。人体のエラーとしか思えナイ……。だから、嬉々として滅スル……」



「切るだけじゃあ滅せられないだろうけどね。でも、傷んでる毛を見つけたら結構嬉しい気持ちもあるよね」



「あぁ~分かるぅ~。傷んでる髪の毛なんて無い方が良いのに、見つけたときはちょっと嬉しくなっちゃうわよねぇ~」



 と、こんなに盛り上がってると疎外感を感じたのか、小説を読んでいた蘭子がようやく顔を上げる。



「百合葉のスパイラル髪の毛だって……? つまり縮れた髪の毛で……陰毛?」



「やめろ、僕の髪の毛を陰毛扱いするのやめろ」



 昔、天パの男子がそうやってイジられてるのを見た事あるよ……頭から陰毛生えてる扱いとか本当にショックだからやめた方がいいと思う。



「とりあえず、そのスパイラル髪の毛を私にくれ」



「やだよ、何に使うの」



「百合葉の陰毛を御守りの中に大事にしておけば、いつか私が百合葉を妊娠させられるんじゃないかと」



「気持ち悪っ! どんな気持ち悪い男子のオカルト妄想だよそれっ! ってか陰毛じゃないわっ!」



 ってか女同士で妊娠も何もないわっ! いや、その為の御守りなのか!? レズの神頼みかっ!?



「でも、こんなにも私に愛されて嬉しいんだろう」



「いくらなんでも陰毛を大事にされたら気持ち悪くて引くわ……」



 しかし嬉しいのは本当である。憧れるくらいクールな美人にこんなにも想われるのは……ただ、その愛の重さがやや下品なのが玉にキズ。



「百合葉、当たり前に生えてる陰毛が気持ち悪いとか思春期男子みたいに盛り上がるのはやめてくれ」



「今っ! 思春期男子みたいに! 下ネタで気持ち悪いのは! アンタだっ! 陰毛トークで盛り上がるとか女子高生の話題じゃないよ……!」



「百合葉、何を女子高生に夢を見てるんだ。そもそも、我々は女子高生である前に女子校生だ」



「いや、女子高校生だよ。女子校とか関係ないよ」



「つまり、男子が居ない。下ネタも、どんなにオープンにしても恥ずかしくないというわけだ」



「乙女の恥じらいくらい持てーッ!」



「そもそも乙女である前にレズだ」



「いやレズでも恥じらいをさぁーッ!?」



 何言っても無駄みたいだった。



 しかしそこに、哀れむような顔で咲姫が蘭子にもの申す。



「まったくぅ~。恥じらいの無い腐れ女は下品で困るわねぇ~」



「なんだ。陰毛くらい生えてるのは当たり前じゃないか」



「当たり前だからって話題にして良いワケじゃないよ……」



「わたしは生えてないわよぉ? どこぞの図体ばかり大きな男女と違ってぇ~」



「はっ。永久脱毛ってヤツだろう。そこまでして自分を偽りたいのか?」



「百合ちゃんはムダ毛がない方が好みなんですぅ~。美少女になれないからって嫉妬しないでぇ~?」



「さ、咲姫……。僕の性癖をそんなおおっぴらにするのやめて?」



 いくら咲姫にバレてるとは言え、ちょっと恥ずかしいよ……。ほら、ドン引きしながら黙って聞いてた仄香と譲羽がなんか耳打ちしてる……。恥ずかしい……。



「ふんっ。まだまだ咲姫の美意識がお子さまなだけだな。いつか百合葉も大人の魅力に引かれるさ。陰毛を除去した事を後悔するがいい」



「今美しければいいのよ。大人の魅力とか言って、結局はムダ毛ボーボーで老けていくのが怖いだけじゃないのぉ~?」



「ふんっ。陰毛も大事な毛なんだぞ? 性病にでもなってろ」



「いや、それはたぶん関係ない」



「百合ちゃん以外とはシないから問題ないですぅ~」



「その百合葉が私ともシてる訳だが?」



「じゃあアナタが百合ちゃんとシなければ問題ないわよねぇ~」



「はっ? 百合葉とするが? 毎日パコパコだが?」



「そんな頻度でシてないわ……」



 ってかパコってなんなの? 指だけど? 僕抱かれるの指だけど?



 あまりの下品さに呆れて僕はハァとため息をつく。僕の憧れた百合ハーレム。作れはしたと思ったんだけど、どうしてこうなってしまったんだろう。と、ふと指に持った毛を思い出し見てみれば……。



「あっ、僕のスパイラル髪の毛消えたっ! 捨てようと思ってたのに!」



「なんだと? 私の大事な御守りが」



「だから御守りにすんなっ!」



 蘭子が駆け寄り机の上を探す。なんでそんなに必死なんだ……。



「あっ、もしかしてこれか? なんだ、ただのうねりまくって傷んだ毛じゃないか。こんなのでは陰毛には程遠いな」



「だから最初からそう言ってるよ……」

前に番外編で投稿してたネタです。


我ながら、下ネタをよくわかってないので、思ってる以上に下品なんじゃないかと思います(それでも百合下ネタは続ける)

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