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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第13話「月とお風呂と、防水スマホ」

「はぁ~幸せぇ~」



 学校も復習も家事も終えた一日の終わり。大きく伸びる僕。



 蘭子からもらったローズミルクの入浴剤のお風呂に入り、咲姫からもらったジンジャーレモンティーを飲んで、仄香から送ってもらったギターアレンジのクラシックを聴きながら、譲羽に教えてもらった百合小説を読む……。



 こんな優雅な時間があっていいのだろうかっ!



 もうこれは実質百合だね。みんなから受けた愛をこの一身に受けているよね。今度、百合の花びらでも浮かべてみようかな……。それは薔薇の花びらを浮かべる蘭子と何が違うのだろう。実は僕もキザナルシストだった?



 ジンジャーレモンの甘酸っぱさを感じながら、女の子がどんどん百合堕ちしていく小説を読み進める……。ああっ、なんて、甘酸っぱい物語なんだろう……。んっ? 百合堕ちは甘酸っぱくない? またまた~。



 それにしても、お風呂でも小説が読める。音楽が流せる。防水スマホって便利だなぁ~。たまにドジやらかすから、一応防水スマホを選んどいたけど、なんて便利なのか……。もはやスマホを手放せる時間は一切ないね……。あれ? それってもはやスマホ中毒なのでは? 違いますぅ~。ある意味メガネとかみたいな、生活に大きく役立つ便利グッズなんですぅ~。



 だなんて、脳内で自己正当化。でも、映画の配信も見れるし、アニメも一気見出来る……。もはやこれ、お風呂で生活出来るんじゃない? いぇーっ! お風呂サイコーっ!



 なんて調子に乗って長風呂すればのぼせるワケであって……。そろそろお風呂から上がらないと倒れてしまいそうだ。



 と、思っていたら、スマホが小説の画面から切り替わってLIME通話の呼び出し画面になる。薔薇をくわえたスーツ姿のアイコン……蘭子からだ。毎度、アイコンを見る度に笑わせてくれる。同じ蘭子の画像でも、たびたび違うのだ。



「もしもし?」



「百合葉。いま電話大丈夫か?」



「うん。まあ少しなら」



「それは良かった……。んっ? 音が反響しているな?」



「あはは、バレたかー。いま入浴中だからね」



「ゆ、百合葉のお風呂タイム……っ? 百合葉、今すぐビデオ通話に切り替えてもらえないか……? とくに、胸の辺りが大きく映るように……っ」



「切るよ!? それ僕と通話したいんじゃなくて、おっぱいが見たいだけじゃん! バカっ! 変態っ!」



「ま、待って、早まるな。ビデオ通話じゃなくても、百合葉のえろえろ自撮りで我慢するっ」



「はい、切りまーす。蘭子おやすみー」



「待って百合葉っ。愛してる、愛してるからっ」



「軽いっ! 愛の言葉がめっちゃ軽いわっ! 別れを告げられたのに必死にすがりつく女々しい男みたいじゃん……」



 かつてはスーパークールなイケメン女子だった蘭子ちゃんがどんどん女々しくなって辛いよ……。いや、女の子だから女々しくて当たり前なんだけど。



「それで? 用件は?」



「んっ、用件……? はて、忘れてしまったな。百合葉のえろえろ自撮り写真を撮ってもらって、そのドスケベボディを堪能するつもりだったのか……」



「よしっ。切っていいねっ。ついでに友達の縁も切っちゃおう!」



「それは本当に困るっ。私は君が居ないと生きていけない……っ」



「んな大げさな……」



 まあ、そんなクールなイケメン女子をベタ惚れにさせたのは僕自身なんだけどね……。えへっ! 僕って罪深い女~。



「そもそも……だ。私たち、一応付き合ってるんだよな? 百合葉が他の子たちとも付き合ってる形になるから、その実感が湧かないだけで」



「ん~まあそうだね」



「ふんっ。このクソレズめっ」



「付き合う前からさんざんセクハラしてきた子に言われたくないなぁ」



「百合葉が魅力的過ぎるのがいけない。つまり百合葉が悪いんだよ。私はなんにも悪くない」



「その発言、男だったら間違いなく捕まってるよね。蘭子が女に生まれて良かったねと心の底から思うよ。いや、同性でもセクハラは駄目だけど」



 多分、世の中には僕らみたいな笑い事じゃあ済まない同性セクハラもあるのだろう。そう思うと、いちおう相思相愛ではあるから、ノロケみたいなものだけど……。いや、ノロケでもセクハラは嫌だなぁ……。



「女だからこそこんなにもパーフェクトでビューティーな私なのだし、そうでなかったら、百合葉の百合ハーレムターゲットに選ばれなかっただろうし。本当に私たちが女で良かったと思うな。百合葉がクソレズというのを言い訳にしてセクハラ出来るのも良い」



「いや、それでも良くない」



 どれだけセクハラに情熱を注いでるんだか……。 



「あっ、用件を思い出したぞ」



「へぇ、なんの用だったの?」



 蘭子の事だから、結局セクハラなんだろうなぁと思っていたら……。



「今日は月が綺麗な夜だから、百合葉の声を聴きながら見たいなと思っただけなんだ」



「そ、そう……」



 なんだよ突然……。急にそんなイケメンな事言うなよぉ……。



「おっ、今照れたな? 女ったらしなクソレズのくせに」



「あ、アンタこそっ! クソレズの癖にロマンチックな事を言うんじゃない!」



「まあ、ついでに今晩のオカズを得られれば最高だと思ったのだがな。月の光に照らされて、美しい百合葉の裸体を見ながら果てるのもまた風流じゃないか」



「セクハラもやめろぉっ!」



 百合に囲まれる……じゃなくて、レズに絡まれる夜でした。

以前書いた番外編から。


やっぱり蘭子ちゃんのセクハラ百合は良いねっ(^ω^)


セクハラからのロマンチックな流れ……とても良いです←自画自賛

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