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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第12話「愛でる花」

 授業と授業の合間。遠くに聞こえる女子たちの喧噪。そんな中で響く、粘り気のある水音。



「んっ、百合ちゃ……もう……っ」



「静かにして」



 教室から遠い廊下の隅で、咲姫を壁に押しつけて僕は彼女の口を塞ぐ。強引に舌をねじ込ませ、彼女の口腔を蹂躙する。



 制服がこすれ合う。彼女の整えられた後ろ髪をわしゃわしゃにかき乱す。髪の桃の香り、酸っぱい香り。



 身をよじる、逃がさない。僕は彼女の脚の間を太ももでより強く押さえつける。今はなんだか、このままぐちゃぐちゃに溶け合いたい気分だった。



「百合葉」



 しかし、その声が響いたとき、僕らはサッと身を離した。



「どうしたの、蘭子。そんな怖い顔をして。美人が台無しだよ?」



 まあ、怖い顔の美人も好きだけどね。僕の横で頬を染め俯く咲姫を、蘭子は気に入らなさそうに見やる。



「私は、愛しのマイハニーを探していただけなんだが、まさか他の女と二人きりだとは思わなかったな……。咲姫とナニをしていた?」



「さあ。ご想像にお任せするよ。それとも、僕が咲姫と二人きりなだけでそんなに不安?」



「百合葉……」



 僕が煽る様に言うと、落ち着きの無い咲姫が、蘭子の横をすり抜けて走りだした。



「おい」



「わたし、ちょっと……トイレに……。先生には遅くなるって言っといて」



「分かったよ、咲姫」



 そしてまた駆け出す。少し乱れた後ろ髪が光って、僕は心の乾いた奥底から満たされた気がした。沸騰するように蠢いていた炎が、途端に落ち着いて熱が奪われていく。



「お花摘み……いや、花を愛でに行ったのだろうな」



「咲姫の見た目は高値の花みたいな存在だからね。髪の毛が乱れてちゃあプライドが許さないのかもしれない」



 僕が言うと、蘭子はハァとため息をつく。



「百合葉。そういう気分だったのなら、私に相談してくれればいいのに。私なら、もっと君を満たしてあげられるというのに」



「そういう気分じゃ……なかったんだ。今の僕を君には満たせない。その時に愛でる花を選ぶ。僕はズルい女さ」



「……全く、ズルい顔をするもんだ。強引にその顔を崩してやりたくなる」



 彼女は僕の手首を掴む。しかし、僕は壁に押さえつけられる前に捻り、その手から逃れる。少し力を入れただけで、彼女の手はなんなく解けてしまった。僕は力なく睨み付ける彼女を見る。



「ごめん、もう授業が始まるからね」

前に番外編で出していた、ちょっとエッチなお話。


毎日新しく書いて投稿しようと思ってたのですが、ペースが絶賛乱れ中です。


個人的にタチタチな百合葉ちゃんも好きなんですが、ベッドの上だと逆転するんですよね。どんな流れでなっちゃうんでしょうね。

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