第51話「年度末、終業式後」
年明けてからの学校生活というのはあっという間で。
卒業式や高校入試の関係の休みも多かった為に、もう終わりを迎えようとしていた。
そう、終業式。僕らのクラスが終わるのだ。
「一年間、君たちの担任で良かったと思う。ありがとう」
渋谷先生の挨拶で、僕らのクラスは解散となった。一年を思い出し、どんどんクラスのみんなと仲良くなれていった事を思い出す。
きゃいきゃいとはしゃぎ出すクラス。一番声が甲高いのは百合好きで漫画研究部の藍羅ちゃんで、オーバーなテンションど騒いでいるのがたんぼぼちゃん。他にも色々な子が。
入学当初はただの喧騒の一つだったのに、今では色んな子の声を聞き分けられる。それだけ、みんなと仲良くなったのだ。そんなクラスも、もう終わり。
「百合葉ちゃ~ん。来年もまたライブやろうね~。別のクラスになっちゃっても、私たちは音楽で繋がってるからねぇ~」
「同じクラスだと良いね。でも、別クラスでも遊びに行くよ」
「わ、わたしの男装女子部にも……遊びに来て欲しい……です!」
「大丈夫大丈夫いくよ。もちろんこっそりね」
「そ、それは嬉しいです!」
唄佳ちゃんと翠ちゃんに万が一の別れの挨拶。これで、結局同じクラスだったーとかなったら良いのになぁ。
「百合ちゃん? こっそりってなんの話かしらぁ?」
「ああ咲姫、おかえり。結衣ちゃんとの話は終わった?」
「終わったけどど、質問の答えをはぐらかしてなぁい?
「まあまあ。大した事じゃないよ」
「ふぅ~ん」
と、彼女は翠ちゃんをねめ付ける。すると蛇に睨まれた蛙のように、翠ちゃんはビクッと堅くなる。
「あっ、あっ、わたし失礼しますねー」
「来年は別クラスちよろしくねぇ~」
なんて、思いっ切り嫌みを。黒い咲姫ちゃん、それもまたかわいいなぁ。
僕と咲姫と、そして動いていない蘭子の三人が集まった。その側で、奏ちゃんと茜さんが話しているのを蘭子が見ていた。
「色々勝負したけど、お前とはケリ付かなかったな。まっ、次同じクラスだったら、その時はケリ付けようや」
「おーおー奏っち。クラス違ったら張り合いが無くて寂しくなるもんねー。一緒のクラスだといーねー」
「そ、そうだな」
なんていうちょっとしたツンデレに内心合掌する僕。と、茜さんと奏さんは高身長同士だからか、好敵手のようだった。蘭子は相手じゃないのだろうかと見やれば、それが伝わったのか、首を横に振る。
「私は百合葉を打ち負かせればそれでいいからな」
「同じ体格の子と張り合えば良いのに」
「……いや、私の相手は百合葉だし、百合葉の相手は私だ。それは変わらない」
なんだかんだ、この子の相手は僕一色みたいだ。なにそれ。お前だけを追い求めるみたいな、少年マンガのホモ的な展開? 百合だよ?
そこへ、仄香と譲羽も帰ってくる。いつもの五人メンバーが揃った。
「うっすうっすー! みんな挨拶おわったー?」
「アタシたちは……永久に離れるかもしれぬ縁との、最後の別れを終えたワ……」
「永久って。戦場に行くわけじゃないのにー」
笑う僕。なんだかんだ、ちょっと変わり者な五人が集まったけど、クラスに溶け込んでいて良かった良かった。
でも、それも、今日で終わり。みんなとの挨拶も終わったし、僕は席を立つ。
「じゃ、部室に行こっか」
本当は冬編もまだまだやりたい気持ちはありますが、
ネタ自体はないので、終わりに向かいたいと思います。
ちょっと余談ですが、バレンタインの後だとスキーって雪が溶けたりして微妙な時期なので、順番間違えてます笑 気にしないでください。
もうすぐいよいよ本格的に日常編が始まるのですが、
このまま同じ作品に投稿続けるべきか、一端終わるべきかと悩んでます。
小説のシリーズ設定はあるし、分けた方が良いのかな。
 




