第44話「スキーのグループ分け」
到着したばかりの今日は、スキーの基本動作を確認し、みんながどれだけ滑られるかを確認するくらいに終わった。
しかし、これによって上手さ順によりグループが決まり、僕と蘭子がAグループ、咲姫と仄香がBグループ、譲羽と藍羅ちゃんがCグループという結果で、バラバラになってしまったのだった。
「うぅ、百合葉ちゃんがグループに居ない……寂シイ……」
「ね、僕も寂しいよ。でも、明日の試験が終わったら自由だから、それまで頑張ろうね」
「ウン……ッ」
自然と頭を撫でてしまう。この頭、身長、そしてこの健気感……めっちゃくちゃ手が吸い寄せられるのだ。もはや撫でられロリ魔族である。
そこに、コホンと藍羅ちゃん。
「あら、わたくしの事を忘れないでくださいまし」
それは、どっちに対しての発言なのか。もしかしたら僕にも譲羽にも忘れられたくないのかもしれないけれど。
「でもネ藍羅ちゃん……。百合葉ちゃんと同じグループじゃないと、その勇士を撮影出来ないノ」
「た、確かにその通りですわ……」
「滑ってるのに、どうやって撮るの……」
手袋の上から持って、手袋内にボタンを仕込むのだろうか。
「そりゃあ、ゴーグル内臓カメラですわっ! これでイケメンが滑る作画資料が得られますわね……うふふ……」
「今回の為に……買っといたノ……。ウヘヘ……。これで、百合葉ちゃんを撮り放題……ウヘヘ……」
「二人とも、なんだか犯罪臭がするよ……」
藍羅ちゃんと譲羽、キャラ的には陽と陰みたいなのに、なぜかオタクとして意気投合してるし……。本当に犯罪に使えそうだし。
「ほう。良いことを聞いた。私もカメラ内蔵のゴーグルを買って、百合葉が温泉入る時に付けていこう」
「それは普通に犯罪だ!」
ってかわざわざゴーグル付けて入浴とか違和感ありすぎるよ……っ!
「蘭子ちゃん、百合葉ちゃんと一緒で羨マシイ」
「しかも私は、百合葉をガン見出来る上に、私の美しさをアピール出来るんだぞ? 百合葉も私に釘付けとなるに違いない。最高だ」
「よそ見は危ないよ……」
譲羽は羨ましがってるけど、果たしてそれは羨ましいのか。撮影とかアピールじゃなくて、普通にイベントを一緒って所を大事にして欲しいなぁ。
しかしそれでも咲姫は羨ましいようで、ぷっくり頬を膨らませて嫉妬心を表している。
かわいくて、ついつついてしまう。ぷひゅっと息がもれてかわいい。
「あとちょっとだったのにぃ……」
「グループ分けテストね。しょうがないよ。スキーって基本の運動能力もそうだし、スキーそのもののコツを体が覚え切ってるかどうかだもん。いくら咲姫が運動のセンスがあっても、いきなりは早々覚えられないよ」
「あ~あ~。わたしも、子どもの頃とかスキーに行っとけば良かったぁ~」
確かに、小学校の頃、冬休みには親と一緒に行ったというクラスメイトの話はあったし、それが羨ましかったモノだ。そういう子は、やっぱり上手かったりする。
「僕も行った事はないけどね。でも、学校のスキー学習って好きなんだ。夏と違って、滑った後の涼しさは爽快だし、先生がちゃんとコツは教えてくれるし」
「……スキーが好きな百合ちゃんが好き~」
「ぶふっ……突然ダジャレ言わないでよ」
定番ネタなのに、咲姫ちゃんの綺麗な顔で言われるモノだから、つい噴いてしまった……。だんだん咲姫ちゃんギャグ耐性がなくなってるな……。咲姫ちゃんが居るだけで笑っちゃいそう……それお笑い芸人では? 美少女としては違くない?
そこに、本当のお笑い芸人……じゃなくて、芸人枠の仄香がバシッと胸を叩く。無い胸だからか、良い音がした。
「へぇーん! 運動シンケー良いからってイチャついちゃってさー!」
「イチャついてなくない?」
「そうだぞ。私と百合葉が常に見つめ合ってるのは通常運転だ」
「いや通常運転でもなくない?」
心は結ばれているけどね……。でも、本当に常にだったら、スキーコース外の林に突っ込んじゃいそう。
「それがイチャついてんのよー! あたしらBグループはAグループにゲコクジョー叩きつけてやるからねー! 足を洗ってまってなよー!」
「仄香、今回のグループはもう変わらないし、洗うのは首ね?」
「まじかよぉ! 頑張る気なくしたー」
「いやいや、成績の為に頑張ってね?」
あと下克上しちゃうと一緒になれないんじゃない? 僕ら打ち負かされちゃうの?
「とりあえず、明日の試験が終わったらみんなで一緒に滑ろうね。それが一番の楽しみだよ」
スキーのグループ分け。私はCとかDの最下層だったので、上手い人の気持ちはそんなに分かりません。
勉強も全然だったし。
だから、百合葉ちゃんはまあ、こんな感じかな? っていうイメージで書いてます。




