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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部三章「百合葉と美少女たちの冬」
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第38話「アクリルスタンド」

 物販コーナーの行列がようやく進んで、僕らはやっとの思いでグッズを買い終える。



 譲羽は、買った物を大事そうにリュックに入れて、ようやく立ち上がった。



「ごめんね、待たせチャッテ」



「大丈夫だよ。それにしても、いっぱい買ったね」



「もちろん……。使う用と、保管用……」



「や、やっばりすごいね……」



 確かに、気に入った物はもう二度と手に入らないのだから、保管用は分かる。でも、ほとんど二個三個と買ってるから、この子の財力が怖いものだ。



「ソシテ……これが布教用……。今日付き合ってくれたお礼ダカラ……」



 と、譲羽が買った小さなアクリルスタンドの入った包みを僕と仄香に手渡した。



「あ、ありがとう……っ。アニメ見たのに、更に布教されちゃった」



「コンテンツはアニメだけじゃないし……。ソレニ、キャラをもっと好きになって欲シイ……」



「ゆずりんありがとー! 開けちゃうねー!」



 仄香がお礼を言って、さっそく開けにかかる。僕もそれに続いて、かじかんだ手を首で温めてから開ける。



「あ、スノボしてるスタンドだ。良いデザインだね」



「雪合戦の絵だ! ふ~ぅっ! かっわいー!」



「フフフ……。この子たちを机の上に飾るとイイワ……」



 こういうオタクグッズって、普段使いしにくいし、そもそもアニメの絵と大差無かったりで、買う価値を見いだせない事が多いんだけど、案外良い物だなって思った。



※ ※ ※



 雪像にグッズと、主要の目的を終えて、僕らは売店のコーナーに。とにかく温まりたいという気持ちが強かったり。



「ずっと外いたから手がかじかじだよー! 早く飲み物買ってあったまろー!」



「そう……ネ。カイロ代わりに温められて便利カモ……」



「あ、そうだね」



 と、すぐさま仄香と譲羽がレジの方へ。選ぶ間もなくて僕はちょっと焦る。



 こういう時でも、僕はゆっくり選んじゃうタイプなんだよなぁ。サクッと決めようと意気込まないと、その場のノリで選べないという。寒いからなのか、二人とも行動が早くてビックリだ。僕もそのくらいの即決力が必要かもしれない。



「コーンポタージュくださーい!」



「あ、アタシは……ココア」



 と、迷わず店員さんに注文した二人。やっぱり、寒い日にはあったかい缶々だろう。ペットボトルも良いけど、まずは手を直接温めたい。



 と思って、メニューを見てみれば……。



 た、たかいなー。



 ただの市販の缶だよ? 価格が何倍にもなってない?



 やっぱこういうイベント物だと、ちょっとした飲み物すら高いのだろうか。うーん、学生に優しくない!



 それとも? 社会人になる前の



 手袋を脱いだ手でメニューに悩むフリをしつつ、財布の中身を確認……。う~ん、あまり散財は出来ない……。



 好みの飲み物が無かった風に首を傾げ、僕は財布を鞄にしまった。



「うーん、僕はいいかな」



 普段から節約しとかないと、この子たちのペースに合わせられないのだ。この一回くらいなら、問題ないだろう。



 しかし……。



「うぇー! 一人だけ飲まないとか、なんかなんかじゃーん! なんか気まずいというかなんかじゃーん! ハブってる感じに見えるじゃーん!」



「あっ、ごめん……。そういうつもりじゃ……」



 一人だけ注文しないのも雰囲気が悪かったか。ドケチの反省だ。もっと自然に断れるようにしないと。



 でも、そこに、



「はい、百合葉ちゃん……。温めた手で手を繋げば……百合葉ちゃんもあったか……。二倍分け合える……デショ?」



「はー? ゆずりん天才かよー! あたしも繋ぐー!」



「ちょっとちょっと!」



 なんて、僕がポケットに入れていた手を二人が取り、繋ぎ始めたのだった!



 このロリたち~! 萌え殺す気か~っ!

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