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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部三章「百合葉と美少女たちの冬」
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第33話「みんなのバレンタイン」

「はーつかれたー。今日の掃除長いよー」



「手伝う事……多カッタ……」



「二人ともおかえり。仄香、ユズ。おつかれさまだったね」



 そんなこんなしているうちに、掃除班だった二人が帰ってきた。しかし、食べ終わったチョコの匂いを悟られたようで、仄香は鼻で大きく息を吸う。



「うーん……この香りはー!? 分かった! 貴様ら先にチョコ交換してたじゃーん! チョコーカンの戦いじゃーん!」



「アタシたちの居ない間にお楽しみデシタネ……?」



「ま、まあ……。渡しちゃったよ。ごめんね」



 なんて悟られてしまった。流石の嗅覚だ。



「それじゃ、はい、ハッピーバレンタイン。二人は用意してくれてるの?」



 あれこれと言い出したら好感度が下がる一方なので、有無を言わさずささっと渡してしまう。勢いで誤魔化せごまかせ……っ。



「ま、まーね。あたしはダルいから作んなかったけどー。おいしそーなやつ選んだよー」



 と、仄香は鞄から、青色の箱を渡される。チョコらしくないなと思って見ると……。



「わっすごい……。宇宙みたいなデザインのチョコなんだね……」



「そーなのー! なんか気になってたから、買っちったー! 面白いでしょ? 美味しかったよー」



「た、食べたんだ」



「そっ! やっぱ美味しいモノはキョーユーしないとねー!」



「ありがとう。こんな綺麗なチョコ、嬉しいよ。高そうだけど大丈夫だった……?」



「値段期にするなんてやだなーゆーちゃんはー。五千円もしないし大して高コーキューヒンじゃないよー」



「い、いやごめん……。ただ、庶民にとっては充分高いものかな……」



 やっぱり、金銭感覚がちょっとズレてる子だった。



「みんなにはガディバねー。ガディバガディバー」



「あらぁ、ホノちゃんありがとお~! これ口の中でとろけるようで美味しいのよね~」



「さっきー分かってるなー。好きだから買ったのよー」



 と、先には好感触。蘭子と譲羽は軽くお礼を言って、もう食べていた。そんなに糖分摂取したいのだろうか。



「ってか仄香は配る用に作るのかと思ってたよ」



「なんか昨日になってめんどくなっちゃってさー。まあ? 本命は用意してあったし、あとは配る用とみんな用とー。買ってきたー」



「なるほどね」



 結局かなりお金はかかってるみたいだ……。しかも美味しいし、本命はこんなにオシャレという……。手作りじゃないのに、恐ろしい子だ。



 なら、譲羽と蘭子はもしかして、仄香のセンスに嫉妬でもしてるのだろうか。もしそうなら、どうにか挽回はしないと。



 と思い、まだ貰っていない譲羽と目を合わせる。彼女は仄香のチョコを食べつつも、僕のタイミングを見計らっていたようで、机の下に隠していたチョコの包みを出す。



「ゆ、百合葉ちゃん……。アタシも……貰って……」



「アタシ……も?」



「じょ、冗談……フヘヘ……。百合葉ちゃんをうちの執事に迎え入れたいのは、アタシなのニネ……。フヘヘ……」



「そっかぁ。そうだよねぇ」



 なんて、不器用に笑う中二病ロリをつい撫でてしまうのだった。いつの間にか僕は執事設定みたいだけど、譲羽に仕えるという妄想はそんなに変わらないみたい。



「こ、これ……。頑張って作った……。アタシのアイが詰まっテル……」



「へぇ」



 なんか、意味深な言い方な気が……。



「ベリーチョコ。チョココーティングで周りを作った後に、深紅のスカーレットを注いだノ……。大変ダッタ……」



「時間をかけて、すごい凝った作り方をしてくれたんだねぇ」



「中に月のマナを一晩中、詰めたかったからネ……ウヘヘ……」



 と、相変わらず不器用に、不気味に笑う彼女。その腕に……傷は無さそうだ。リストカットで血を入れてないみたいだから、ひと安心。でもいつもより隈がひどいから、思考錯誤して夜中も作ってくれたのだろう。僕は彼女の頬をなで、目元を親指でなぞる。



「でも、無理はあんまりしないでね? ユズに倒れられるのは嫌だからさ」



「寝ようが寝まいが、眠いのはいつも……。この時くらいは頑張りたいナッテ」



「そっか。頑張ってくれてありがと」



 お礼を言うしかなかった。嬉しい。でも、無理はして欲しくない。なら、その気持ちにどう応えるか。



 一口食べる。う~ん、チョコの中がドロリとした濃厚ベリー。



「美味しい……。溶けたチョコと合わさって、甘酸っぱく絡み合う……。お菓子の腕あげたね、ユズ。めっちゃ美味しいよ」



「ウヘヘ……」



 と、僕はまた彼女の頭を撫でる。もはやいつもの癖だ。咲姫とか蘭子には髪の毛が乱れてしまいそうでなかなか出来ないけど、譲羽はつい撫でてしまう。これが甘えん坊ロリの魔力か……っ。



 一方、他の子たちを見ると、僕らをちょっと訝しげに見つつ、同じチョコを食べているようだった。邪魔はしないという主義だろうか。ありがたい停戦状態だ。



「みんなの分も、試作品のベリーチョコ渡シタ。まあまあ美味しいハズ」



「そうなんだ。それぞれ味を変えたりしたの?」



「いや……ランダム……。でも、たくさんある中で、ハズレが一つ……」



 と、譲羽のチョコを無言で食べていた中で、クールな眉根をひそませる子が一人。



「酸っぱ……譲羽、これ酸っぱいんだが……」



 蘭子がロシアンルーレットを引いてしまったようだった。

今回のはしばらく書き途中だったのですが、書き溜めがこれで無くなってしまいました。


明日からは、毎日頑張って投稿して、現実世界の春に追い付きたい……春が終わっちゃう……。


無理はしないようにしてますが、やっぱり毎日小説書くと一日の満足感すごいですからね( ˘ω˘ )


頑張っていきたいと思います。

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