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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部三章「百合葉と美少女たちの冬」
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第26話「誰が鬼役?」

「さあさあ入って入ってぇ~。いま座布団を出しちゃうからぁ~」



 僕らは咲姫ちゃん宅のリビングテーブルを囲って座る。座布団なんて不要なくらいのふかふかな絨毯だ。せんべい座布団ならぬ、せんべい絨毯になっていない上質さ。やはり良いとこのお嬢さんだ。いや、うちがケチくさいだけか。



 食事を作る調理場のキッチンがダイニングと対面する形になっていて、リビングとも繋がっているから、かなり広い印象。そしてテレビがみんなも調理者も見れる位置にあって、料理を振る舞ったりするのがとても楽しそうな家。将来的に、こういう家を買ってみんなと暮らせたらとても楽しいだろうなぁ。



 目の前に落花生と升代わりの木製皿を四枚置きつつ、例によって咲姫がお茶を入れてくれた。今回はカモミールティーみたい。みんなひと息ついてスッと飲む。う~ん、優雅だっ。



「ああ、安らぐなぁ」



 と、心落ち着かせているとにっこり微笑む咲姫ちゃん。ああ、もう存在だけで癒し。毎日僕のそばで笑っていて欲しい。



 そう言えば、豆まきって鬼役が必要なんだっけ。みんなでかわりばんこで鬼役とか、楽しそうだなぁ。



「豆まきなら鬼役だよね。誰からやる?」



「もちろん、鬼役は百合ちゃんだけよねぇ~。みんなも賛成よねぇ~?」



「えっ!?」



 危ない、噴き出すところだった……。しかし、みんなはうんうんと頷いていて、僕の反対の余地が無くなってしまいそうだ。



「ちょ、ちょっと待って! そりゃあ鬼役は必要だけどさぁ! なんで僕だけなの!? みんなでかわりばんこでいいじゃん!」



「えーっ! だってそれじゃ~時間足んなくなーい? はいっ! ゆーちゃんひとりが鬼役で良いひとー!」



 と、僕の反対意見を強引に押しのけ仄香が挙手を促す。案の定、四人ともみんな手を挙げる……ぐぐぐ……。



「ほらぁ~。みんな百合ちゃんの鬼の姿が見たいのよぉ~? いいわよねっ? ねっ?」



「そうだぞ。みんなの総意だというのに、百合葉はそれに逆らうというのか?」



「くそうっ! 多数決って全然平等じゃないなぁっ!」



 悪い社会の縮図を見た気がした。多くの支持さえ集められれば、どんなに不平等な決定でも覆せないのだ……っ!



「アタシ、百合葉ちゃんが鬼の役……楽シミ……」



「あぁ~もうっ! やるしかないかっ!」



 ゆずりんにまで言われてしまって僕は吹っ切れるしか無かった。僕はヤケ酒ならぬヤケカモミールティーを飲んで、叫び枯れた喉を潤す……う~ん、ぜんぜん優雅じゃない……っ!



 そんなところで、咲姫が譲羽に何か耳打ちしている。なんだろう。



「よろしくねぇ? ユズちゃん」



「心得タッ」



「なになに?」



 咲姫ちゃんなんだかすごく企んでる?



 僕と譲羽は咲姫に案内されて咲姫の部屋に。ここでお着替えするという事だ。ユズは鬼の衣装らしき袋を持っている。ゆずりんはどっちかっていうと尽くされるタイプだと思うけれど、今回はお付きの役みたい。



「それじゃあ、あとは任せたわよぉ~」



「えっ? うん」



 咲姫が僕と譲羽を部屋に置いて、リビングに降りてしまった。なんだなんだ? 咲姫の部屋だし、しかも僕の着替えとなったら、咲姫が喜んで着替えさせそうなモノだけれど……?



「アタシは、百合葉ちゃんのお着替え手伝い係……を、任命サレタっ。百合葉ちゃんは気にしないで、服を脱ぐといいノ」



「そ、そう。なんだか変な感じだね。恥ずかしいけれど……」



 でも、セクハラ三昧な他三人に比べてユズは大人しいし、見られても大丈夫かな。



「それじゃ……百合葉ちゃん、脱いで脱いで」



「あ、うん」



 着替えを出してもらうのが先だろうけれど……? とりあえず、僕は制服を脱いでいく。



「ブラウスも、キャミソールも……タイツも」



「え、えぇ……!?」



 なんでそこまで脱がないといけないの……? 衣装って、せいぜい着ぐるみとかそういう可愛いのだと思ったんだけど……?



 驚きつつ、僕は譲羽を見る。いつもの不器用で怪しげな……ニタァという笑顔……。



 袋の中から出されその手元に広げられたのは…!?

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