第24話「明日は両親が居ないから」
暖冬でしばらく暖かい初冬が続いたけれど、ついに寒さも本格的になる。
どこの道路も一面、重たい雪の絨毯を纏うようになった。新雪が何度も折り重なり、雪解けの時期まで残る根雪に姿を変えたのだろう。
ちなみにこの根雪というやつ。寝ている雪と書くのだと思っていた。そこまで気象用語として定着しているワケではないから、どちらでも通じるのだろうけど。
根雪になったねーと言われるようになった極寒の始まり時期。この季節には晴れていると、高い空に暖かい空気も吸い上げられてしまうようだ。時おり一仕事を終えた冬将軍がぴゅうと空っ風のように吹きすさんで寒々しい。
そんな中、僕は綺麗な青空の下、咲姫と一緒に下校していた。太陽の光が白い雪に反射して目を細めてしまう。でも、二人で見る綺麗な季節だから、その一瞬一瞬も共に感じていたい。
街路樹が八重桜のようなポッコリした雪の花を付けている。大きな通りを抜ければ、足跡もまばらな歩道で、ずもずもと雪を踏む音が響き渡る。降ったばかりの雪の上に作られる二人の軌跡。最初はバラバラだったその跡も、自然と音も幅も揃っていってなんだか心がぽこぽことした。
きっと僕らお互いが無意識に合わせているんだろうなぁ。
寒い中であっても、こういうひと時は心温まる大事な時間だ。
何より、僕の大好きな咲姫ちゃんとの時間なのだから。
「あのねぇ百合ちゃん。明日、うち、お母さんもお父さんも病院で忙しくて、帰って来ないのよねぇ~」
「そ、そう。それで? 何かあった?」
僕とした事が。ちょっと焦りが出てしまった。だって、咲姫ちゃんの親が居ない時っていうのはだいたい……。
「あらぁ? 百合ちゃんなんだか動揺してない? もしかしてぇ~、お泊まりえっちを期待しちゃったぁ~? もぉ~やらしい子なんだからぁ~」
「ち、ちがうっ! この僕がそんなの期待するわけないっ!」
「んもぉ~。口先ばかりで素直じゃないのねぇ~。でも最近の百合ちゃんって、結構えっちな考えになってきてると思うわよぉ?」
「たとえそうだとしても、それは咲姫のせいだよ……」
「あら? わたしのせいで百合ちゃんがえっちになっちゃったの? やぁ~だぁ~それってすごくソソる~」
「ソソるなっ! そして中指くねくねさせるのやめなさい!」
くっ……。寒くて顔が痛いはずなのにやけに熱い……。いや、めっちゃむしろ冷たい風を浴びてるから中和されて丁度いいのか……。いいのだろうか?
冬の幻想に浸っていたのに台無しだ。
「咲姫がえっちな事ばかり考えてるから、些細な仕草がそういう風に見えちゃうだけだよきっと……」
「……まっ、そういう事にしておきましょ」
「いや、否定しなよ……。えっちな事ばかり考えてるの……?」
出会った当初の純粋そうな白銀の美少女はどこへやら……。
まあ、どんな彼女であっても大好きで仕方が無いんだけどね。
今だって話しながらも、僕らの間では手が絡んだままだ。
「それで? 帰ってこないから……どうしたの?」
本当は、どうするの? と訊きたい。でも、それだとまた、僕がお泊まりえっちを期待しているみたいで言い方を変えた。
「そうよぉ~。明日は両親が居ないからねぇ~?」
お泊まりなのか……違うのか……? お泊まりなら心の準備が……って、何を準備すると言うんだ僕……。いや、お泊まりセットは必要で、でも素泊まりでも咲姫ちゃんが僕の持ち物なんかよりもずっと良いモノを貸してくれるワケで……いやいや、頭がこんがらがってきた。ビークールビークール……平常心平常心……。
歩くまま、少しの無言。焦らすように黙る咲姫。いつもは気にならないはじなのに、僕の喉が大きく鳴ってしまったのがよく分かる。そして内心ドキドキしている僕の顔を見て、彼女は満足そうに笑う。
「みんなでうちで、豆まきとかどうかなぁ~って」
風景描写が上手くまとまらなくてダルいなって自分で感じましたが、
わざわざ一般人の小説を読んでくださってる方が求めてるのは、その作者なりの世界観もあると思ってまして、
それなら、自分が感じた風景を、ちょっとダルいくらい詰め込んでも良いんじゃない? って思いました。
もっとキレの良い、完成度の高い文章ってのはこういうサイトの小説には求められてないと思いますから。
なので、完璧にはまだまだ遠いですが、自分の感じた風景や世界観は、ガンガン書いていきたいと思います(謎の表明)
 




