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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第04話「委員決め」

「じゃあ図書委員は鈴城すずしろさん、保体委員は火野ひのさんで決まりねぇ~っ」



 咲姫さきが進行をし、僕が板書。夫婦初の協同作業ですっ! ……何を考えているんだろうね僕は。でも仕方がないじゃないの、こんな美少女とペアだなんて。浮かれちゃうよね。



「係も委員も、名簿がほとんど埋まったね」



「残り空いているのは書記だけねぇ……。まだ手を挙げていない人~?」



 見事、物怖ものおじせず委員長としての責務をこなす咲姫。他の委員や係は不思議な事にぴったり人数通り。最後の一枠の書記が決まればじゃんけんせずに決定するのだけれども……。



 そのプレッシャーからなのか。一人の名前が黒板に書かれずにいた。



 早いうちに庶務という名の雑用係に立候補してしまえば良かったのにね……。全員が何かしらの職に就かないといけないという強制事きょうせいごと気後きおくれしたのだろうか。気持ちはよく分かるなぁ。



「えーっと……。まだ書いてないのはおおとりさんだけだね」



 名簿に目やりながら僕が言うとその声に反応してか、教卓の目の前でビクッとする女子が居た。座席表からして彼女のことだろう。



 ……同情は取り消しだ取り消しーっ! この子には存分に愛情を注ぎたい……っ! 前髪の隙間から覗かせるたぬき目の……なんと愛らしいことっ! その自信なくモジモジした姿は、まさに愛されて当然な小動物のようっ! 抱き締めウリウリと撫で回したくなるぅ~。



 しかもこの子の苗字は"鳳"。入学式の壇上で学院長が娘も入学したと言っていたし……あれ本人からしたらものすごい恥ずかしかったんじゃない?



 ……まあとりあえず、この学校における最大権力者の娘さんなのだ。引き入れたら面白いことになるのは間違いなく……。



「君が鳳さん……だよね? 僕達の手伝いとして書記をやってもらえないかな?」



 僕が懐柔かいじゅう矛先ほこさきを向けるのは言うまでも無いのだ。何より美少女だし。美少女というのは全ての理由として成立するのだ。



「エ……」



 つぶらな瞳をぱちくりとさせて、消え入りそうな低く澄んだ声で彼女は薄っすらと口を開く。雪のように冷たそうな小さい頬が、桜みたいな鴇色ときいろに染まった。ああ、恥ずかしいんだね……。その自信なさげな可愛らしい声音を、この僕にもっと聞かせておくれ……っ。



 ともかくクラスの都合としても僕の都合としても、彼女が書記に入るのは一番自然で収まりがいい……というか僕のモノにしたい。カムヒヤ美少女ウェルカム美少女。



「別に字は汚く無いでしょ? 僕達の指示に従って、学級会のノート取りをして欲しいんだ。色々サポートするよ?」



「強制じゃないけど、嫌じゃないならやってみましょうよぉ~!」



 咲姫がキラキラした目で彼女の手を握る……それは事実上"強制"とは違うのだろうか? そこに生徒みんなのきらきらとひた視線が集まる……。う~ん、素直な子たちなんだろうけれど、無意識の女子の同調圧力怖いよね。



「……う、うん。やって……ミル」



「わぁ~っ! ありがとぉ~!」



 そう言いながら彼女は鳳さんの手を上下に振る。かな~り強引だった気が……まあ、咲姫の明るさでカバーしてくれたのだと思おう。



 学級委員メンバーである書記というポジションに就いてもらえた以上は、何かと彼女に接する事が出来そうだ。ちょっと強引にでも美少女との縁はつなぎ止めて置かないとね。



 そうして、鳳さんが決定内容をノートに書き終え、先生に渡したところでLHRは終了する……にはまだ早く……。



「全員決まったようだな。さて、先ほどのテスト結果が来たから返していきたい。赤点の者はさっそく、金曜日の放課後に追試だ」



 担任が重大な通告をしたのであった。

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