第34話「キューティクルゆずりん」(追加)
一時限目が終わって、またも僕の席に遊びに来る、前の席のロリ二人。飽きないものだなぁ。
でも、百合ハーレムを作るとか考えておきながら、自分からかけるアプローチがよく分かっていない僕としては、嬉しい限りだ。まずは仲を深めていく事から……。
「そういえばユズ、髪の毛切ったの? めっちゃかわいくなったね」
「う、うへへ……。そうなの……。めんどくさくてサボってたから……。両暮らしが始まるし、心機一転に……久しぶりに、美容室、行ッタ……」
「へぇ。いいね。髪型も少し軽くなって良い感じだよ」
「あ、アリガト……うへへ……」
「ゆーちゃーん。あたしはー? あたしはどぉーおー?」
「仄香? えーっと……」
何か変わったのだろうか……。ここで気付かなければ傷付けてしまう……。でも本当に分からないし、仄香相手なら……。
「ごめん。昨日との違いが一ミリも分からないや」
「なぁにうぉーっ! 一ミリ以上は伸びてるぞーっ!?」
「それ切ってないって事じゃないの……?」
騙された……いや、仄香ならそういうのも有り得るなとは思っていた。
「せやねん。一ヶ月以上行ってないんだけどねー。サボリにサボってサボテンだー!」
「サボテンみたいに坊主頭になるって話? うんうん、仄香に似合うと思うよ」
「うんうん! こうバリカンでウニ頭に……って、似合うかーっ!」
「こらっ! 僕の横髪をいじるなーっ!」
良いツッコミであった。しかし、その仕返しに僕の長めに残してある右の髪の毛を、僕の鼻の先に持っていかれて遊ばれてしまう。
っていうか、一ヶ月以上……? 三カ月とかじゃないの……? 僕は入学前に整えたばかりだから、間隔が掴めてないんだけど、こまめに美容室に通った方がいいかもしれない。それが女子の普通? お嬢様方の普通というのなら……。う~ん、お金が苦しいなぁ……。
そう考えている間にも、仄香は僕の横髪をくねくねいじって遊んでいた。
「へぇーい! 片方だけ口ひげ長い人ー!」
「ちょっ! やめなさい!」
「へぇーんっ! ゆーちゃんの髪って意外と柔らかくてサラサラしてんなー。意外だ意外だぞー?」
「う、うるさいっ。僕だって、多少は気をつかってるのっ!」
美容室の他には、週一でトリートメントするようになったくらいなんだけどね……。ボサボサでは無くなったよ。うん。
そこに、学級委員長として呼び出されていた咲姫が帰ってきた。
「なぁに~? 髪の話~?」
「そうそう。ユズが美容室行ったみたいで、髪の毛トゥルットゥルだよ? キューティクルだよねー」
「はっ! 天使の艶リングだ!」
「まあ、そうよねぇ~。天使の輪みたいにきれ~い」
「そ、ソウ……?」
僕と仄香と咲姫に次々と褒められ、なんだかニヤニヤと頬を包むゆずりん……あぁ~かわゆすだぞユズたそ~っ!
しかし、僕は気付いてしまった。いや、気のせいだろうか。咲姫の目が、少し笑ってないような気がして……。いけないいかない、ただちにフォローを……。
「咲姫もそんな銀髪に染めてるのに、サラサラで綺麗だよねぇ。今度コツを教えてよ」
「えっ? あぁ~。良いわよぉ~? 百合ちゃんも美少女にしちゃ~う!」
「いや、僕の顔じゃあ美少女は無理だよ」
「分かんないぞー!? さっきーみたいにゆるふわパーマにすれば、ゆーちゃんもたちまち美少女にっ!」
「それカツラ被んないと無理だからっ!」
なんて、髪の話で盛り上がる四人であった。フォローは出来たみたいで良かった……、
ただ、蘭子も髪の毛綺麗だし、声を掛ければ良かっただろうか……。でも、小説をめくる手がサクサク進んでいるみたいだから、今回はそっとして置いていいか。いつでも絡みにいったら、面倒がられるもんね。
他のお話は書き上がってるものに修正するという事が多いですが、新しく書いたお話には(追加)と付ける事にしました。




