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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部二章「百合葉と美少女たちの秋」
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第06話「地震報告会」

 地震明けの学校。まるで、何も無かったかのように、いつものよう。ただ、いつもと違うのは、来れてない子がいたり、地震の話題ばかりが聞こえた。僕と咲姫と蘭子も地震の話をしていた所に、仄香と譲羽が登校してくる。



「百合葉ちゃん……無事で良カッタ……」



「ありがとね。もう大丈夫だから」



 真っ先に駆け寄ってきて抱きついたユズ。嬉しくて、撫でる手につい熱を込める。



「おっはー。地震ヤバかったよねー」



「うん。なんとか無事に家に帰れたよ。シャワー浴びれなかったのが辛かったけどね」



「えっ? 百合葉くん百合葉くん、なんでそんなの気にするの?」



「女だからだよっ!」



「へへぇーん。知ってるー」



 ちょいちょいキザな王子ネタとかやってたせいなのか、男扱いネタみたいなやつだろう……。ガサツな所もあるけれど、一応潔癖症気味なんだよ?



 そういうの、ちょっと傷つきそうなんだけど、美少女相手ならなんでも許しちゃうよねぇ~。それを仄香も察してる。僕の怒りのラインを見極めながら僕をイジってくる。タチの悪いSっ気娘だ……。



「そうよねぇ~。シャワーが浴びれ無かったら大変よねぇ~。ねっ? 百合ちゃん?」



「う、うん。そうだね」



 停電に見舞われた僕を迎え入れて、蘭子の臭いが残ってるからってレズレズしてきたのに、なんと白々しい姫様なのだろう。でも、それは僕が蘭子にゴニョゴニョされたのをバレてしまった落ち度なので、仕方がないとも言えるけれど。



 地震の休みが明けて。僕らは当然のように学校へ来ていた。停電の復旧も早く、学校付近の地域では被害がほとんど無かったことから、来れる人は登校してください~という連絡網だった。僕が行ってた場所こそが酷かったみたいだ。



 周りの子たちはみんな、登校にも生活にも影響が出ていないので、こうやって教室に集まれたという訳だった。



 でも、身の回りの被害が浅かったせいか、登校している生徒はどこか浮つくように、きゃいきゃいと怖かったトークに花を咲かせていた。全く、世間知らずのお嬢様方だなぁ……。



 でも、それがいいんだ。出来れば、つらい出来事は回避できた方がいい。僕も、その平和を噛み締めている。



 そんな僕らも例外ではなく、いつもの僕の席周りで井戸端会議みたいに五人立ったまま、穏やかに地震の報告会。こんな平和な日常がまた見られるだなんて……。被害が少なくて良かった。このいつもの風景を、僕は失う可能性もあったんだ。そう考えると、一分一秒でも百合百合タイムを大事にしなくてはならない。



「この付近では被災らしい事は何も無くて助かったが、私の本棚の小説が何冊か落ちてしまってな。折り目が付いただけで済んだが、全部落ちていたら大変だ……」



「そう……だったノ? うちはノーダメージだった……」



「譲羽の部屋は無事だったのか。それは幸いだったな」



 だなんて、蘭子と譲羽が読書家ならではの被害具合を伝え合っている。いや、ゆずりんの本棚は百合漫画だらけだけど。むしろ落ちてキャラクターの顔とかが折れなかった分、幸いだ。間違って漫画に折り目を付けてしまった時には、そりゃあショックで可哀想に見えるから……。



「あれよねー。蘭たんの所は平地なんでしょー? それでうちらは山住みじゃん? んでゆずりんの本棚山積みじゃん?」



「そこは掛けなくてもいいよ……」



 仄香ちゃん流ギャグである。咲姫ちゃんと違って滑ってはいないから、ある意味ツッコみにくい……。



「でもさー。本棚から全然落ちなかったもんね。いやー。山はすげぇなって」



「そう……。母なる大地……スゴイ……」



 と、仄香と譲羽がしみじみという。自然の力に対して、褒めているのか恐れているのかよくわからない……。



「すごいのは地震なのよねぇ……」



「そうだね……。確かに大地のエネルギーもすごいんだけどさ……。怖かったよね」



「ねぇ~っ。揺れたとき、お布団を被って、しばら~く、くるまってたわよぉ~」



「かわいいねそれ。確かに何が落ちてくるか分からないからね」



 と、地震を怖がるお布団くるまるジェスチャーをする咲姫ちゃんを見て、ちょっと萌えてしまうのだった。幼児とかお布団被ったまま移動とかするよね。そんな感じの萌え具合。



「そういやーさー。揺れたとき面白かったんだよー? ゆずりんがお布団を被りながらノートパソコンの上に覆い被さってるのー。守りたいのそこっ!? ってツッコんじゃったよねー」



「だ、ダッテ……。ノートパソコンが母艦だから、ほとんどのデータが飛んじゃう……。ゲームデータも、小説のバックアップデータも……。それにみんなとの思い出写真も……全部詰まっテル……」



「もう、ユズったら……。大好きだよぉ」



「あたしもー。大好きぃーっ」



 そんな風に、ゆずりんのうっかり話からの感動秘話で僕と仄香はゆずりんに抱きつくのだった。本当に、この子たちも無事で良かったと二人を撫でながら。



 そこへ、気に入らないのかコホンと咳払いする蘭子ちゃん。



「やはりそっちもだいぶ揺れたのか。しかし、本棚から落ちるほどではないとすると、山側の家は、岩盤が強いのかもしれないな。火山噴火と土砂崩れさえなければ大丈夫だろう」



「確かここの山は死火山とかでぇ~? 道路も整備してるから、土砂崩れの心配も全然無かったんじゃないかしらぁ?」



「やべぇなー。噴火しないとかもーめっちゃ安全地帯じゃん。無敵じゃん」



「バスや車が無いと住むのは大変だけどね……」



「どんな火山でも噴火の恐れがあると分かったから、死んでいる火山という概念はなくなったらしいがな」



 蘭子が怖い指摘をする。まあそれはさておき、僕らの学校があるのは小高い丘どころか、山の途中というような場所なのだった。ここらは景色が良いからなのか、意外と良い家が並んでいたり。高級そうな車もよく見かけるし、地盤がしっかりしてるところにはお金持ちが集まるのかな。そういう意味では、この学校も安全な立地なのかもしれない。



 そんなところで、仄香が立ったまま、僕の机をバンッと叩く。



「あと気になる被害と言ったらあれじゃん!? やっぱりゆーちゃんのおっぱいは揺れたのかなーってさ!」



「知らないよそれは……」



 セクハラの予感を感じて、僕は両腕で胸を守る。そういう事なら蘭子ちゃんに聞いてもらえます? と思って彼女を見たら目を逸らされ、仄香とアイコンタクト。なにかひそひそ話して頷いき企んでいる様子……。うん。つまり僕相手だからこそのセクハラだ……イジメかな?



「よっしゃ蘭たん! ゆりはす揺らし係!」



「ふっ……。仕方がないな。私は強いからな」



「えっ……?」



 何を通じ合ったのか、二人は頷いて、蘭子が僕の後ろへ……僕の肩をガッシリ掴んで左右に揺らす……!



「ちょちょちょ~っ!? 酔う酔う酔っちゃうよッ!」



「ツッツッツッへいっ! YO YO YO YOU! ゆりはす酔うYOU! 左右に揺れるー! 胸揉む余裕!」



「うわっ! バカッ!」



 だなんて、ラップに合わせて僕の胸を揉み出す仄香であった。



「ゆーちゃん!? 全然揺れてないんだけど! 偽乳なのッ!?」



「当たり前でしょ!?」



「なんとっ! 偽乳なのかっ!」



「そっちじゃないっ! そんなには揺れる訳ないって事! なんの為のブラだと思ってるの!」



「えっ? なんでブラしてんの!?」



「するわ普通に!」



 なんなんだこの展開は……。男扱いのイジりというよりは、ギャグの流れみたいな感じだけれども。



「う~ん。地震も横揺れじゃあダメかー。それじゃあ! 上下に揺れるようには!?」



「縦揺れ……? つまり突き上げるようにか……。ヤらしいな百合葉も」



「アンタが勝手に言ってるだけだよっ! ……うわっ!」



 僕のツッコミなんかいざしらず、蘭子は僕の両脇を持ち上げて数センチ揺らす……すごい……。触りたいくらい腕の筋肉の筋が浮き出て、かなり腕力があるなぁ――なんてのは今は気にする事じゃなかった。



 そこでまた僕の胸を揉む仄香。



「なんで揺れないのッ!!」



「揺れに強いスポーツブラだからだよ!」



「だからなんでブラしてんのッ!?」



「女だからだよ!!」

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