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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第94話「お部屋デートと夏に行きたい場所」

 僕の部屋に座布団を敷いて二人座る。小さな置き机に隣り合わせ。正確には、九十度の机の角度があるのに、咲姫が僕の真横にベッタリとくっついていたり。相変わらず桃の良い香りでドキドキ……。なんだか頭がふわふわして変な汗が出そうだ……。クーラー付けてるのになぁ。



「咲姫は家族と出掛けた? 僕は全然だけど」



「んん~。親との旅行で海鮮丼を食べに行ったわよぉ~? あとはお墓参りがまだで、そのくらいかしらぁ」



「へぇ。グループトークの写真にあったやつだ。咲姫がかわいくてつい保存しちゃったよ」



「えへへぇ~。百合ちゃんに向けた写真だからねぇ~」



 なんて、ちょっぴり嬉しい言葉。あざといの分かってるんだろうけど、それを踏まえてやっぱり可愛い咲姫ちゃん。う~ん、僕はちょろいなぁ!



 美少女たちとメッセージアプリ上で作ったグループトーク部屋。それぞれがマイペースに、出掛けた先の写真やら雑談やら、そこにあげていたりする。譲羽なんか、みんなで集まった時ごとに写真をまとめて、アルバム機能で何十枚も投稿していたり。うんうん、良い働きをする美少女よ……。



 そんな夏の日常の中で、咲姫がメインで映りたいんじゃないかという、お祭り写真とかもあって、その眩しさに三回間違って保存しちゃったくらいだ。咲姫ちゃんも自分のアルバム作ってくれないかなー。全部間違って三度は保存するんだけどなー。



「せっかくなら百合ちゃんと食べたかったけど、なかなか遠出は出来ないものねぇ……。早く大人になりたぁ~い」



「そうだね……。大人になったら一緒に行こうよ。車で色々ドライブとかさ。憧れない?」



「あぁ~それ良いわよねぇ~。……でも、みんな一緒なんでしょぉ……?」



「へへー。そうだよ? 楽しいでしょ? それとも……二人きりが良かった?」



「もぉうっ! いけずなんだからぁっ!」



「待って咲姫。痛い痛い」



 咲姫の露出した肩が僕の二の腕にぶつかってくる……うへへぇ~。こんな所までスベスベだぁ~。痛い痛い、喜んでたら咲姫が変な目を向けてくる……。



「百合ちゃんってマゾなのぉ……? それもそれで楽しいけどぉ」



「い、いやっ。そんな事は断じて……っ! って、なんで楽しそうなの!?」



 なんだか咲姫ちゃんの変態度がグングン上がってる気がする……。それが僕のせいだとは思いたくない。



「とにかくさ。旅行の合間、みんなが一緒の中で抜け出したりしたら、ちょっと燃え上がらない?」



「あっ……それはイイかも……。もぅ……百合ちゃんったら……」



 僕がたらし込むような笑顔で言うと、咲姫は正座した脚をムズムズさせて恥ずかしそうに片手で頬を包む。こんな事で乙女になっちゃうなんて、可愛いなぁと思っていたら、咲姫は 空いていた手で僕の太ももを撫で始めた。ハーフパンツ越しでも伝わる、ねっとりとした温かさ。するりと抜けては這っていく指使い。なんだこのムズムズする手付きは……もしや抱かれる前段階? でも、そうは行かない。僕は身をよじって、咲姫の手をさり気なく払う。



「咲姫はキャンプとか好き? 川遊びとか、山登りとか」



「うぅ……っ。う~ん、アウトドアとかも憧れるけどぉ、虫とか日焼けとか嫌なのよねぇ~」



「そっかぁ。でもそうだね、咲姫はあまり外で遊ばない方が良いよ」



「どうして?」



 首を傾げる彼女。それもそうだ。突然の否定だもの。僕は彼女のあごに手をやり、そして、くいと持ち上げる。



「僕の心の中に、君をずっと閉じ込めておきたいから」



 ……クサいッ! ウィンクしながら言う僕。我ながら、美少女にキザゼリフを言っちゃうという百合百合構図に自己陶酔しているのもある。



 彼女もこういう展開が好きなのか、何度やっても期待を含ませた表情で、黙り込む。うぅ~ん、この空気感がゾクゾクしてたまらないんだよなぁ~。



「百合ちゃん……イイのね……?」



「あっと、違くて!」



 って、何をやってるんだ僕は! とろけそうな顔のままニッコリと笑う彼女。また変なムードが出来ちゃったじゃないか! 



 咲姫は潤んだ瞳で僕を見つめ、僕の腰を逃すまいと手を回し、シャツの隙間から背骨の深い部分を撫でてくる……。しかも、どんどん顔が近づいてきて……。桃の果実のような唇はプルップルで、吸い付きたくなるっ……。でも駄目なんだそれは! こんな二人きりで親も居ない状況じゃあ、レズレズ展開まっしぐらだ! それも僕が抱かれる側でねっ!



 でも、まだそういうのには早いと思って、タチる性知識もゼロに等しい……いや、百合マンガで読んでるけどさっ! パーフェクトなイケメンバリタチ中性レズになるにはテクニックが足りないのだ! というか、性的な事は好きじゃないから避けたい!



「そ、そうそう! お客様に飲み物も出さないなんて失格だねっ! ちょっと待ってて!」



「ああ百合ちゃんっ! ……んもう、焦らすのが上手いんだから……」



 不満げに左手の中指で宙をくいくいとなぞる咲姫。そのタチタチな咲姫ちゃんの本気度に、体の底から身震いする。焦らすも何も、本番は無いよ?

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