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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第84話「中古のCDコーナー」

「幅広い中古屋さんにしては、CDも相当あるね。ちょっとしたCDショップくらいだ」



「そう……ネ。意外とここにも、お宝があったりするノ」



 フィギュアコーナーからCDコーナーへと移った僕らは、棚の『あ行』から順にアーティストの名前を見ていく。ああ、このバンド、リマスター版を出していたのかぁ。音が綺麗になっているのなら、買い換えてみたいところだけど、そんなにお金に余裕は無いし、昔の曲の音の悪さなんて気にしないし。結局買わないことにした。



「あーっ。これゆーちゃん好きなやつだよねー。この前歌ってたやつー。かなり大昔だよねー」



「そうだよ。僕のお父さんが残していったCDがいっぱいあってね。古いロックとか歌謡曲とか結構聴いてたんだ」



「えっ……百合葉ちゃんのお父さん……もう居ナイ?」



「嘘ごめっ。そうとは知らなくてっ!」



 ユズと仄香が済まなそうに眉根を下げる。僕が勝手にCDの思い出を語っただけだから、謝る必要ないと思うんだけど……。美少女に要らない心配を掛けてしまった。嘘を付きたくないとは言え、誤魔化せば良かったなぁ。



「まあ離婚なんだけどね。僕のお父さん、女にだらしなかったし、時間も約束も守らなくてさ。暴力は無かったけど、好きじゃなかったんだ。だから、別々に暮らせてせいせいしてるよ」



「そう……ナノ……。でも大丈夫、アタシたちがついてるからネ? 寂しくなったら言ってネ?」



「辛い過去があって辛かったよねぇ、ゆりはすぅ~」



「ややっ。そんな撫でなくて良いよっ。気にしてないからっ」



 ああ、強がりに聞こえたのか、余計に感傷的な流れになっちゃった……。くっ、もしや普通は、お父さんが居ない方が良いくらいに嫌う子は少ないのか……っ。みんなお父さん大好きっ子なのかっ! 僕はお母さんと美少女さえ居れば他は要らないけどねっ!



「そんな事は良いからさっ。ほら、ユズも仄香も、好きなCDとか無いのっ?」



 誤魔化すように僕が問うと、二人はうーんと顎に指を当てて考えるポーズ。動きがリンクしてるよ? 可愛いなぁ。



「アタシは……V系とか……シンフォニックとか、デスメタル」



「ゆずりんのデスメタルやばいんだよー? なんかグロテスクって言うかー? めっちゃ血みどろなんでしょー?」



「ノー。そういうのばっかりじゃない。たまたま好きなバンドがグロもやってたというだけで、痛々しいのはNG」



「はぇー。そうなんだぁー」



 と、ゆずりんの新たな一面を垣間見る事に。グロは良くないけど、メタル系統が好きは確定か……。黒の死に装束と鎌とか似合いそうだもんね。中二病可愛くて、そのコスプレ姿でPV撮影をする姿は容易に想像できる。



「仄香は? やっぱ新しいアーティストを追ってるの?」



 カラオケでは、最近流行りのロックを選んでた気がする。仄香はやんわりと手を振り否定。



「でもあたしも古いの聴くよー? 昔ながらのロキノンってジャンルが大好きなんだわー。これっ! この辺!」



 と、棚の列をガッと手を広げて『ここまで』アピール。長年、アルバムとシングルを出しているアーティストだ。



「へぇ。色々コラボとかしたりして有名だよね。どの辺のやつが好きとかあるの? ちょっと聴きたかったんだよね」



「んー。あたしは今の綺麗な曲も好きだけどー。昔の泥臭い感じのがもっと好きだったかなー。自分に語りかける詩的な感じがよいのよー。今度貸すー?」



「ありがとう。詩的なの大好きだし、借りよっかなー」



「や……。じゃあ、アタシも貸したい……っ」



「いいよ? でも、軽めなのからね?」



 なんて、仄香と譲羽を誘導するように貸し借りポイント獲得。これは恋愛ポイントというよりも友情ポイントだと思うけど、僕は好きな子の好きな物は出来るだけ知っておきたいのだ。好きになるかは別として、それをきっかけに話題のタネが増えると思えば、楽しいモノ。



 僕らはお互いの趣味をよく知らないまま、好きになってしまった。僕の顔が好きな子が多いみたいだけど、それでも、お互いが楽しめるように立ち回った方が得だと思う。



 そんな理屈屋の妄想もしながら。僕らはダラダラと中古屋を巡ったあと、レジでの購入を終えて解散するのだった。

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