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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第80話「アルコールアレルギー」

「まあ、さっきーが良い匂いだろうとさー、あたしらが香ばしいのは変わらないんだけどねー」



 咲姫の良い匂い嗅ぎ大会が一息ついて、仄香は自虐的な笑みを浮かべる。確かに、元々の煙たさはほんのりと漂うばかりだ。根本的な解決は何一つなされていなかった。



「ソレじゃあ……制汗スプレー……スルの?」



「そうよなー。ちゃん咲姫さきちゃん貸しておくれぇーっ!」



 譲羽が問い、そして仄香が元気よく頼みだす。しかし、渋い顔をする咲姫ちゃん。



「えぇ~? ちょっとそれわぁ……」



「なんだ! わたしの匂いはわたしだけのものよぉ~? っていうやつなのかぁっ!?」



「いやぁ、消臭がメインだから、そんなに関係無いのだけどぉ……」



 呆れながら咲姫ちゃんは返す。でも、咲姫が渋る理由はよく分かる。



「ここで貸すっていうのがねぇ……。公共の場よ?」



「あっ! そうだったか!」



「今思い出したの?」



 もしや公共交通機関慣れしていないお嬢様なのだろうか。ありえそうで怖い……。



 そこて、コホンと咳ばらいをして、一言物申したげな蘭子ちゃん。



「公共の場でスプレーをするのは確かに論外だが、それ以前に、アルコールアレルギーというモノがあるらしく、制汗スプレーや、汗拭きシートなんかでも発作が起こるのだそうだ。だからなおの事、こういう公共の場で使うものじゃない」



「そっかぁ。迷惑かけちゃあ駄目だもんねー。ありがとー、さっきー、蘭たん」



 と、仄香は肩を落としてちょっとしょぼくれた様子。流石に反省したのだろう。でも、そんな様子の彼女じゃあ、僕が面白くない。



「そもそもさ、仄香の肌が見えちゃうかもだから、注意してね?」



「やぁーんっ! ゆーちゃんあたしのチラリズムを心配してくれてるのー!?」



「そうだよ?」



 と、途端に元気になるものだった。こういう百合百合展開にはすぐに乗ってくるのは、彼女の楽しいところだなぁ。



「そういえば、二人は家に帰るんだね。今は寮生活じゃないの?」



「そうよー。まあ、寮に居てもいいんだけどー、たまには実家で過ごしてても良いかなーってゆずりんと!」



「歩いても帰れるケド、公共交通機関で帰りなさいって言われテル……。めんどい……」



「そうなんだ。ゆっくり過ごしてね」



「やー。もー。洗濯物くさいってゼッタイ文句いわれるー。寮だと部屋にあるから二人でテキトーなのにー」



「確カニ……。汚れてるから、ひとこと断らないとイケナイ……」



「そりゃ大変だね……」



 普通、家事をしない分、実家の方が過ごしやすいと思うんだけど。二人の仲が良いのか、好きなようにできるからなのか。なんにせよ、寮生活が楽しそうで良かった。



 そんな燻され煙たい僕らは、次々と電車を降りて、それぞれの家に帰るのだった。

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