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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第1部一章「百合葉の美少女集め」
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第28話「らんたんと仲良くなった」

 授業が終わり次第、早足で教室のドアを開く。そう、それは購買の『極上とろけるプリン』が売り切れる前に! なんてことじゃなくて。保健室へ咲姫の様子を見に……っ!



 ……と思ったのだけれど。



「さ、咲姫っ? もう大丈夫なの?」



 廊下に出るより先にやや浮かない顔の彼女が視界に飛び込む。



「熱もないし、大丈夫よぉ~。心配してくれてありがとねぇ」



 やんわりと微笑み笑顔を向ける。機嫌自体は治っているようだが、心持ちは元気そうに見えず。もしかして眠れなかった? 彼女の中で葛藤かっとうがあったのかもしれない。



「あ、さっきー! 体調平気なん?」



「うふふっ、心配かけてごめんねぇ~」



 念のため肩をさすり支えながら僕らの席へ向かうと、仄香ほのか譲羽ゆずりはがパタパタと飛んできた。



「咲姫ちゃん……眠れた?」



「ばっちりよぉ~」



 譲羽の問いにぎゅっと手をにぎり、元気アピールをする咲姫。うーん、表面上は取りつくろってくれるみたいで安心だ。



 しかし、



「さっきー! 聞いて聞いて! ウチら、らんたんと仲良くなったさ! あの子めっちゃおもろいやっちゃ!」



 仄香が不安の種に水を差すのだった。やばいやばいよ? 不安が芽生えちゃうよ?



「ら、らんたん……?」



「蘭子ちゃん……鈴城さんの……コト」



「あ、あぁ~……」



 突然の固有名詞に戸惑っていると、譲羽が注釈を入れる。その指し示すの名前を聞くや否や、すーっと表情に陰りが見える――も、すぐに明るい面持ちを取り戻す。



「へぇ、そうなのぉ~。ってことは、わるい人じゃなかったのねぇ?」



「うん……良い人……」



「良い人ってより面白い人なんだってー! 変人の集まりなウチらとは相性バッチリだぜぇ!」



「わ、わたしも変人……かしらぁ」



 おっと、これは姫さま不本意なご様子。アナタも充分に変人ですからね? 可愛いけど。



 そこに、「僕らのグループに入れようと思うんだけど、咲姫は大丈夫?」――とは訊けなかった。ここでまた完全に拒否されては、余計に仲を取り持ちにくくなってしまう。



「咲姫は気にしなくても大丈夫だよ。もし苦手ならあまり話題には出さないし」



 と、断りを入れておく。僕の言葉にふんふんと頷いた咲姫だったが、途中からニッコリといつもの笑顔を見せる。



「なるほどねぇ。でも私は大丈夫よぉ~、同じグループに入れても」



「そうだよね、嫌だよね――って……えっ?」



 んっ? いま"大丈夫"って言った? あれだけ眉をひそめていたのに?



「嫌じゃないわよぉ? だってホノちゃんもユズちゃんも、仲良くなれたんでしょ? なら問題ナッシングぅ~!」



「ナッシングいぇあっ!」



「あ、あぁ。それなら良かった」



 サムアップする咲姫の謎テンションに仄香もノリ上がる。なんだ、心配して損した。何をあんなに思い悩んでいたのだろう。ただの空回りじゃないか。



「さってとぉ~。じゃあわたしもお友だちになりにいこぉ~っと」



 そんか、ホッと一息つく僕にはお構いなしに、咲姫は蘭子のもとへと向かう。



「らんちゃ~んっ。一緒にお昼食べましょ~?」



 まさかの唐突であった。

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