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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第65話「みんなでの協同バトル」

 咲姫のゲーム遍歴はともかくとして。僕らはどんどんクエストを進めていく。



 みんな慣れてきたもので、敵が強くても、お互いがフォローしあって、なんとか進めていた。



「うわっ! このマンドラゴラ、防御めっちゃ高い上に石化攻撃だった! 油断したっ」



「待っててねぇ~百合ちゃ~ん。わたしの愛で治しに行ってあげるぅ~」



「くっ……。姫様を前線に近付けるなんて……騎士として不覚だ……っ」



「良いのよぉ~。だってわたしは白魔導師の『白百合の姫』だものぉ~」



 遠くで補助役をしていた咲姫が近付いてくる。くっ、咲姫に危険な目を合わせたくなかったのに……。



「自分で姫なんて名付ける感性はどうかしてると思うがな」



「それだったらヴァンパイアローズも大概よねぇ~?」



 またまた姫と吸血鬼が喧嘩している。そこに騎士も交える三角関係……なかなか面白そうなバランスじゃない?



「まあまあ。二人とも似合ってるからさ。仲良く敵を倒そ?」



「そうネ……。協力して百合葉ちゃんの石化を治さないと、戦闘不能扱いでクリアになっちゃうカラ……」



「そ、そうだね……。それは困る……」



 僕が仲裁するも、譲羽に新事実を告げられてしまう。動けない騎士は姫様に助けて貰わなければ死亡してしまうのだ。う~ん、ものすご~くカッコ悪いねっ!



「へいへい! その間にぃー? マンドラゴラを『胡椒玉』で黙らせるぅ!」



「仄香ちゃん。石化はマンドラゴラの通常攻撃の追加効果だから、技を禁止しても意味が無いノ……」



「なんとっ! たばかられた花束刈られた!」



「マンドラゴラはたばかっては居ないけどね……」



 譲羽に言われ、いつもの恒例ノリだけラップで悔しがる仄香。マンドラゴラという花束を刈りたいのはこっちだよ。



 確かにこのマンドラゴラは、イラッとくる性能だけれど。石化をバラ巻く上にダメージは1しか無い程の防御力ってズルすぎる。この場所は、対策を取らないと面倒くさいステージのようだ。



「まったく、石になって甘いな百合葉は。ペロペロ舐めたいくらいだ」



「その舐めたいとは違うと思うなぁ……ちょっと! 石になってる間に舐めないでよっ!?」



「そんなのは無理に決まっているじゃないか。ゲームだぞ?」



「う、うぅ~ん……」



 でも、石になってしまった僕の背後に回り、何やらもにょもにょとキャラが動いていたら、セクハラにしか見えない。……くっ。ゲーム内でもセクハラするなんて、どれだけセクハラ大魔王なんだこの子は……。



「ふふふっ、まあいい。百合葉の敵を取るとしよう。吸血鬼は背中から襲うのは得意なんだ。防御力の高さなぞ意味のない事を教えてやろう……。『背面狩り』っ。



 と、あんなに強敵臭があったマンドラゴラは、あっけなく倒れてしまった。防御無視技が通用するのかぁ。僕はめんどくさがりだから、適当に突っ込んで、それで耐久があればいいやとしか思っていなかった。



「お待たせ百合ちゃ~ん! はぁ~いっ、『白百合の献身』~」



「ありがとう咲姫! マンドラゴラも倒したし、あとは黒魔導師だけだ! 『ガーディアンラッシュ』!」



 結局は僕は力技なのだった。だって、突っ込んで敵をいっぱい弾き飛ばすとか気持ちよくない? 



 しかし、そんな気持ちじゃあ、でもドジを踏んじゃい易かったり……。



 敵の懐に飛び込んで弾き飛ばす『ガーディアンラッシュ』。盾を構えての猪突猛進。白いマントをひらりとはためかせ、三体固まっていた敵を三方向に弾き飛ばす。防御の高い僕にとっては、近距離攻撃のユニットへ強気に出れるなかなか便利な技なんだけど、遠距離攻撃の敵相手には反撃が怖く、てんで弱かったりする。



「やばい……黒魔導師に狙われた……! 体力が残り僅かだったんだ!」



 弾き飛ばされた先で、僕の攻撃を耐えた黒魔導師が詠唱を始めた。今は一体だけだけど、残りの敵にもやられたらまずい!



「ふっ、ドジっ子だな……。今行くぞ百合葉っ。『薔薇の吸血』で雑魚どものステータスを吸った私は強い」



「頼もしいよ蘭子っ! でも距離が遠いっ!」



「くっ」

 

 惜しいことに、蘭子の技では敵へ攻撃が届かなかった。歯を噛みしめ、悔しがる蘭子ちゃん。ゲームに対してこんなに夢中な彼女も可愛らしいもの。



「無理しちゃ大丈夫よぉ~? 百合ちゃ~ん。魔法を唱えてる敵の時間を、一回ゼロにしちゃ~う! 『だるまさんが転んだっ』」



 咲姫が不思議な事を言って、敵に微少なダメージを。何が起こったんだ?



「咲姫ちゃん賢い……その敵はストップが効かないカラ……。詠唱までの時間を稼ゲルッ」 



「へいへーい! 今のうちにぃーっ! 敵の後ろからー? はいっ! 『忍び斬り』!」



 そうしている間にも、仄香が別の敵を倒す。仄香の攻撃力は高くはないが、流石は忍者なのか、後ろからの攻撃力は絶大だ。



「光の精霊よ……百合葉ちゃんに敵するモノ共から、影の力を奪い尽クシナサイ……『ラーダ』!」



「ありがとう咲姫! 仄香! ユズ! 僕は体力が少ないほどに威力があがる『リリーズサクリファイス』で……最後の敵を倒すよっ! 体力が少ないほどに威力があがる……『リリーズサクリファイス』!」



 そして、譲羽が敵のHPを大きく削り、黒魔導師が魔法を発動する前に、僕の一撃で敵を倒せたのだった。



「いやっほう! 敵を殲滅したり! 討ち取ったり!」



「ああ、やっと倒せた……。達成感……すごいね」



「やったわねぇ~」



「みんなの、飲み込みが早い……カラ。良カッタ……」



 と、各々が喜ぶ中、蘭子一人だけがちょっと浮かない顔。



「私はあまり活躍できなかったな……」



「でも蘭子も前線を守ってくれたしさ。蘭子が居なかったら僕ら勝てなかったよ」



 蘭子が敵の撃破に直接関与しなかったからだろうか。でも、最前線で戦うのは蘭子なのだ。彼女が居るからこそ、僕らもそれぞれが活躍出来るのだ。



「そもそもさー? ゆーちゃんが突撃しなければ、ヨユーだったかもなのにねー」



「ちょっ……それを言わないでよ!」



 仄香にツッコまれて、恥ずかしくなってしまう。そう。僕が猪突猛進しなければ、危機に陥ることもなかったのだ。これは反省点だ。



「マルチクエストはみんなでの支え合い……誰かの失敗は、みんなで補うモノ。それが醍醐味」



「いぇーっ! 醍醐味大の好み!」



「そうよねぇ。こうやってみんなで何かをこなすのって、初めてで楽しいかもぉ~」



 譲羽の言葉に、仄香も咲姫も賛同する。良かった。なんだかんだみんな楽しめて、それでみんなでの協同作業……初めての協同作業がゲームでいいのかな……。



 まあ、楽しければいいよねっ!

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