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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第59話「V系しりとり」

「はははっ。女子高生の貴重な価値観が聴けて大満足だよ」



「し、失礼しますっ」



 酔ってる先生に僕の価値観を披露してしまって、今更恥ずかしくなってきた……。誤魔化すように先生に背を向けて、美少女達に囲まれる席に戻る。会話が聞こえる距離感なのだけれど、真面目な話をしてしまって、今の彼女らの会話を聞いて居なかった。僕が居ない間、この子たちはどんな話題で盛り上がっていたのだろうか。真っ先に蘭子が気付き、箸を止め手を挙げる。



「おかえり、百合葉」



「おかゆーちゃん! ゆーちゃんもV系しりとりしようよっ! 言えるまでお肉お預けルールで!」



「おかゆ? V系?」



「おかえりゆーちゃんの訳だよー! V系の曲にありそうなフレーズでしりとりするの!」



 なんだか突然な展開だった。やっぱり仄香はムードメーカーだけど、不思議なゲームを思いつく変わった子だ。



「訳じゃなくて略ね……。それは蘭子と譲羽が有利過ぎない?」



 実質、V系じゃなくて中二病しりとりみたいなモノなのだろう。僕は二人を見ながら言う。



「さあ、どうだろうな。薔薇が舞う様なPVの曲は好きだぞ?」



「アタシは……ヘヴィでダークな展開が好きなダケ……」



「充分だよそれ……」



 蘭子は耽美系、譲羽はブラック系って事だろうか。多分どこかで好みは被っているだろうし、一般人からしたらどっちも同じ印象になりそう。



 そこで仄香が目を見開き、食べ始めた肉を急いでコーラで流し込む。……うぅ~ん、もっと味わって食べようねっ!



「しりとりあたしの番だった! ば、バラ……。バラ肉のいざない……! ふぅ~っ! 決まってるぅ!」



「バラ肉とかV系らしくないけど……?」



「ふいんき! ふいんきでいいの! 響きがかっこよければ!」



「そっかぁ……」



 そうじゃないとしりとりが思い付きすらしないもんね……。仕方がない。



「つぎ蘭たん! その次がさっきー、ゆずりんで、ゆーちゃんねっ!」



「分かったよ」



 仄香が順番の説明をしてくれる。今の段階で最後なら様子を見られそうだ。



十六夜いざよいに咲く月光華」



「おお……」



 さすが、読書家蘭子ちゃん……。読書家と言っていいのかな? ともかく、中二病らしいフレーズだ。



「か、かぁ~……? 可憐な乙女……の花言葉ぁ?」



「ルビーレッドミラージュ……」



 続く咲姫も、譲羽も、メルヘンやファンタジーなフレーズだった。声に出したくなるようなリズム感の良さは、みんな仄香に影響されているのだろうか。V系らしいか分からないけど、響きは中二病としてハマっているしアリなのかも。



「ほらほらっ! 次はゆーちゃんだぞぅ!」



「じゅは難しくて困ったなぁ。じゅ? ジューリアの傷心? ……あっ!」



「あっ! ゆーちゃんの負けー! カキ氷作る係でーす」



「そんな罰ゲームがあったの……」



 つい思い付いたまま言ってしまったら僕がゲームを終わらせてしまった。難しいけど、もうちょっと続けたかったなぁ。



 しかし、僕の負けが決まっても、蘭子は喜びもせず考えるポーズ。



「百合葉、それ何十年も前の曲名じゃないのか? よくポンと思い付いたな」



「ま、まあ……有名な曲だし?」



 まずい、もしかしてこれがジェネレーションギャップってやつなのか……。何度も歌謡曲まとめで歌われているから、もっと大人な世代なら知っていて当然な筈だけど、同世代には通用しないのだ。邦楽知識の広さが仇になってしまった……。



「ひこくー、藤咲百合葉ー、Eカップの女子高生ー。何十年も前の曲をポンと思い付く……あれれ~? おかしいぞ~? もしかしてぇー? ゆーちゃんは年増ぁ~? 年齢誤魔化してるぅ~?」



「胸のサイズはどうでもいいしみんなと同い歳だわっ! む、昔の歌謡曲とかが好きなの! お父さんのCDがいっぱいあるから!」



「ほんとぉ~? 実はタイムマシンで未来から来たんじゃないのぉ~?」



「僕をイジりたいのは分かるけど、未来からだとみんなより若くなっちゃうよ?」



「あれれ~?」



 立場が逆転してどうするんだ……。あれれ~? とわざとらしくとぼけてるのに、今や本当にアホの子と化していた。



 しかし、普段ふる臭いギャグを言うからなのだろうか、咲姫ちゃんはキラキラした目で僕を見ていた。



「昔のモノも別に良いわよねぇ~。わたしも古い少女マンガとかよく読むのぉ~っ」



「そうだよねっ。みんなったら古いものを嫌い過ぎだよっ! ……ってああっ! 僕が育ててた芸術的なバラ肉がっ!」



「知りませぇ~ん。これも罰ゲームですぅー。お肉はやっぱり若くて元気なあたしが食べるに限るよねっ!」



「そんな後だしはズルい!」



「えっ? それじゃあ、後だしじゃなくて、ゆーちゃんの中に中出――」



「だから下ネタやめてっ! うわぁっ!」



 と言ってる間にも、良い感じに両面を焼いたお肉は仄香ちゃんの口に放り込まれてしまったのだ……。全然味わう事なく、コーラで流し込まれて……。ううぅ、僕のバラ肉ちゃん、ごめんよぅ。



「私たちもそのうち年増とか言われる歳になるんだろうな。怖いな、譲羽」



「ソウネ、蘭子ちゃん……。悠久の時の流れを止めてしまえれば良いノニ」



 一方で、年齢の話題が出て震え上がる女子も居た。今時期が肌のピークだからと言っても、女子に年齢の話は厳禁なのだ。今もうすでに、中学生の頃に比べての体力の衰えを感じるし……。老けたわーと冗談で言えるのもいつまでなのか。

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