表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
267/493

第57話「バラ肉と百合」

「やばいよ! バラ肉に火が燃え移ってる!」



「アワワ……大変……」



「バラ肉バラバラバーニングファイヤー!」



「消火だ消火。さっさと消火しないといけない」



「消化? お肉なら今、お腹で消化してるよ?」



「そっちの消火じゃないわよぉ~っ!」



 なんて、慌てふためく僕らと、呑気な仄香だった。焼き肉で焦げる事の怖さを知らないね? 端で黒い暗黒物質になる恐ろしさを……。



 そんなプチ事件の間も、離れた席で楓先生がニヘラァというだらしない顔で、ワタワタする僕らを見ていた。いざという時に責任を持つ保護者になってくれるのだろうか。心配だけど、まあ大丈夫だと信じたい。



 いや、でも完全にお酒飲んでるし、一応、勤務時間外だった……。じゃあ、僕がなんとかするしかないか……。



 網が悲惨に焦げる事もなく鎮火し、また次の肉を焼き始める。これは先生の大好きなセセリだ。



「コレは確か……胸肉側ササミ?」



「違うよぅ! 確かアサリだよぅ!」



 譲羽も仄香も間違った解答だった。確かに語感は似てるけどさぁ……。



「セセリね……。ササミじゃないし、アサリは貝だし」



「アサリは貝だし! あたしは好きだし! お肉の買い出し! 味付け本ダシ! 先生呼び出し! あたしは駆けだし!」



「ダジャレラップにするんじゃないよ……」



 なんてそんなほいほい言葉が浮かぶかな仄香ちゃん……。国語の分野が古典じゃなかったら好成績でも取れるのだろうか。ちょっと違うかもだけど。



「だしで終わる言葉か。ふむ、百合葉に中出――」



「やめろぉッ!」



 蘭かの言葉に被せるように叫ぶ。なんで僕が嫌がるのにエグい下ネタをぶつけてくるのか。嫌がる僕を楽しんでるからなのだろう。それに、彼女の気持ちに答えない僕への嫌がらせもあるかもしれない。条件反射でツッコむのはもうやめよう……。



「百合葉、私が何を言おうとしたのか、言い切る前に分かったのか? 随分エッチな娘だなぁ。そんなに私の子を産みたいのか?」



「解りたくないけど解るよ……。百合本には下ネタえげつないのもあるし……」



 なお、蘭子の子を産みたいかどうかについては答えられない模様。だってこの子、声がイケメン過ぎて精子出てるんだもん。耳から妊娠しそうなんだもん。どちらかというと僕がタチ側になりたいのに、妊娠させられてどうするんだ。



「じゃあ私も百合らしければ良いのだな? 百合葉の秘めたる花園の奥。二枚の赤い花びらを開いた先には百合の蜜が滴っており、そこでは新たなる生命の種子を今か今かと待ちわび濡れて――」



「それもダメっ! 耽美系の官能小説かっ!」



「私は花の話しかしていないのだが。百合葉は想像力がエッチだな? このドスケベ百合葉」



「勝手に言っててよ……もう……」



 顔が沸騰しそうな位に熱い……。ナルシストが無駄に小説読んでるだけあって、物語に薔薇の花びらが舞って見えるよ……。百合なのに薔薇とはこれいかにだよ……。



 そんな蘭子は無視して薔薇の花びらを……じゃなくて、バラ肉を広げてトングで黙々と焼いていく。こういう単純作業は怒りが落ち着けて良い……。



 ちなみに僕は、性器も子宮も使用することのない、試験管ベイビーのまま受精卵が育ち、赤ちゃんが生まれる未来の技術に期待していたり。その方が母胎の負担も経るし、もしかすると、女同士の卵子で受精卵を作り出せる可能性も開けて……ふふふっ。未来が楽しみだ。



 子作りにエロい事など無くていいのだっ!



 そう言えば、僕も中性的と言われ蘭子もイケメン女子なのだから、僕らの子どもはイケメン女子に? ならば、子作りすればするほど、無限にイケメン女子を精製出来る? 人類皆イケメン女子計画の幕開けじゃないか。イケメン女子の錬金術師に、僕はなるっ!



 男が生まれる確率? そんなもの、愛液の分泌量によって左右されるらしいから、快感を感じなければ女の子しか産まなくて済むはず……。もし万が一にも性別が間違ってしまったら、お風呂場で滑って転んだとでも言って、潰してしまえば良いのだ。



 おっと、僕としたことが、蘭子との子作りの妄想をしてしまったみたい。いけないいけない。この僕が性欲にまみれるだなんて汚い事、あってはならない。僕にとってのレズのタチとは、ただひたすらに相手を快感に導く、Serviceの精神。そこに本当の愛が――。



「百合ちゃん、お肉を焼いてるのに難しい顔してるわよぉ~? どうしたの?」



「ああ、いや……。なんでもないよ」



 思考の海を泳ぎすぎていたみたいだ。咲姫に訊ねられてしまった。



「百合葉は今、私に抱かれる妄想をくり広げているところなんだ。今イクところだから、邪魔しないでやってくれ」



「それは難しい顔をしてする妄想なのかな……?」



「百合葉と私の子作りなら、真面目で大事な話じゃないか」



「真面目どころか、そもそも僕らじゃ子作り出来ないよ……」



 でも、蘭子との子作り妄想があった事は否定しきれない。嘘をつくのは苦手なんだ。



「へぇ~? 百合ちゃんはそういうのが好みなのぉ~。それはそれは楽しみねぇ?」



「どうして蘭子の大嘘を真に受けるの? 咲姫ちゃん?」



 あと、楽しみって何かな? 顔はお上品に微笑んでいるのに、中指の動きが妙にイヤらしいよ? ねぇ? 他の爪は綺麗に整えているのに、なんで中指だけそんなに深爪なの? もしや僕を抱く気満々なの? 僕の綺麗な姫様はどこに行ってしまったの?



 しかし、どんなに性欲を嫌おうと、美少女は嫌えないのである。美少女の美しさには抗えない。これをレズの業という。きっと前世は罪深いレズだったのだろうし、今も罪深い女とか言われるから、きっと来世も業の深いレズになることだろう。輪廻転生しても美少女に囲まれるなら、それは良いことだなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ