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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第54話「炭起こしと百合」

 先生が炭の係をやってくれている間、僕らは食材の準備をすることに。女子高生が炭まみれになるよりも、料理をする姿の方が見たいという先生の好みだった。



 一通りの食材を調理室で用意し終え、バーベキューグリルに持って行く。こういう時に、屋根付きのバーベキュースペースがあるのは助かる。直射日光を避けられるから。



「よっし。もうすぐ炭の準備が終わるからなー。楽しみに待っててくれよー?」



「ありがとうございます、先生」



 首に掛けたタオルで額の汗を拭いながら炭を起こす先生。美人だけど、なんだかかっこいいなぁ。と見とれていたら、蘭子がずいと前に出る。



「先生、あとは私がやるから。ビールでも飲んで休んでいてください」



「おっ? 蘭子もやる気になったのかねぇ~? はっはっ。それは頼もしいねー。任せるとしようじゃないか」



 と、先生はカラカラ笑いながら引き下がり、アウトドア椅子にどっかり座り、クーラーボックスからビールを取りプシュッと開ける。もう、飲む前から出来上がってるような感じだ。



 そして、交代した蘭子。ウチワでパタパタ扇いで、炭起こしに専念。チラチラ僕を見てくるあたり、先生を見る僕の目が気になったんだろう。そりゃあ伯母だから似てるしかっこいいし……。嫉妬しちゃって、かっこいいのに可愛い娘だ。



 そのうちに暑くなってきたのか、長袖のジャージを脱いで、黒のスポーティーなタンクトップ姿に。巨乳もすごいんだけど、首からしたたる汗が溜まる鎖骨とか、二の腕の引き締まった筋肉とか。軍手から下の筋ばった綺麗な手首とか。とても色っぽくて素敵……。ドキドキしてしまうくらいにかっこいい……。



「蘭子、Tシャツじゃないんだね」



「暑いと思って、ノースリーブのにしたのさ」



「そっか」



 しっかりした肩幅。でも、ゴツすぎない滑らかな筋肉と肌質。女の色気と男の色気を良い感じに混ぜたような印象だ。どちらの良さも取りつつ、でも女らしさは前面に出す。中性男子や男装女子とも違う確かな魅力。これだからイケメン女子は最高なんだよなぁ……。見ていても心を奪われるくらいに大好きだし、僕自身もそういう魅力を引き出したいくらいに憧れる。細身タイプでも筋肉タイプでも、両性的な魅力を持つ、第三の性に近いと言っていい。



 そこに、ちょいちょいと僕のジャージの袖を引っ張る美少女が。



「百合ちゃん……見すぎぃ……」



「あっ、いやっ……。早く終わらせないと焼けないからねっ」



「蘭子ちゃんのおっぱいをずっとジロジロ見てたでしょぉ……えっち……」



「それは違うんだけどなぁ」



 咲姫はどうにも胸の大きさで蘭子に引け目を感じているようだ。僕が見ていたのは筋肉なんだけど、確かにある意味、邪な目で見ていたようなものだから仕方がない。



「蘭子は筋肉とかプロポーションとか整ってるけど、咲姫は咲姫ですごい女の子らしくて魅力的だからね? せっかく可憐な女の子なんだから、他人と比べないで?」



「うぅ……でもあのおっぱいは反則よぉ……」



 どうやら随分コンプレックスみたいだ。でも、前にも言ったとおり、僕はその子に合ったプロフポーションを愛しているので、咲姫の華奢な体には、大きすぎないそれなりのおっぱいがバランス良いのだ。平均以下だからといって、それを何故分かってくれないのか……。乙女心は難しい。



「あっつ」



「あっ! 大丈夫!?」



「大丈夫少しハネただけで……痕にもならないだろう」



「いやいやいや……」



 咲姫と話していたら蘭子がやけどしてしまっただなんて……っ。これじゃあハーレム主として失格だ。僕は蘭子の赤くなった腕を取り、



「ちょっと……何をする……!?」



 口付けるのだった。その間に、右手でクーラーボックスの冷えたペットボトルを取り出して、患部に押し付ける。



「火が近いのにそんなに腕を出しちゃ駄目だよ? あとはこれでしっかり冷やして休んでね?」



「だからって……火傷に口付けるのは違うと思うぞ……」



「これは僕のおまじないだよ。痛いの痛いの飛んでいけ……ってね?」



「ま、まあ飛んでいったが……」



 微笑みながら言う僕に、耳を真っ赤にしている。うぅ~ん。かわいいなぁ~っ! 暑すぎる! 鼻血を空に放って花火を打ち上げちゃいそう! ってそれは打ち上げ鼻血だよ! ファイヤーフラワーじゃなくてブラッディーフラワーだよ!



 ニマニマを上手く隠して僕は首を傾げる。もじもじして唇を尖らせる蘭子ちゃん。うぅ~ん、たまらない。



「それとも、別の所が苦しくなっちゃった?」



「そ、そんな事は……」



 感情を誤魔化すように険しい顔で目を逸らす蘭子。微笑みながら見つめる僕。しかし、そこに駆け寄る足音。



「うゆぅ~んっ!」



 突然、僕の背中全体に重みがっ!?



「さ、咲姫!? 火が近いのに危ないよっ!」



「知らないわよぉ! 良いから早く火を起こしなさぁい! 仄ちゃんたちがかき氷を無限に食べようとしてるじゃないのぉ~っ!」



「あっ、それはいけない!」



 見たら、よほど暑かったのか、仄香と譲羽が溶けたかき氷を飲んでいるところだった。あれじゃあ焼き肉食べるより先にお腹を壊しちゃう。一人を相手にしたら他の子が見えなくなるのは僕の悪い癖だ。



「じゃあもう良いだろうし! お肉を焼こう!」



「おおーっう! やっとか! やっとなのかー!?」



「オオーッ」



 僕が宣言すると、仄香と譲羽が駆け寄ってくる。僕らがイチャついていても、いつもの様にマイペースに過ごしてくれるこの子たちには、ある意味感謝でもある。



「ふふふっ。なんだか怖い関係だが……酒が進むなぁ」



 と言うのは渋谷先生。先生の前でイチャついてしまっていたのかと思うと少し恥ずかしいけれど、僕らの関係性もバレているようなので、気にしないことにした。じゃないと、大胆に動けないからね……。

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