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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第2部一章「百合葉と美少女たちの夏」
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第37話「役割分担と百合」

 泳げるプールと遊べるプールと分かれている市内のプール。



 磨り硝子から差し込む日光に照らされて、僕らは人が少ない四角いプールの縁を陣取る。



「ビート板では泳げるんだよね? じゃあ僕の手を掴んで泳ぐ練習をしよっか。無理な力を入れないで、脚の動きを乱さない事が肝心だよ」



「それは分かりやすい……カモ」



 だけどそこで、みんなをキョロキョロ見渡す譲羽。どうしたのだろう。



「あっ、もしかして、教える人数多いからプレッシャー感じちゃう?」



「いや……注意して聴くから、ダイジョウブ。みんな一緒の方が楽しいシ……」



「うぅ、ユズはいい子だねぇ……。出来なくても仕方がないんだし、とにかく分かりやすいように教えるようにはするねぇ……」



 僕の事が好きなはずなのに、この子はみんなも優先してくれる……。どれだけ強くなったんだ……。平和の象徴だ……僕のハーレムのマスコットロリだ……。



 だなんて、幸せを噛みしめていると、離れたところからひそひそ話が。聞こえてるけど。



「今日のゆーちゃんは喜怒哀楽がはげしーなー。そう思わない?」



「やっぱり不思議な気分よねぇ……」



「喜びと楽しさが現れやすい気がするな」



「まさに喜びと楽しさでいっぱいなだけだよ……」



 仄香と咲姫と蘭子に困惑の目で見られるも、僕は正直に話す。本当はもっとクールに演じたいんだけど、今日はテンションが高いのか猛暑で頭がやられてるのか、どうにも本音がダダ漏れでしまう。



「なら、みんなには何をしてもらおうかな……。周りから見て気付いた点とか……?」



 流石に集団で教えるとなると適切なのか不安だけど。僕が小首を傾げつつ言ったのが伝わったのか、仄香が手をパンッと叩いて注意を向けさせる。



「違うねっ! みんなでゆずりんを手伝うんだよぉ! 蘭たんが腕持ち担当ねっ!」



「私は強いからな。おやすいご用さ」



 胸を張って『強い』アピールをする蘭子。しかし、水着で露出の多い巨乳を、胸を張っちゃったら気になるもので。



「頼もしいよっ。蘭子っ」



「――ッ! 私にセクハラするなっ」



 その黒いビキニの上からポンと叩いたら、ガードされてしまった。しかし、セクハラされて嫌がる蘭子ちゃんの顔……でも、耳まで真っ赤で、自分が攻められる立場になると、案外恥ずかしいんだろうなって。



「ああ……やっぱり蘭子はかわいい……」



「今日の百合葉は変だぞ……」



「楽しければ変で結構だよ。それでっ? 仄香、他の担当は?」



 僕が話を遮ってしまい、仄香と咲姫がポカンと口を開けていたので、役割分担の発表を促す。



「あー、んーとねっ。さっきーは手を叩きながら『ジャバジャバ』って口で言って、ゆずりんの脚のリズムを誘導するっ!」



「あっ……。すごく、助……カルそれッ」



「で、でもぉ~? そ、それは恥ずかしくないかしらぁ……。うぅ~ん、将来の百合ちゃんの子供を育てる予行演習と考えればぁ……うぅ~ん……」



 仄香による変な担当を言い渡され、顔がひきつる咲姫ちゃん。しかし、譲羽が嬉しそうなので、困っているようだ。ここは僕の一押しをっ。



「僕はそれで良いと思うよ」



「とっても似合うよっ! 咲姫ちゃんママ!」



「そして僕のママになってね? 咲姫」



「なんか意味が違うぅ! 何言ってる……のよぉ、まだそんな歳じゃないわよぉ……。うゆぅ、とにかくやればいいんでしょ~もうっ」



 顔の前で両手のグーを作って怒りを表現する咲姫ちゃんだった。ママに年齢なんて関係ないのにね? 関係あるかな?



「いやぁ~偉いぞ咲姫ちゃそっ!」



「偉い偉い。母性だね、かわいいね」



「うぅ、褒められて嬉しい筈なのになんだか変なキブン……」



 仄香に続いて僕も褒めると、困惑する咲姫ちゃん。本音を言っただけなのになー。おかしいなー。それでもやっぱりかわいーなー。



「よっし! んで、ゆーちゃんは全体の動きを確認! ブレてたら教えてあげるのっ!」



「監督みたいなものだね。言葉で説明するのは得意だよ。……それで、仄香は?」



 僕にはまともな役割が振られ一安心。でも、あとは何をするのだろう。



「あたしはゆーちゃんの隣で楽しい単語を言って、盛り上げる係!」



「な、なるほど……! それは大事だね」



「へへ~。でっしょーっ!?」



 仄香らしい返答だった。確かに僕は教えられる側のモチベーションを上げるのは考えていなかったから、良い着眼点なのかも。しかも仄香らしいポジションである。この子のリーダーシップも馬鹿に出来ないものだ。



 みんなをリードさせてしまってちょっと悔しいけれど、でも、譲羽もみんな仲良くを目指してくれているのだ。こんな所で、仄香に嫉妬する必要はないし。楽しくレッスンといこうじゃないか。

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